vol.12 キヤノン株式会社
2011年4月22日掲載
キヤノン株式会社は、デジタルカメラやビデオカメラなどの映像機器、プリンターなどの事務機器等で、世界トップクラスのシェアを誇る、日本を代表する電気機器メーカーです。今回、インタビューを引き受けて頂いた永岡さんは、主にカラーレーザープリンターの半導体を開発する現役エンジニアです。
プロフィール
- 2004年
- 東京都立大学(現:首都大学東京)大学院工学研究科電気工学専攻修士課程終了(安田研究室)
- 2004年
- キヤノン株式会社入社 NPC開発センターに配属
- 2008年
- SOC開発センターへ異動、業務内容は変化せず
- 2009年
- SOCデザインセンターに異動、ASIC開発における論理検証業務に従事、現在に至る
※2011年1月現在。文章中の敬称は略させて頂きました。
実は、文系科目が得意でした(!)
電気工学科へ進まれた理由を教えてください。
永岡:正直なところ、確固たる理由があったわけではないのです。ものづくりに興味があったので、工学部へ進みましたが、電気工学科は偏差値で選びました(苦笑)。
では、文系よりも理系が得意でしたか。
永岡:いや、どちらかというと、文系科目のほうが得意でした(笑)。父親が大学で文学を教えていて、その影響で小さなころから本ばかり読んでいましたね。 高校の先生からも「文系へ行ったら」と言われました。でも、元々理系には興味があったので進んだ感じです。物理はあまり得意ではありませんでしたが(苦笑)。
実際に大学へ入学されてみていかがでしたか。
永岡:大学へ入ってから、面白くなってきましたね。理系に来てよかったなと思ったのは、学部生のとき、人力飛行機研究会に所属して、テレビの「鳥人間コンテスト」に出る飛行機を作った時です。設計などを担当して、ものづくりに欠かせない理系科目が一気に好きになりました。
授業はどうでしたか。
永岡:確かに難しいところはありましたが、コンピューターをいじるようになってから、自然と好きになったと思います。特に、安田先生の授業が好きで、もっと深く研究したいと考えて院へ進みました。
システム最適化の研究に没頭した、学生時代
学生時代は、どのような研究をやられていましたか。
永岡:システム最適化手法のひとつの「メタヒューリスティクス」という研究です。システム最適化というのは、簡単に言いますと、一般的に難しいと思われる課題を解決するために、無限の組合せの中で最適なものを選ぶ研究です。"組合せ最適化"とも呼ばれます(※)。
(※)詳細は、学生インタビューVol.6/安田研究室をご覧ください。
メタヒューリスティクスとは何ですか。
永岡:システム最適化の中で、大規模な問題に対して、現実的な解を見つける方法が「メタヒューリスティクス」です。無限にある組み合わせの中から最適なものを選ぶ場合に、「これとこれを組み合わせたらいいものができるだろう」という、人間の経験的感覚を取り入れたアルゴリズムによって「解」を導き出します。
具体的にどのようなことに役立てることができますか。
永岡:私たち人間は、基本的に何か物事を決定するときには、無意識に又は意識的に、すべて最適なものを選択しようとします。ですから、この「メタヒューリスティクス」は社会生活すべてに役立つ研究です。具体的な例ですと、カーナビにおける最適な経路選択や、発電システムの需要量など、様々な事にこの最適化という研究を役立てることができます。
研究をされていて、印象に残っていることを教えてください。
永岡:大変だったことが一番印象に残っていますね(苦笑)。修士論文を書いていた時は、元日の1月1日から研究室へ行って、PCでシミュレーションをしていました。
では、研究室自体で思い出に残っていることはありますか。
永岡:毎年行っているゼミ合宿ですね。箱根や河口湖へ行って、温泉や景色などを楽しみました。そして、ゼミ発表で大激論を一晩中やりました。まさに「学生時代」しかできない経験をさせていただいたと思います。今、社会人になってからも、ゼミ合宿に呼んで頂いています。
バックナンバー
- vol.54 放送事故は絶対に起こさない。強い覚悟でテレビ局を支えたい。
- vol.53 日々の確実な作業の積み重ねで、地下鉄というインフラを支えたい。
- vol.52 電気工学を活かして技術の発展に女性の視点を反映したい
- vol.51 東西日本間の電力融通を通じて安定した電力供給に貢献したい。
- vol.50 情報科学の知見を活かして電力業界のDX化に貢献したい。
- vol.49 電力業界の新たなルールへの対応の検討を通じ、カーボンニュートラルの実現に貢献したい。
- vol.48 変電技術者として変電所の運営に携わり、電気のある明るい生活を支えていきたい。
- vol.47 空港という重要施設を電気のスペシャリストとして守っていきたい
- vol.46 海底ケーブルのスペシャリストとして電力インフラを支えていきたい。
- vol.45 「ワクワクしつつ冷静に」をモットーに電力の安定供給に貢献したい。
- vol.44 “縁の下の力持ち”として測定器づくりによって社会を支えていきたい。
- vol.43 電力インフラを支える仕事を通じて、環境保護などの社会貢献を続けていきたい。
- vol.42 誰からも認められる女性技術者となり、 発展途上国の人々の暮らしに貢献したい。
- vol.41 電験1種取得者としての専門性を活かし、 電力業界で必要とされる人材であり続けたい。
- vol.40 電気工学の知識をもっと身につけ、 信頼される技術者になりたい。
- vol.39 大容量の電力貯蔵を実現するNAS電池の普及を通じてエネルギー問題の解決に貢献したい。
- vol.38 電気工学の知識を活かし、設備設計のプロとして活躍したい。
- vol.37 電動化が進むクルマの、これからの進歩を支えたい。
- vol.36 電力を支える使命を持った 信頼される存在になりたい。
- vol.35 世界に広がる活躍のステージ。 社会貢献への期待に応えたい。
- vol.34 四国の電力を支える使命を持って、火力発電の未来を拓きたい。
- vol.33 世界中のヒトに信頼される、建設機械を設計したい。
- vol.32 変電設備の最前線で、 電気の安定供給に尽くしたい。
- vol.31 都市レベルでものごとを考えられる、広い視野を持った電気設備設計者になりたい。
- vol.30 高電圧・高電界分野の技術開発で、 電力機器を進化させたい。
- vol.29 電力系統解析の研究者として、 社会や現場のニーズに応えたい。
- vol.28 電力・エネルギーの専門家として、社会に広く情報発信したい。
- vol.27 世界の海洋開発と海上物流を、最先端の電気技術で支えたい。
- vol.26 電力系統を守って人々の生活を支えたい。
- vol.25 新しい制御技術で、 環境にいいクルマを実現したい。
- vol.24 世界の産業を支える 技術者として活躍したい。
- vol.23 日本が誇る電力技術を、 世界に広めたい。
- vol.22 宇宙を駆ける、世界初のものづくりをしたい。
- vol.21 電気工学を活かして、交通安全を支えたい。
- vol.20 製鉄現場を電気技術者として支えたい。
- vol.19 エネルギー・環境問題の解決と、 日本の産業を強くしたい。
- vol.18 電力の安定供給を支えたい。
- vol.17 ものづくりの現場に、 電気の専門家として貢献したい。
- vol.16 社会の役に立つ、電気の研究をしたい。
- vol.15 電気工学で、地球環境を守りたい。
- vol.14 世界に広がる省エネ機器をつくりたい。
- vol.13 世界中の社会インフラを支えていきたい。
- vol.12 電気工学で、半導体の進化を支えたい。
- vol.11 電気工学で、日本の鉄道を支えたい。
- vol.10 世の中ではじめての電力機器をつくりたい
- vol.9 電気を広めて、紛争のない世界を実現したい。
- vol.8 宇宙空間で動く、究極の電源をつくりたい!
- vol.7 風力発電で、エコの輪を世界へ広めたい。
- vol.6 電気工学で、日本のケータイを世界へ広めたい。
- vol.5 夢の超電導ケーブルを、世界中で実現したい!住友電気工業株式会社 西村崇さん
- vol.4 エコキュートをもっと便利に。電気工学で地球環境を守る。
- vol.3 電気は、社会に不可欠なライフライン。だから、私は高電圧・大電流に向き合う。
- vol.2 電気工学を応用して、世界一のハイブリッドーカーを開発したい!
- vol.1 電気工学は一生の財産。どこへ行っても使える学問です。