″おもい″を″かたち″に! ~でんきに魅了された者達から~

2012年10月31日掲載

迫田 達也

宮崎大学工学教育研究部 電気システム工学担当 准教授

平成10年3月
九州大学大学院総合理工学研究科博士後期課程エネルギー変換工学専攻 修了
平成10年4月
熊本工業大学(現:崇城大学)工学部助手 採用
平成12年4月
同上 講師
平成17年4月
同上 助教授
平成18年11月
宮崎大学工学部准教授 現在に至る

放電工学、高電圧工学が勉強嫌いの私を変えた?

私は高校生の皆さんとお話しする機会がよくありますが、正直、『すごいなぁー、本当かぁー。』と驚かされる事がたびたびあります。「大学に入って、〇〇〇〇を研究したい・・・・」、「卒業後は技術者になって〇〇〇〇を作りたい。」、「△△△△の研究者になりたい。・・・」とか。

20年以上も昔の話になりますが、高校生だった私は、日々の魅力のない詰め込み教育にギブアップ状態で(今思えば)勉強が嫌いでした。高校3年生になっても様々な大学を調べることもなく、オープンキャンパス(当時存在していたのかな?)なんかに参加することもなく・・・。そのような私でしたから、皆さんの熱意に感心させられるのです。ただし、こうも思います。マスコミの“これで世界のエネルギー問題は解決できる。”のような不十分な情報に踊らされて、たんに聞こえの良いものに傾倒してない?

ポリマー材料表面における放電現象

ポリマー材料表面における放電現象

さて、なんとなく大学生になった私は、なんとなく大学1、2年次を過ごし、『電気、おもしろくないな。』状態。しかし、3年になって必修科目であった高電圧工学、放電工学と出会い、ローテクのようでハイテクで、無限の拡がり、可能性を感じたため一気に魅了されました。少々スイッチが入るのが遅かったのですが、1、 2年次の不勉強を反省するとともに、“大学で研究を続けたい“ との ”おもい“を持ちました。そして、いつしか大学の教員になりました。

大学教員をしていて良かったと思う時・・・(ため息をつくことが多い日々ですが・・)

教員になった私は、様々な”おもい“を”かたち“にするべく、特に研究室の学生と日々努力しています。歳を重ねたせいでしょうか、今の私の大きな”おもい“の1つに学生の教育があります。私は彼らに、「毎日研究をやらなくても良い。一週間の計画をたてて、その目標を達成するように1週間単位で帳尻をあわせてくれると良い。」と言っています。彼らの自主性を尊重していますし、なんたって20歳を超えた大人が「あれはどうなっているの?」と言われないとできないような学生を社会に送り出したくありません。それに加えて、勉強・研究だけではなく、学生の時しかできない事を余暇にやって欲しいとの願いがあります。

私の方から、たびたび「どうなっている?」と声をかけられる研究班ほど、このようなことが残念ながらできていません。成長した学生、日々を充実させている学生ほど、「こんなことをやってみました。」、「・・・・やってみましたが、うまくいかないので、今度はこうしたい、どう思いますか。」などと相談に来ます。彼らには感動しますし、大学教員をしていて良かったと思える時です。逆に、「・・・やってみましたができませんでした。」や、できなかった理由のみを長々と聞く羽目になると、良い環境、成長できる環境を自分は提供できていないんだなぁと反省、落胆してしまいます。でも学生たちの”おもい“は大切にしていますよ。

自慢の学生はどんな子?

さて、“おもい”を“かたち”にするべく、自主性に富んだ自慢の学生を2人紹介しましょう。(もちろん、他にも大勢いますよ。あくまでも代表です。)

~塩満 栄一(しおみつ えいいち)君~

塩満君は大学3年次から高電圧に興味を持ちました。現在、大学院の1年生ですが、水中でプラズマを生成してオゾンを発生させ、これによって水の脱色、滅菌を高効率で行えるような水中プラズマ発生装置の開発を行っています。装置を一から作り上げ、問題点があれば装置を改造するなど、試行錯誤を繰り返して楽しんでいます。次はこれをやりたい、これを試したい等、探究心旺盛、且つ(良い意味での)遊び心一杯です。見るからに力がみなぎっているって感じがします。右上の写真は、彼の”おもい“が”かたち“にならなかった残骸です。。。。。。。目標どおり水中プラズマ発生装置を完成させた後、彼は電力関係、自動車関連企業の開発職に就きたいとのことです。

~徳永 達也(とくなが たつや)君~

10/350 us 雷インパルス電流発生装置 超高電圧実験棟

もう一人紹介しましょう。電力会社に就職したい徳永君の研究は、雷による事故を低減するための避雷器の開発に関する研究です。メーカーの技術者とともに行っています。彼の実験場所は超高電圧実験棟。夏はとにかく暑い、冬は恐ろしく寒い、決して居心地の良い実験場所ではありません。現在、彼は大学院の1年生ですが、4年生の頃から1日10時間近くにもおよぶ実験を行っていました。何が彼をそうさせるのでしょうか?尋ねてみました。彼の回答は・・・次のとおりです(彼の原文)。

『研究を進めていく中で、世間では周知の事実である結果でも自分で実験して出た結果を見て「本当にこうなるんだ」と自分にも出来たことに喜びを覚えたり、「何でこんな結果?」とさらに探究したいと感じています。自分の研究を面白いと感じていますが、研究はうまく進まないことの方が多いです。そのため、いつも研究班のメンバーと「どうしたらいいかな?」、「ここはこうした方がいいんじゃない?」とアイデアを出し合って楽しく研究を行なっています。』

徳永君には次のような質問もしてみました。企業との共同研究をとおして感じる事は?

  • 製品化する上でコスト面や製造面といった、現場の技術者と大学の研究に対する考え方が違う点は勉強になります。
  • 企業の雰囲気や情報を聴けて今後の就職活動に活かせると思います。

ホント、素晴らしい、自慢の学生たちです!

宮崎大学 電気システム工学科って、電力研究室って・・・

私が担当している電力(迫田)研究室では、安定な電力供給のための新しい電力設備の開発、評価、及び診断技術の開発、加えて水環境にも目を向けて水中放電プラズマ源の開発などを研究しています。電力会社やメーカーの皆さんとともに、パワーみなぎる学生たち(大学院生14名、学部4年生7名)と楽しく、一生懸命にとり組んでいます。なかには1000時間の連続試験もありますが、弱音を吐くことのない彼らに感動。また、林教授の電力システム研究室と密接に連携することにより学生の研究、教育環境を向上させています。研究テーマは以下のようなものです。

  • 電力ケーブルの劣化診断技術の開発
  • 部分放電位置標定システムの開発
  • 避雷器内の放電機構の解明に関する研究
  • ポリマー機器の開発
  • ウィールス撃退!水中プラズマ源の開発

ところで、私の所属する電気システム工学科では、『電気を作る・送る・使う・貯める』や『情報通信』、『電気・電子回路の設計』といった電気に関する幅広い分野を学ぶことができます。電気システムを前面に打ち出している大学は少なく、電子回路、情報通信、電力、電力システムなど関係の教員がバランス良く揃っています。社会の基盤となる“電気”を一緒に勉強・研究しませんか?

最後に

大学受験を控えている皆さん、大学1年、2年次の皆さん、“でんき”って楽しいですよ。たくさんの“おもい”をもって、ぜひ、“でんきの世界へ”!


電気工学のヒトたち

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