センサ端末開発を通じて社会に貢献したい 株式会社東光高岳 戦略技術研究所 技術開発センター ICT技術グループ 宮﨑 未知果(みやざき みちか)さん

※本記事は、2025年7月に取材しました。

就職に有利なことが
志望の決め手

宮﨑さんが電気工学を志したのは、工学系に進学すれば経済的に自立し、安定した生活を送れると考えたからです。その中でも「もっとも将来的に安定して働けそう」という理由で電気系を選びました。また、ネットで見た電子工作の影響でモノづくりへの憧れも芽生えたそうです。「特に、動画サイトで見た自走するゴミ箱の動画が印象に残っています」と振り返ります。さらに、高校2年生の時に東日本大震災を経験し、計画停電による生活への影響からエネルギーの安定供給に関心を持ったことも、電気工学を学びたいと思った大きなきっかけでした。一方で、「高校の文理選択までは理系科目が得意でしたが、進学後は数学や物理、特に目に見えない電気分野は難しく、受験中も大学在学中も苦労しました」と、勉強面での悩みもあったと話します。

大学時代に気づいた
モノづくりの面白さ

高校卒業後、宮﨑さんは東京農工大学の電気電子工学科に進学。日々の勉強や研究に必死だったと振り返りますが、研究以外の学生生活ではモノづくり系サークルに参加し、仲間と一つの目標に向かって取り組むことの楽しさを実感したそうです。「ラジコンの飛行機やモデルロケット(火薬で飛ぶ小型ロケット)などを作りました。缶SAT(空き缶サイズの模擬人工衛星)のプロジェクトにも参加し、私は電子回路基板を担当しました」と語ります。サークルでは電気系の学生は珍しく、機械系や物理系、生物系、化学系の学生などがいて、異分野の仲間と交流できたことがとても楽しかったと笑顔で話してくれました。サークル活動を通じて、モノづくりの面白さに気が付いたといいます。

技術者として
活躍できるメーカーへ

モノづくりに関わる仕事がしたいと考えた宮﨑さんは、メーカーへの就職を希望。約半年間の就職活動の中で、エージェントから東光高岳を紹介されました。東証一部上場(現在は東証プライム上場)という事業規模や、関東圏内で働ける点に魅力を感じ、応募を決意。「正直、知らない企業でしたが、調べてみるとエネルギー供給の重要な機器を幅広く製造し、EMS(エネルギーマネージメントシステム)やスマートグリッドなど社会貢献性の高い事業内容に惹かれました」。また、就職活動を通して社員の方の雰囲気や人柄を魅力に感じ、ここなら技術者として思う存分働けると入社を決めたそうです。

電気設備のスマート保安を
実現するセンサ端末の開発

入社後はセンサ端末の開発に携わり、現在は配電盤など電気設備の環境を監視するセンシング機器の開発に取り組んでいます。具体的には、塵埃や水分の付着を検出するACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサを使い、配電盤内の樹脂絶縁材料の絶縁性能低下を診断し、最適な頻度で清掃ができるようにしています。「私はこのACMセンサの端末を開発しており、仕様書や図面などの設計資料の作成、回路基板の試作・評価を行っています」。現在、少子高齢化などによる電気主任技術者の減少を背景に、IoT機器を活用した「スマート保安」が官民協力で進められており、宮﨑さんのACMセンサ計測装置の開発もその一環です。電力会社や工場、インフラ関係など大規模な需要家がターゲットで、人手に頼らず効率的に電気設備を保守できることは、社会的意義の高い開発だといえるでしょう。

モノづくりの
やりがいと厳しさ

宮﨑さん「回路設計の試作に取り組んでいます」

センサ端末の開発は未経験だった宮﨑さんですが、先輩からの丁寧なOJTや指導を受け、安心して取り組むことができたといいます。学生時代に学んだ電気工学も非常に役立ち、「回路図を読んだり書いたりするのは大学1年のときに学んだことが活きています。フーリエ解析なども活用しています。大学時代は必死でしたが、それが今役立ちました」と話します。また、報告資料やレポートのまとめ方も現在の仕事に活きていると強調します。
これまでで一番大変だったことは、現地での検証中に測定信号に突然大きなノイズが発生し、原因究明に数か月かかったことだそうです。最終的に回路基板に原因があることを特定できたものの、モノづくりの厳しさを改めて実感した経験でした。一方、入社3年目のプロジェクトでは、回路に使う部品のデータシートをしっかり読み込んでいたことで、回路設計の誤りに気づき、修正できたときは大きな自信となり、技術者として成長を感じてとても嬉しかったと語ります。

「女性」という
 理由であきらめないで

大学時代、宮﨑さんの学年では女子学生は約100人中7人、サークルでも20人中2人と少数でしたが、「私は我が道を行くタイプなので特に気になりませんでしたし、不自由も感じませんでした」と振り返ります。現在の職場でも女性は多くありませんが、所属するICTグループでは25人中5人が女性で、産休や育休、L休(女性特有の体調不良時に取得できる特別休暇)などの福利厚生も充実し、復帰して働く方も多いと話します。ダイバーシティ推進も進んでおり、誰もが働きやすい環境づくりが進められていると実感しているそうです。そのため、女性が少ないこと自体は特に気にならないとしつつも、「もし女性だからという理由で理系に進むことをためらうような状況があるとしたら、それはなくなってほしい」と強調しました。

一生懸命やれば、
やりたいことは
やれるようになる

宮﨑さんに電気工学を学んでよかったことを尋ねると、「電気工学の魅力は就職に有利で、需要がなくならない業界であることです。私も3社から内定をいただき、東光高岳に入社できました」と話します。また昨年、趣味で電気工事士の資格を取得し、家の壁スイッチを自分好みに交換できるようになったことも挙げられました。「電気工事士の資格も取得しやすくなります」と笑顔で話します。さらに、大学時代のサークル活動で出会った仲間や、活動を通じて身につけた技能が、今の仕事にも活きていると語ります。最後に、これから電気工学に興味がある方へメッセージを伺うと、「世の中、大抵のことはなんとかなります。やりたいことがあるなら、ぜひ挑戦してください。私も留年したり卒業研究が辛くて挫けそうなこともありましたが、周りの支えがあってなんとかなりました」とアドバイスをいただきました。一方で「ただ簡単ではないので、しっかり考えて進んでください。あと、電気事故だけは十分注意してください」とも付け加えてくれました。

学生時代のわたしの研究

「局在型プラズモン現象を利用した二酸化バナジウムの相転移温度制御」という基礎研究に取り組みました。最終的には日光を照射すると赤外線を遮断するスマートウィンドウへの応用が考えられる研究です。特定の波長の光で赤外線透過率が変わることで、より快適な生活空間を実現できる可能性があります。毎日必死に研究に取り組み、大変でしたが、卒論発表後に他の研究室の教授から褒めていただいたことが励みになりました。学部卒なので研究室生活は短かったですが、海外からの留学生と交流し、飲み会やカラオケなどをして楽しい思い出もできました。

わたしの趣味

趣味は小型バイクで登山やキャンプ、ツーリングに出かけることで、ダムや産業遺構を巡るのも好きです。写真は尾瀬を訪れた時や、四国でツーリングした時のものです。四国では高知と愛媛の間の山脈を縫うツーリングロードを走り、東京からフェリーで渡りました。会社の同期やサークルの友人と一緒にツーリングに行くこともあり、仲間と過ごす時間も楽しみの一つです。

尾瀬にて

四国でツーリングしたとき

宮﨑さんのある一日

7:00起床
8:30出社・Teamsチェック
9:00進捗会議
10:00設計検討・資料作成
12:30昼休憩
13:30業者打合せ
14:30設計検討・資料作成※本日は実験がない日でした
17:00休憩
19:00退社
※ゆっくりスーパーで買い物。家でアニメなど見てお風呂入って寝ました。

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