日本、そして世界の電力・エネルギー分野に貢献したい。

2011年1月28日掲載

東京理科大学・内田研究室は、21世紀の電力・エネルギー分野での諸々の課題を解決するため、幅広く研究を行っています。主任教授の内田直之先生は、長年、(財)電力中央研究所に勤務された、電力系統研究のエキスパートです。

※2010年11月現在。文中の敬称は略させて頂きました。

モノづくりが好き、環境問題を解決したい、文系が苦手(苦笑)

なぜ電気工学を志望されましたか。

角谷:私はモノづくりが好きだったので、もともと工学部に興味がありました。その中で電気は色々なところに使われていて就職先も多くあるので、電気工学を志望しました。

山口:私も、昔から機械いじりが好きでした。なぜ電気工学科を受けたかというと、ちょうど私が受験した時期に、地球環境問題が世間で騒がれていたのです。それで、電気自動車や再生可能エネルギーに関わりたいと思って、進みました。

小林:私は単純に文系科目が苦手で(苦笑)。理系で特に物理が好きだったので、工学部へ進みました。機械工学科と電気工学科で迷いましたが、物理の分野では力学より電気の方が好きだったので電気工学科を選びました。

内田研究室へ進んだ理由も教えてください。

角谷:東京理科大学は、毎年2月に4年生の卒論発表があります。その発表で、各研究室の研究内容などを把握して、研究室を選びます。私は、電力会社で扱うような電気(強電系)の研究に興味があったので、内田研究室に進みました。

山口:私も同じです。電気と一言で言いますが、色々な種類があります。私はその中でも大規模な電力に関わりたかったので、内田研究室を選びました。

小林:私は就職先です。将来、電力会社へ勤めたいと考えていて、内田研究室が学内で一番、電力会社へ就職できていると知って志望しました。

電力系統を安定して運用するための研究

皆さんの主な研究内容を教えてください。

角谷:発電機などの出力が上限ぐらいまで上がっている時、何かあると停電が起きる場合があります。例えば、雷が落ちて送電が途切れてしまった時などです。その停電の度合いを「安定度解析」という方法で数値化する研究を行っています。

現代日本では停電はあまりありませんが、どのようなケースを想定されているのですか。

角谷:雷などによる事故時もありますが、現在よりも更に電力需要が増えて、発電機を出力上限ギリギリのところで運転せざるをえない場合です。例えば、諸事情で原子力発電所が使用不可能になり、他の発電機の出力を大幅に上げざるを得ないケースなども考えられます。

どのようにして研究を行うのですか。

角谷:パソコンでシミュレーションを行います。基本データは、電気学会が作成した東日本(50Hz)、西日本(60Hz)の2つの電力系統を模擬したものです。現段階でも停電の安定度解析はある程度行われていますが、今より早く正確に測定、解析できないか、研究しています。

山口さんの研究を教えてください。

山口:角谷さんと非常によく似ているのですが、停電などが起きたときの電力系統解析に関する研究です。停電時の解析に使われる計算法を改良しようというのが私の研究です。

停電時の解析に使われる計算法とは何ですか。

山口:停電が起きた時のデータを数値化して、系統の安定運用に活用します。そのデータを計算する方法の改良を目指しています。正確に言うと、改良というよりも新手法の提案に近いです。

計算法自体を変えてしまう研究をされているのですか。

山口:そうですね。計算を簡略化して、系統の安定運用に早く貢献したいと考えています。極端な例ですが、「X+Y+Z」だったら、「X+Y」だけにするという感じです。角谷さんと同じようにパソコンでシミュレーションを行っています。

小林さんは学部4年ですから、2010年の4月からはじめた研究ですね。

小林:はい。調相設備に関する研究を行っています。調相設備とは無効電力(※)を調整する電気機械器具で、「電力用コンデンサー」や「SVC(静止型無効電力補償装置)」などで構成されています。私は、この無効電力の調整について、パソコンでシミュレーションをしています。

具体的に調整とはどういうものなのですか。

小林:何らかのトラブルで系統への負荷が急に上がった場合、電圧に大きな変動が起こるなどの影響が出ますが、これらを安定化することです。内田先生も作成に携わっていた電力中央研究所のソフトウェアでシミュレーションを行っています。

※ 無効電力とは
交流の電気には、有効電力(仕事に変わる電力)と無効電力(仕事に変わらない電力)がある。
学生インタビューVOL.8「東北大学 先端電力工学(東北電力)寄附講座」をご覧下さい。
http://www.power-academy.jp/human/university/vol08/

プログラミングと学会で、苦闘しています(苦笑)

これまでの研究で、一番印象に残ったエピソードをお教えください。

小林:少し違うだけで良い結果が出ないので、悪戦苦闘しながらプログラミングに取り組んで良い結果が出たときは感動します。

例えばどのような失敗がありましたか。

小林:結果が真っ白ということもありましたね。何も出ませんでした(苦笑)。

山口さんはいかがですか。

山口:私は、広島で開催された学会へ行った時ですね。準備にすごく時間をかけて頑張ったこと、発表の前の緊張感、他大学の発表者の気迫など、色々なことが思い出に残っています。特に、他大学の先生から厳しい質問が飛んできたときは驚きました。色々な意味で「もっと頑張らなくちゃ」という気にさせられます。

角谷さんはいかがですか。

角谷:ふたりの話しと同じなのですが、まずはプログラムがきちんと動いたときですね。プログラムは融通が利かないので、きちんと結果が出ると凄く嬉しいです。そして、それを学会で発表したことは、一番の思い出です。

学生ライフと研究室ライフ、両立しています

研究室はどんな特徴がありますか。

山口:まず、1人1台以上のパソコンを持っていることが特徴だと思います。正確に言うと、1~2台ですね。

1~2台?

山口:2台使っている人もいます。

角谷:主に、持ち運び用のノートPCと研究室用のデスクトップPCですね。

パソコンで研究している研究室にとっては嬉しい設備ですね。他に何かありますか。

角谷:プレゼンの練習用に、30~40インチの大型テレビもあります。まあ、プレゼン以外にも使われていて、ワールドカップの時は、みんなで泊まって見たこともありました(笑)。

山口:飲み会はよくありますね。近くの神楽坂へ行きます。先生が飲むのが好きな方なので定期的にあって、今年も忘年会の予定が組まれると思います(笑)。

小林:学部4年生としては、研究に関して先輩たちに親切に教えてもらえることが有り難いですね。参考書などもお借りしています。

ゼミはどんな感じですか。

・ゼミ(毎週火曜日)の様子(学生へ指導されているのが内田直之先生)

角谷:毎週火曜日、ゼミを行っています。ゼミはパワーポイントでプレゼンテーションの後、質疑を行います。

山口:ゼミの後は、内田先生と個人面談を行います。内田先生には、この機会に限らず随時質問ができて、何でも教えて頂けますね。

サークルやアルバイトはしていますか。また、一日の過ごし方も教えてください。

角谷:アルバイトは週に1回、学部1年生に実験を教える手伝いみたいなことをしています。一日のスケジュールとしては、午前中は英語や電気主任技術者試験の勉強をして、午後は研究室で夕方位まで研究するといった感じです。

山口:私は、午前中は飲食店でアルバイト(週2~3程度)もしくは授業です。午後は6~7時位まで研究という流れです。

小林:私はアルバイトもサークルもしています。授業は午前から午後、それから研究をして、サークル(将棋部とスキー部)やアルバイトへ行きますね。

角谷:学会やゼミの発表前は遅くなったりもしますが、基本的には普通の学生生活だと思いますね。

超氷河期の就職活動で実感!電気工学はやっぱり就職に強い

電気工学を学んで良かったなと思うことを教えて下さい。

角谷:テレビや印刷機、パソコン、電柱に付いている変圧器などの仕組みが分かるようになったことですね。授業で習うのですが、電気製品の仕組みと電気の使われ方が分かることは大変面白く、楽しいですね。

角谷さんは修士2年ということで、就職について良かったことも教えてください。

角谷:私は、電力会社に内定を頂いています。今、戦後で一、二を争う就職氷河期ですが、比較的就職に有利と言われる工学部の中でも、不況の影響を一番受けていない学科かなと思います。就職が比較的しやすいので、大学進学を考えている高校生にお勧めの学科です。

他の学科と比べると、なぜ影響を受けづらいのでしょうか。

角谷:電気工学科の出身者はインフラ系に強いからだと思います。メーカーはどうしても不況の影響を受けやすく採用人数が上下しますが、インフラ系はあまり採用数が少なくならないのです。また、様々な会社が電気を扱っているため、電気系出身者を募集する会社が多く、幅広く活躍できることを就職活動の中で実感しました。

山口さんと小林さんはいかがですか。

山口:良かったことというか、面白かったことはいっぱいありましたね。例えば、鉄道システムは、電気工学を学ぶと電車を止める装置やシステムの流れなどが分かり、完全に理解できます。他にも、電線の働きなど、生活していく上で必要な電気の仕組みや理論を理解するのは面白いと思います。

小林:電気工学は、電子や通信から巨大な電力システムまで、学ぼうと思えば学べる学科です。卒業までにとらないといけない最低ラインはあるのですが、それ以外にも授業数はすごく多くて、自分で学びたいものを選んで学べますね。やりたいことが見つかる学科ではないでしょうか。実際に授業を多く受ける立場としては苦しいこともありますが(苦笑)。

皆さんの将来の夢や目標を教えてください。

角谷:得意な英語を活かして日本の高い電力技術を海外に広めていけたらいいなと考えています。発展途上国などでは停電の多い国がまだまだ多いので、それらの国々で役立つ仕事ができたらと思います。

山口:私は単純に、電気を使って仕事をしている場面を自分の子どもに見せたいですね。例えば、電車やオール電化住宅などに関わって、子どもに「自分の父親はこんなに立派なことをしているんだ」と教えたいです。

小林:私は、電力会社に就職したくて内田研究室を選びましたので、このまま大学院へ進んで、ぜひこの夢を実現したいです。

皆さんの将来の夢や目標が実現されるよう期待しています。本日はどうもありがとうございました。

内田 直之  教授(うちだ なおゆき)

私立/東京都
東京理科大学 工学部 電気工学科

内田 直之 教授(うちだ なおゆき)
21世紀の電力・エネルギーを取り巻く状況は、環境問題の深刻化・グローバル化、高齢化や人口減少に伴なう電力需要飽和などの不確定要素の大きい変化が予想されます。
特に、地球温暖化問題対策として太陽光発電など、分散電源の大量導入に伴う電力の安定供給対策が課題となっており、スマートグリッドについての研究に注目が集まっています。
内田研究室では、コンピュータシミュレーションを用いて、大停電を防止する方策の検討や、不確定な変動要因に対しても安定かつ低コストに電力を供給するための系統計画手法や運用・制御方式、また、そのための系統解析手法の研究、さらにスマートグリッドの運用制御技術の研究を行っています。また、向助教を中心に交通システムなど社会システムについての研究も進めています。

※インタビューへのご質問、お問い合せにつきましては、「こちら」にお願いします。

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