将来の夢へ、電気工学の知識を活かしたい

2010年2月5日掲載

東北大学 先端電力工学(東北電力)寄附講座は、エネルギー資源と地球規模の環境問題、地域社会との協調など、電気事業が抱える諸問題について、東北電力(株)の支援を得て研究、教育を進めています。担当教官である岡田健次教授は、電気事業や社会の問題解決に取り組む研究機関、財団法人「電力中央研究所」の研究員として、長年の間、電力工学の研究に携わった経歴をお持ちの方です。

※2010年1月現在。文中の敬称は略させて頂きました。

全員思い思いの理由で、電気工学を選びました

電気工学を志望された理由はなんですか。渡部さん、お願いします。

渡部:高校のときに物理が好きだったので、関係する学部に進もうと思っていたのですが、工学部と理学部との間で迷いました。そこで、扱う分野が広そうな方にしようと思い、工学部に決めました。その中から電気工学を選んだ理由は何かと言いますと、学科名でした(笑)。

学科名で選ばれたというのは?

渡部:学科名が電気情報物理工学科という名前で、工学部にある数々の学科の中でも物理という名称が入っていてカッコいいなと思って(笑)、決めました。

なるほど(笑)。小竹さんはいかがですか。

小竹:私の場合は、中学生ぐらいの頃からなりたいと思っていた職業が4つあるのですが、その1つが工学系技術者だったためです。電力関係の仕事が良いなと考えていました。残りの3つは、教員と弁護士、医者でした(笑)。

どれも格好の良い職業ですね(笑)。渋谷さんはいかがですか。

渋谷:私は、高校時代に東北大学のオープンキャンパスで電気工学系の研究紹介を見たことです。また、地理の授業でエネルギー問題について勉強したとき、分散型エネルギーや核融合などのクリーンエネルギーに興味を持ちました。それらが電気工学を勉強したいと思ったきっかけですね。

オープンキャンパスで一番印象に残ったことはなんですか。

渋谷:プラズマ応用の説明や核融合の話が印象に残りました。プラズマ応用は、実際にものを浮かせるデモンストレーションを見ることができて、面白いなと感じたことを覚えています。

日本で最先端の電力工学に挑む!

現在行っているのは、どのような研究ですか。渡部さんからお願いします。

渡部:私は、「無効電力の供給コスト評価に関する研究」です。

無効電力とは何ですか。また、どのような研究内容でしょうか。

渡部:交流機器に供給された電力(皮相電力)のうち、その機器で実際に消費された電力を有効電力といいます。それに対して、実際に消費されなかった電力を無効電力と言います。
無効電力は、電圧の維持や制御などに重要な役割を果たしているのですが、そのコスト評価の適切な方法が、現在は存在しないのです。その評価方法を明らかにすることが研究の最終目標です。

なるほど。小竹さん、お願いします。

小竹:私は、「電源の系統接続評価の研究」です。電力の流れのことを潮流というのですが、その潮流は送電線に流して良い上限量が決っています。それを超えてしまうことが予想される場合、どこの発電機の出力を下げるのか、逆にどこの発電機の出力を上げるのか、一番コストが少なくなるように潮流のバランスをとりながら電力を供給するにはどのように運用すればよいのか、解析ソフトを使用して研究しています。

最後に渋谷さん、お願いします。

渋谷:私は、「電源事故・送電線故障を考慮した地点別信頼度評価に関する研究」です。簡単に言いますと、電源と送電線を効率よく運用して、電力のコストを下げることを目的とした研究です。その中で、電源事故や送電線故障を考慮することで、安定した電力供給を併せて実現するものです。

故障を想定する研究というのはユニークですね。

渋谷:はい。最近、環境対策として分散型電源や太陽光・風力発電などが話題に上ることが多いですよね。これらの発電方法は、確かに環境にやさしいのですが、天候などの諸条件に左右されやすく、出力が非常に不安定なため、電力系統に影響を与えやすいのです。これらの影響を含めて、電源事故や送電線故障などに対して電力系統のバランス調整を行うことは、電力安定供給には大切な要素です。

教授と一緒に、シミュレーションの奥深さを探求する

皆さん、研究はパソコンでのシミュレーションが中心ですね。研究で印象に残ったエピソードがあれば教えて下さい。

渋谷:こういった内容は、講義では習いませんよね。半分仕事みたいな感じで潮流計算などを学べるのが、実際の技術者のようで楽しいです。

小竹:私は、何日もかけて作ったプログラムを実行して、自分の求める結果が出たときに満足しますね。

渡部:正直に言えば、シミュレーションは実験と違って現象を目で直接見るものではないので、面白くないかもしれません(笑)。その反面、奥深さみたいなものはあると思います。例えば、円周率は"3.14159・・・"とほぼ無限に続くのですが、計算機で計算する場合は、時間短縮などのため、ある程度の桁で区切って有限桁の数字として扱います。そのために計算結果に誤差が出るのですが、有限桁の扱いを誤ると、誤差の影響でプログラムエラーが発生して、よい計算結果が得られません。そういった所に、シミュレーションの奥深さがあるような気がします。

研究室には、どんな特徴がありますか。

小竹:研究室で保有しているパソコンが多いことですね。研究に不可欠で全員に支給されるため、パソコンを自分で準備する心配がいらないということが大きいと思います。もちろん、必要なソフトもすべて支給してくれます。

ソフトは主に何を使っていますか。

小竹:主に、MATLABという数値解析ソフトウェアを使っています。もともとは制御工学の分野で使われていましたが、今では多くの分野で使われているソフトウェアで、短時間で簡単に科学技術計算を行うことができます。

では、研究室の雰囲気はどんな感じですか。

渋谷:教授が頻繁に学生の研究室に来てくれる点が結構大きいと思います。他の研究室だと、教授は自室にいる時間が多いそうですが、岡田先生は学生の部屋にも頻繁に来て、研究指導をして下さったり、研究以外にもいろいろな話をして下さいます。

教授と一体感を感じながら研究できるということはいいですね。岡田研究室は仲間と懇親するための行事も多いみたいですね。

小竹:そうですね。新人歓迎会、芋煮会、バレーボール大会、テニス大会、研究室対抗駅伝大会とか(笑)、色々ありますね。イベントはほとんど参加していますが、みんなで楽しくやれている研究室だと感じます。

それらの行事で思い出に残っていることはありますか。

渡部:正直なところ、いつも酔っ払っていてあんまり覚えていません(笑)。駅伝大会では走者として参加しましたが、走った後、みんなでおでんを食べて酒を飲んだことだけを覚えています(笑)。

渋谷:電力・エネルギー系の研究室内で野球大会を新たに開催したことです。同じ東北大学の一ノ倉研究室や斎藤研究室など、似た内容の研究をしている仲間とコミュニケーションをとる機会が増えたことは良かったと思います。

電気の知識は、人生の充実に役に立つ

学会活動はいかがですか。

渡部:修士2年からは、基本的に国際学会へ参加します。私たちは一年なので、来年が楽しみですね。今年は先輩達が中国へ行きました。

それは楽しみですね!学会での活躍を期待しています。バイトやサークルはいかがですか。

渋谷:私は、週2回、よさこいサークルで活動しています。高知とか北海道で盛んな「よさこい鳴子踊り」という踊りがあるのですが、仙台市内の大学生が集まって活動しています。

小竹:私は、ボランティア活動をしています。他には、人形劇のサークルでも活動しています。バイトもいろいろとしていますが、4カ月間、高校の非常勤講師をしていたこともあります。オフも充実できる研究室だと思います。

電気工学を学んで良かったと思うことを教えてください。

渡部:身近な電子や電気関係の仕組みを理解できることです。例えば、AV機器で音楽を編集するとき、電気工学で学んだことが機器に応用されているので、操作内容をしっかりと理解できます。

小竹:私の場合は、先ほども申し上げた通り、将来の夢が電力会社の技術者ということもあり、夢の実現へ向けて一歩を踏み出せたことが大きいです。

渋谷:私は、知識を得られたことが一番大きいです。電気工学を学んだことによって、発電方法や電力系統などに興味を持てるようになったことが大きいと思います。

最後に、将来の夢や目標をお話下さい。小竹さんの場合は、先ほど言われたことですか。

小竹:そうですね。夢は希望する電力会社に就職し、地域の電力供給を守るということです。

渋谷:私は生れも育ちも東北なので、東北をより良くできるような企業に就職したいと思っています。具体的には、電力・インフラ系を中心に就職活動をしています。

渡部:私も電力会社を志望しています。電力を安定的に供給することで東北に貢献できたらと思っています。ただし、それに固執しているわけではなく、自動車関係のメーカーにも興味はあり、いろいろと可能性を模索している段階です。ただ、せっかく身につけた技術を仕事の中で活用していきたいという希望はあります。

ぜひ、これからも日本で最先端の研究を追及してください。ありがとうございました。

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