ブレイクスルーを目指して

2008年9月4日掲載

川田昌武

徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 エネルギーシステム部門

1995年
武蔵工業大学大学院修士課程修了
1998年
大阪大学大学院博士後期課程修了、博士(工学)
1998年
名古屋工業大学助手
2002年
徳島大学講師
2003年
徳島大学助教授
2005年
南カリフォルニア大学客員
2007年
徳島大学准教授

研究室データベース:川田研究室

電気工学は我々の生活から切り離せない分野です。電気がなければ今の生活は成立しません。この背景には、多数の研究者、技術者が心血を注いで研究、開発に従事されてこられたという事実があります。そこには多くのブレイクスルー(Breakthrough:新しい現象を発見する。既知の現象を新しい方法で説明、解決する[1]。) があります。この世の中をより良く発展させるためには、ブレイクスルーを目指す必要があると考えています。

国際会議で発表中の私

私は「電磁波計測技術、信号処理技術を電力機器設備の絶縁劣化診断に利用する研究」に従事しています。研究対象は電力機器設備なので電力工学、高電圧・放電工学、誘電・絶縁工学が必要で、電磁波計測技術には電磁波工学、アンテナ工学、計測工学、計算電磁気学、また、受信電磁波から重要な情報を抽出する信号処理工学が必要になります。さらに、自動診断装置を作るには人工知能(知能情報工学)が必要になります。

私は大学、大学院を通じて異なる二つの大学に所属し、大学の卒業研究、大学院修士課程ではニューラルネットワーク(人工知能)に関する研究に従事し、博士後期課程でこの絶縁劣化診断に関する研究を始めました。博士後期課程ではご指導頂きました教授、助教授の先生方のご専門が異なっておられましたので、多くのことを学ばせて頂きました。

本研究室の学生は、国際学会の発表賞を受賞しました。

博士後期課程修了後は別の二つの大学に教員として奉職し、新たに「信号処理技術をタービン、発電機等の回転機の振動診断に利用する研究」を企業と共同で始めました。企業との共同研究は博士後期課程在学中に経験させて頂いており、その経験が本共同研究において生かされています。

米国の大学にも1年間派遣され「高度信号処理技術による脳研究」に従事しました。具体的には脳内の電磁現象を可視化する方法を研究しました。研究対象が絶縁材料と脳とでは異なりますが、頭蓋骨は絶縁体でその中にある大脳皮質上の電磁気現象を電磁気学、信号処理工学を利用して可視化するという点で似ていると考えています。他にも様々な手法が脳内電磁現象の可視化には取り入れられていますので、これを絶縁劣化診断に利用しようと試みています。勿論、その逆も考えています。

電気学会全国大会で発表した本研究室学生

同大学の研究環境ですが、工学系の研究室には全世界から学生、教員が集まっていました。所属研究室(教授はイギリス出身)の博士研究員と学生の出身国はドイツ、韓国、中国、インド、トルコ、ギリシャ、ブラジルで、毎日が国際会議に参加しているようでした。なお、研究室配属は博士後期課程からです。

どのようにすればブレイクスルーを生み出せるか?の明確な答えは分かりませんが、意識しつつ日々研究を進めています。

参考文献:
[1] 市川惇信、ブレイクスルーのために 研究組織進化論、オーム社、1996年


電気工学のヒトたち