電気工学で環境問題を解決したい!

2010年3月31日掲載

岡山大学・高橋研究室は、1963年に開設された伝統ある研究室。現在は、主に磁気特性測定と有限要素法を用いた磁界解析の研究を行っており、モーターの高効率化など社会全体の省エネルギー化に大きく貢献しています。

※2010年1月現在。文中の敬称は略させて頂きました。

エコに貢献できるから、電気工学を選びました

なぜ電気工学を志望されましたか。

三木:私は、高専出身ですので15歳のときに電気工学系の学科へ進学を決めました。きっかけは、友達と一緒に高専のオープンスクールへ行ったとき、ロボットを見て面白そうだと思ったからです。また、その頃不況だったので手に職を持ちたいと考えたところ、さまざまな業界で活躍できそうな学問として電気工学が浮かび上がったのが一番の理由です。ロボットにも、電気工学(制御技術)が関わっていますので。

山下さんはいかがですか。

山下:私は、電気の仕組みに興味を持ったので電気電子工学科を選びました。今、三木さんが言われた就職のことも理由のひとつです。それから、電気回路を見ることも好きでしたね。

高橋研究室へ進んだ理由を教えてください。

三木:高橋研究室では主にモーターに関する研究を行っています。現代社会において、モーターの効率化により、省エネルギーに大いに貢献することができます。私は、地球環境に貢献したい気持ちがあったので、高橋研究室を選びました。

山下さんはいかがですか。

山下:はい。私も一緒で、環境問題や省エネに関わっている研究室ということで選びました。あと、この研究室は企業との共同研究が多いという話を聞いたので、将来的に役に立つのではないかと思って進みました。

地球環境にやさしい省エネルギーを実現する、磁気研究

三木さんは、どのような研究をされていますか。

三木:磁気特性測定の開発に関する研究です。具体的に言いますと、電磁鋼板という、高透磁率かつ低損失なモーターの材料を扱っています。鉄にケイ素が3%程度含まれた材料です。

電磁鋼板を使用するとモーターの性能が良くなるのですか。

三木:そうです。私は学部4年生のときから、この電磁鋼板に応力(物体に外力が加わる際、その物体内部に生ずる力)をかけると、その特性がどう変化するのかという実験をやっています。応力が加わると性能が劣化してしまうので、劣化しないような電磁鋼板にするためにはどうすればよいのか、実験しています。例えば、応力をかけた方向と、同じ方向に磁界を加えるなどです。

山下さんはどのような研究をされていますか。

山下:私は、パソコンでシミュレーション解析を行っています。2009年4月からはじめた研究ですが、有限要素法を用いた磁界解析の高速化というものです。

具体的な内容を教えてください。

山下:まず有限要素法とは、簡単に言うと、ある場所の磁界を調べたいときに、その場所を細かく分割して、そのひとつひとつについて全てを調べる数値解析手法の一種です。

全部調べるというのは凄く大変そうですね。

山下:そうですね。気が遠くなります(笑)。私はその有限要素法を用いた解析の高速化を目指しています。磁界の透磁率は場所や時間によって一定ではないため、現在の方法で解析すると時間がかかってしまいます。私は自分でプログラムを組み、新しい有限要素法の研究をしています。未知の世界に進んで行く感じで楽しいですね。

なるほど。それでは皆さんの研究は、環境へどのように貢献できるのですか。

三木:私はモーターの高効率化の研究をしています。モーターは、電車、工場、家電製品などでたくさん使用されています。そこでモーターの高効率化ができれば、社会全体でかなりの省エネルギーになるのです。例えば、「回転機全体の効率を1%改善すると、約70万kWの発電機1基分 の省エネになる」 ともいわれています。

山下:私がやっている研究は、環境への貢献に直接つながるものではありません。でも、解析スピードが速くなれば研究の効率が上がるので、間接的に環境に関する研究にも貢献できるのではないかと思います。

ひとり一台の実験設備と工作機械、サーバ、最先端設備が満載!

サーチコイルなど工作機器が満載の実験室

主に実験で研究を行うメンバーたち
(下段左・高橋 則雄教授)

研究室の特徴を教えて下さい。

三木:実験設備については、ひとりひとりに専属の機器が与えられています。共同で使うのではなく、各々のテーマにそった実験設備が使用できるのです。また、工作機器も、研究室内にあるのでほぼ研究室内で事足ります。それから、最新のプロジェクターなどもありますので、設備は充実していると思います。

工作機器で実験設備をつくっているわけですか。

三木:はい。計測器や電磁鋼板などは購入していますが、簡単な巻線や、磁束密度と磁界の大きさを測定するサーチコイルなどは自分たちでつくっています。工作好きやものづくりが好きな人にはたまらない研究室だと思います(笑)

では、解析を行う山下さんはどうですか。

山下:まず、パソコンがひとり1台支給されています。それから、20台ぐらいのサーバが研究室にあって、膨大なデータを扱えます。

ハードもソフトも充実している研究室ですね!研究室の仲間達とのコミュニケーションはどうですか。

サーバや20台以上のPCが研究室にある

三木:ゼミが月に3回程度あります。そこで各自が発表して、先生方と相談しながら研究を進めていきます。6月か7月に学科対抗のソフトボール大会がありますので、みんな試合へ向けて練習しながら交流を深めていきます。このソフトボール大会で結構仲良くなります(笑)。全員集まった飲み会も年に3~4回ぐらいやります。

山下:解析班に限ると、有志を集めてマラソンをやっています。岡山大学の大きな敷地を走っています。一回「蒜山高原マラソン大会」というのに出て、1人10キロぐらい走りました。青春ドラマみたいな感じで、週3、4日、走って大会に備えていました(笑)。研究室のみんなはノリがよくて、誰かがやろうと言ったらやってしまう感じです。(笑)。

いかにも仲が良さそうですね。産学共同研究について教えてください。

主にパソコンによる解析で研究を行うメンバーたち

三木:高橋研究室と共同研究しているモーター関係の会社に、電磁鋼板の特性データを提供しています。企業の方から「こういうことをしてほしい」といった要望があり、自分の研究が製品化に役立っていると感じられるのがうれしいですね。

学会はどうですか。

三木:私は、電気学会の全国大会と、磁性材料の研究会に参加して、自分の研究内容をプレゼンしました。

学会発表の資料作成は、大変ですか。

三木:そうですね。特にデータ収集が大変ですね。良いデータが1回で取れるとは限りません。何回も取り直して、論文を書くといった感じです。学会やゼミなどの発表前は夜遅くなりますが、それ以外は7時、8時には帰ります。アルバイトもやっています。

アルバイトは何をやっているのですか。

三木:私は、飲食店のキッチンを週3回やっています。

山下さんは?

山下:私は週2回、岡山大学の生協のブックストアーで働いています。帰る時間も、三木さんと同じような時間です。研究室というと大変なイメージがあるかもしれませんが、アルバイトもできます。

不景気でも、電気工学は就職に強い

電気工学を学んで良かったことを教えてください。

山下:電気は色々なところで使われているので進路の選択幅が広がります。ですので、自分の将来に悩んでいる人は、電気工学系の学科を選択すれば、きっとやりたいことが見つかると思います。

三木:就職ですね。2009年に就職活動を行いました。ご存じのようにリーマンショック以降、企業の採用人数が大幅に減って、就職が大変厳しい状況です。ただ、うちの研究室は、学校推薦でみんな良い企業へ行けたかなと思います。厳しいと言われる中でも、電気工学系の研究室は、だいたい例年通りで就職できていると思います。

この景気でも、電気工学の知識を求めるニーズは高いのですね。三木さんはどのような企業へ就職するのですか。

三木:大手の電機メーカーです。そこで、発電機の製作に関わる仕事をする予定です。就職活動のときに、モーターの知識をアピールさせてもらいました。

これからの夢や目標を教えてください。

三木:環境に貢献できるような製品づくりをしていきたいと思っています。その中で、自分自身に与えられた課題に対して、積極的に一生懸命取り組んでいきたいですね。

山下:私も地球環境に貢献できる仕事ができれば、素晴らしいことではないかなと考えています。

ぜひ、これからも環境にやさしい研究や製品開発に頑張ってください。本日はありがとうございました。

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