未来への扉の鍵は『好奇心と継続』---鈴鹿高専電気電子工学科 5つの取組み---

2012年4月25日掲載

大津 孝佳

鈴鹿工業高等専門学校 電気電子工学科 教授

1985年
山梨大学大学院電気工学専攻修了 工学修士
1985年
(株)日立製作所
1997年
慶応義塾大学 工学博士
2003年
(株)日立グローバルストレージテクノロジーズ
2010年
鈴鹿工業高等専門学校 電気電子工学科 教授

鈴鹿高専電気電子工学科では、未来を支える創造性豊かなエンジニアの育成を目指して、多様な取組みを行っております。

そのような中で、昨年2011年は3月11日に東日本大震災があり、エネルギー供給の大切さを再認識し、また一方で11月15日に再生可能エネルギーである「メガソーラたけとよ」(東海地区1位)が操業開始して間近で説明を受けるなど、本学科生にとって環境とエネルギーについて考える多くの出来事があり、環境とエネルギーについて多くの学生たちの感心が高まりました。そこで、その活動の中から5つの取組みについてご紹介します。

1.「次世代電子デバイスの静電気対策技術シンポジウム」での発表、優秀賞の獲得

中部パワーアカデミーの協力で開催、研究学生発表会で優秀賞受賞

JAPAN CENTRAL ESD NEXT 2011 @NAGOYA

2011年8月26日に中部電力東桜会館にて「次世代電子デバイスの静電気対策技術シンポジウム」が開催され、学生の発表会では、本学科の7名が参加致しました。このシンポジウムは、IDEMA(日本ハードディスク協会) ESDコントロール部会とNPO法人ESD協会の共催、中部パワーアカデミー、中部エレクトロニクス振興会、電気学会東海支部、静電気学会、三重県産業支援センタ、鈴鹿高専、鳥羽商船、鈴鹿市、ケーブルネット鈴鹿等協賛によるものです。

<プログラム>

開会式
(9:20~9:30)
Session 1 :ハードディスクと静電気(3件)
(9:30~10:30)
Session 2 :半導体と静電気(3件)
(10:35~11:35)
Session 3 :システムと静電気(2件)
(11:40~12:20)
Session 4 :電子機器の静電気対策技術(3件)
(13:20~14:20)
Session 5 :静電気と電磁波(2件)
(14:25~15:15)
Session 6 :静電気対策と産学官連携(2件)
(15:20~16:00)
Session 7 :静電気研究生LT発表会(6件)
(16:05~17:05)
表彰式・閉会式
(17:05~17:30)

シンポジウムの様子

シンポジウムの様子

静電気の専門家による6つのセッション(Session)計15件と学生による、「静電気研究学生LT(Lightning Talk)発表会」(6件)からの構成でした。静電気対策技術のシンポジウムとして、”産学官が連携”したこのような試みは今まで無く、参加者は神戸、大阪、名古屋、岐阜、静岡、三重を始め関東、東北方面からもあり、会場は満席。プログラム内容は技術者のみならず学生教育にも有意義であると評価されました。そして何より、学会・協会・企業・研究機関と連携した本会議は、電子デバイス・スマートグリッド・医療福祉等の次世代技術の発表や情報交換の場としてとても重要であり、次年度も中部地域での開催要望が多く寄せられました。本シンポジウムが果たした役割はとても大きいなものでした。

優秀賞を受賞した学生達

優秀賞を受賞した学生達

このような中、本校の若林、中西、関、大西(4年)、林田(5年)、今井(専攻科1年)、藤川(専攻科2年)は、「静電気研究学生LT発表会」にて発表を行い、見事に優秀賞を獲得しました。今後の活躍が大いに期待されます。

2.高専ロボコン2011 東海北陸地区大会にてダブル受賞

パワーアカデミーが応援するロボコンでも、鈴鹿高専活躍!!

高専ロボコンプロジェクトメンバー

高専ロボコンプロジェクトメンバー

2011年10月30日(日)岐阜アリ―ナにて開催された高専ロボコン東海北陸地区大会にて、鈴鹿高専Aチーム(千鳥乃番)が技術賞、Bチーム(long long ago)が特別賞(マブチモーター(株))のダブル受賞となりました。ロボコン大会は、モーターの制御や通信など多くの電気工学の知識が必要とされます。そして重要なのは、バッテリーマネージメントがエネルギーを考える良い機会であることです。環境とエネルギーの観点からも創造的活動の一環として取り組んでいます。本年2012年度は高専制度創設50周年の記念大会です。今年こそ全国大会に出場します。応援宜しくお願い致します。高専ロボコン!今年も頑張ります。

3.「メガソーラたけとよ」の一般見学開始の初日に電気電子工学科3年生46名で訪問。

中部パワーアカデミー、中部原子力懇談会のご協力に感謝

「メガソーラたけとよ」と電気電子工学科3年生

「メガソーラたけとよ」と電気電子工学科3年生

社会見学と今後のエネルギーを考える創造教育の一環として、原子力懇談会と中部パワーアカデミーのご協力により、2011年11月15日に電気電子工学科3年生による見学会を開催しました。

太陽光発電を行う「メガソーラたけとよ」については、一般見学会の初日にご案内頂き、また浜岡原子力発電所の全台停止による電力需要に応えるため再稼働した石油火力発電所である「武豊(たけとよ)火力発電所」、国内最大(世界的にも最大級)の石炭火力発電所である「碧南(へきなん)火力発電所」の3つの発電所を訪れました。武豊火力発電所では所長自ら、説明をして頂き、復活した発電所内の高所にあるグレーチングの上を歩く体験もさせて頂きました。浜岡原子力発電所の停止に伴い、ベンチからいきなり登板したピッチャーの話、その際の腐食した配管の交換などエンジニアの熱い思いが伝わってきました

3年生 碧南火力発電所見学

3年生 碧南火力発電所見学

3年生 武豊火力発電所見学

3年生 武豊火力発電所見学

4.「トキワイルミネーションファンタジア(山口県宇部市)」に「次世代電子デバイスの静電気対策技術シンポジウム」で発表した間接放電法を用いたプラズマボールを形にして展示。

夢を形に、そして感動!!

ファンタジックなクリスマスケーキ

ファンタジックなクリスマスケーキ

本学科4年生時には創造工学という授業があり、電気電子工学で学んだことを基に、作品を製作し、学祭等で見て頂くなど、ものづくりの実践的取組みをおこなっています。『“市販の電球”で幻想的なプラズマボールが作りたい。』という思いから4人のプロジェクト(若林、中西、関、大西)が始まりました。しかし、そう簡単にプラズマが点灯することは無かったのです。 状況が変わったのは、偶然による『間接放電法』の発見でした。間接放電の方が直接接続よりも立ち上りの早い電圧が印加できるというものです。この発見を最初に紹介した静電気のシンポジウムで発表し、見事に優秀賞を受賞しました。その後も、実際の作品にどのように応用したらよいか苦悩の日々が続きました。『ソケットの中で放電させれば良い』と言う2つ目の発見の幸運を彼らは逃がしませんでした。そして、鈴鹿高専の学生達が見出した2つのアイデアから、山口県宇部市で開催された「トキワイルミネーションファンタジア」にこの『ファンタジックなクリスマスケーキ』の贈り物を届けることが出来ました。電子回路、高電圧、放電、プラズマ、シーケンス制御といった電気電子工学と発見と工夫が詰め込まれている作品です。そして2012年3月3日には、鈴鹿市の男女共同参画センター主催の『ジェフリ―ふぇすた鈴鹿』にも展示されました。

5.平成23年度 電気学会 高校生懸賞論文コンテストでトリプル受賞

主催:電気学会 電力・エネルギー部門,共催:パワーアカデミー

平成23年度電気学会 高校生懸賞論文コンテスト 審査結果

電気学会では、パワーアカデミーの協賛のもと、高校生・高専3年生までを対象として、論文コンテストを実施しています。昨年23年度は環境とエネルギーについて考える良い機会でした。環境とエネルギーについて関心をもっている本校3年生も日頃のアイデアをもって論文コンテストに挑みました。全国から261編もの数多くの論文が集まり、電気学会 電力・エネルギー部門,ならびにパワーアカデミーで構成される審査委員による厳正な審査され,最優秀論文賞1編,優秀論文賞2編,佳作賞5編,指導者賞1名が選出されました。

その結果、鈴鹿高専では、門脇昌紀さんが「電気自動車によるF1レースの可能性」で見事に最優秀論文賞を、三谷卓矢さんが「振動発電の利用」で佳作賞 、わたくし大津孝佳が指導者賞のトリプル受賞をすることができました。なお、表彰式は,2012年3月10日(土)に国立科学博物館(東京上野)で行われました。

右から、三谷卓矢さん、門脇昌紀さん、高橋校長、私(大津)

右から、三谷卓矢さん、門脇昌紀さん、高橋校長、私(大津)

まとめ

鈴鹿高専電気電子工学科での創造的エンジニアの育成を目指し、環境とエネルギーについての活動の中から5つの活動について紹介しました。パワーアカデミー、中部パワーアカデミー、中部電力、中部原子力懇談会、電気学会のご協力により、様々な体験をさせて頂き、学生達のモチベーションの向上にも繋がりまして大変感謝しております。

この他にも、パテントコンテスト、デザインパテントコンテストなどの知的財産活動への取組みも行っています。鈴鹿高専では、今後も世界に羽ばたく創造的エンジニアの育成を行って行きます。 中学生の皆さん、環境とエネルギーに感心があれば、是非、電気電子工学科の扉を叩いてみて下さい。未来への扉の鍵は『好奇心と継続』です。また、地域連携活動、産学官連携活動等も行っております。企業の皆様もご連絡頂ければ幸いです。お待ちしています。


電気工学のヒトたち