東日本大震災を経験して

2011年9月30日掲載

園田 潤

仙台高等専門学校 知能エレクトロニクス工学科
准教授

2005年
東北大学大学院環境科学研究科博士課程環境科学専攻修了 博士(学術)
2002年
仙台電波工業高等専門学校 電子工学科 助手
2007年
仙台電波工業高等専門学校 電子工学科 准教授
2009年10月
宮城工業高等専門学校と仙台電波工業高等専門学校が高度化再編され、『仙台高等専門学校』 が誕生

東日本大震災における本校の被災状況について

このたびの東日本大震災により、お亡くなりになられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

東日本大震災では残念なことに、入学予定者1名、4名の父母の方が犠牲になりました。施設では、私が所属する仙台市青葉区愛子の広瀬キャンパスでは建物の被害は比較的少なかったのですが、教育研究で使用する測定器類が損壊しました。現在はこの修理や買い換えをしています。名取市愛島にある名取キャンパスでは、グラウンドや校舎に亀裂が入るなど被害が大きく使用できない施設があります(詳細はこちら)。
私の教員室では書類が散乱する程度でしたが、学生居室では入口付近の本棚が倒れたためドアが開かなくなったり、机の上のパソコンが倒れるなどの被害がありました。震災当時は、翌日本校で開催予定の研究会の会場準備やクラブ活動などのため、学内には100名程度の学生がいましたが全員無事でした。

地震後は、広瀬キャンパスでは3/14(月)に電気が復旧しましたが、水道やガスの他、ガソリンや食料品の不足が深刻で、学校近辺の商店にも長い行列ができました。自宅でも水道が3月末まで復旧せず、初めて給水車に並ぶ体験をするなど、ライフラインの大切さを身に染みて実感しました。

図1 研究室の被害状況

図2 食料品買い出しのための行列と入り口の注意書き

震災経験を活かした、電気工学とICTによる人に役立つ技術・使える技術の研究開発を目指して

東日本大震災を経験して、役に立つ技術や使える技術、特に新エネルギーや災害被害最小化技術を提供する研究の重要さをますます感じています。私の専門分野は電磁波工学ですが、パワーアカデミーの助成を受けている「空間電磁波の回収再利用(電磁波エネルギー・ハーベスト)技術」や、科学技術振興機構の助成を受けている「電磁波レーダによる河川海岸堤防の内部構造センシングの高速化・高精度化技術の研究」を行っております。現在は基礎研究段階ですが、現場で実際に使用できる実用技術に発展させるための研究を進めています。

図3 フラクタル構造中の共振特性とマイクロ波による実証実験

図4 グラフィック用プロセッサGPUによる地中レーダの高速シミュレーション

これらの研究には、研究室の学生も参加しています。高専では専攻科まで進学すると中学卒業後7年間も同じ組織に在学することになり、視野が狭くなることが懸念されます。そこで、研究生へのアドバスですが、
(1) 企業や大学との共同研究を経験して、様々な考えや立場の人と接すること。
(2) 研究成果を学会で発表したり論文投稿をしたりして、外部からの評価を受けるみること。

このような研究活動を通して、高専生や研究生が陥りがちな主観的思考から、社会一般から自分自身を見られるような客観的思考が持てるようになってもらえれば、と日々考えています。


電気工学のヒトたち