災害時の避難所である学校の蓄電池がしっかり働くために/函館工業高等専門学校 下町 健太朗 助教

2021年5月掲載

研究者函館工業高等専門学校 下町 健太朗 助教

※上記肩書きは、インタビュー時のものです

下町健太朗助教は、平常時の電源利用をなるべく制限せず、非常時にも対応可能とするような学校のためのエネルギーマネジメント手法を開発し、実際の学校で試算されました。今後は普段使いと災害時とで蓄電池の使い方について研究されるとのことです。

学生時代にも助成を受ける

Q.「パワーアカデミー研究助成」に応募したきっかけをお教え下さい。

私は学生時代から電力・エネルギー関連の研究に携わっており、「パワーアカデミー研究助成」については以前から存じ上げておりました。ありがたいことに博士後期課程の際に1度、現在の職に就いてから1度、「パワーアカデミー研究助成」を受けています。これらの研究成果については外部へ発表しており、その発展に当たる研究も継続しております。
今回は、近年の防災意識の高まりから新しいテーマを立ち上げたいと考え、その研究の推進のためにと応募しました。

災害時に学校でエネルギー供給する

Q.研究内容をお教え下さい。

皆さんの生活している周辺にも学校があると思います。その多くは災害時に避難する場所として指定されているでしょう。しかし学校は避難のためだけに作られたわけではないので、いざ避難場所として利用しようすると、エネルギー供給の面でうまくいかない可能性があります。例えば地震や台風などで電力系統からの供給が受けられない場合は、学校でも電気を利用することが難しくなるのです。
そこで私は、学校に太陽光発電や蓄電池を導入して、災害時でもある程度のエネルギー供給ができないかを検討しています。蓄電池を災害時だけの利用に限定すれば災害時には困らないでしょうが、普段からこれを使わずにおくのはもったいないことです。そこで普段使いしつつ、災害時にはしっかり働くような使い方を考えることが私の研究テーマです。今回の研究では、そもそもどれくらいの蓄電池があればうまくいきそうなのかを、実際の学校を対象として試算しました。

学校に各種電源を導入するイメージ

実在する学校で要領を設計

Q.現在までの研究成果と今後の展開についてお教え下さい。

これまで、実在する学校1校に蓄電池を導入する際に必要となる容量を設計することができました。この学校は既に蓄電池を持っていますが、災害が起こった際に避難所を48時間維持するには容量不足であることがわかりました。
普段使いと災害時とで蓄電池の使い方をどう分けたらよいかまでは検討できていないので、今後はこの点について研究するつもりです。

電気工学の発展が世界中を幸せにする

Q.最後にひとことお願いします。

蓄電池は一般にも普及しており、これからもどんどん進歩発展する技術と思います。新しい技術が生まれ、その新しい使い方を考えることはとても楽しいことだと改めて実感しました。
電気工学は皆さんの生活と密接に関わる分野で、その発展は世界中の人々にとって喜ばしいことです。ぜひ一緒に電気工学分野を盛り上げていきましょう。


電気工学の未来