
2018年12月掲載
「チン!」するだけで、食べ物をあたためられる私たちの生活に欠かせない電子レンジ。実は、マイクロ波という電波を利用しているのです。
電子レンジは、マイクロ波という電波により、食べものを温めている。
電子レンジとは、マイクロ波と言われる電波で食べ物をあたためる機械です。食べ物には必ず水分が含まれています。マイクロ波を食べ物に当てると、1秒間に24億5千万回も水の分子の振動(照射された電波の周波数に応じてプラスの水素原子とマイナスの酸素原子が入れ替わる)が起きて、摩擦熱が発生します。いわば分子レベルで摩擦熱を起こすことによって、食べ物をあたためているわけです。ちなみに水分が含まれていないのに、食器(ガラスや陶磁器、耐熱使用のプラスチック)があたたまるのは、食べ物や飲み物の熱が伝わるからです。
●電子レンジの仕組み

マイクロ波を発信するのは、マグネトロンと言われる電波発振器です。
マイクロ波は、医療器具などのさまざまな先端技術に応用されている
マイクロ波とは、300MHz以上の電波の総称であり、電子レンジでは、2450MHzのマイクロ波が使用されています。電子レンジ以外にも、テレビやラジオ(地上波/衛星)や、携帯電話の通信など幅広く使用されています。最近では、外科手術で使われる最先端の電気メスといった医療器具でも応用されており、私たちの暮らしや生活を支える重要な電波です(※1)。こうした電波利用に関する研究も、電気工学の応用範囲であり、さらなる技術進化が望まれます。
(※1)子供の科学2018年10月号「めざせ!!電気の達人」に、マイクロ波を使った電気メスのことが掲載されています。
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