
2019年12月掲載
日本全国、本格的な冬に突入し、空気が乾燥してきていますが、セーターの着脱時などに発生する静電気に悩まされる方も多いのではないでしょうか。
実はこんな厄介な静電気も、私たちの生活を便利にしてくれています。
その代表例がコピー機です。
コピー機の仕組みとは?
仕事や勉強に欠かせないコピー機。実は、静電気を利用してつくられています。
コピー機を開けると、大きな筒があります。これを感光体ドラムと言います。
この表面には感光物質がぬってあり、マイナスの静電気を帯電させる役割を持っています。
文書をガラス板の上にのせてコピーをスタートすると、原稿にレーザー光が当てられます。すると、感光体ドラムに原稿の白い部分等から反射されたレーザー光が投影され、静電気が消えます。
一方、その他の光が当たらない部分は、静電気が帯電している状態になります。そこに、プラスの電気をもった黒い粉(トナー)をくっつけると、帯電している部分だけにくっつきます。
これでコピーが完成です。最後は、熱と圧力を加えてトナーを定着させます。
尚、カラーレーザープリンターも基本的な仕組みは同じです。
このようにコピー機で大活躍の静電気ですが、これ以外にも身近なところですと、チリやホコリを吸着する"静電モップ"や、産業用途ですと排出ガスから粉塵、煤塵、ミストなどを捕集する"集塵装置"など、多岐にわたる用途で利用されています。
静電気は確かに厄介な面を持ちますが、一方で有効に利用すれば私たちの生活を便利にする力も持っています。
ちなみに、静電気は夏でも発生しています。しかし、湿度が高い夏は、体に静電気が帯電してもすぐに空気中の水分を通じて逃げてしまうため、パチッとならないのです。
静電気は、古代ギリシャの哲学者・タレスが琥珀を磨いていたときに発見したと言われています。そこから2000年以上、静電気に関する研究・開発は、電気工学を中心に今日も続けられています。
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