情報工学とは、主にコンピューターに様々な仕事をさせるためのソフトウェアの研究開発を行う学問です。一方、コンピューターを実際に動作させるための電気回路などハードウェア面を担うのが、電気工学です。

携帯電話に見る、電気工学と情報工学

通話機能がついたマルチメディア、手のひらサイズの最先端コンピューター・・・。今の携帯電話を表現するとこんな感じでしょうか。とどまるところを知らない携帯電話の進化の影には、電気工学と情報工学が大きく貢献しています。

モバイルOS インターネット 電気回路 センサ機能 通話

※図はイメージです。

1. モバイルOS

「OS(オペレーティングシステム)」とは、コンピューターシステム全体を管理するソフトウェアです。このOSがなければ、お財布ケータイも、テレビ電話も、着メロも楽しめません。OSの概念や仕組みは情報工学の分野です。

2. インターネット

携帯メールを送受信するネットワークの機能や信頼性の構築を行うのは、情報工学の「情報・ネットワーク論」です。尚、電気工学も情報や通信信号の概念などを学びます。

3. 電気回路

携帯端末を動作させるために使用されているのが、電気回路です。特に電源回路は携帯電話の心臓と言ってもよいほど重要な箇所で、ここが正常でなければ全ての機能が作動しません。「電気回路学」は、電気工学の基礎となります。

4. センサ機能

折りたたみ式の携帯電話は、閉じるとディスプレイの光が消えます。これは、開閉センサという機能によるものです。携帯電話には、この他にも様々なセンサが用いられています。例えば、セキュリティ用途の指紋センサやメインディスプレイの明るさを調整する光センサ。最近では万歩計機能を可能にした加速度センサなど、携帯電話が進化すればするほど、センサ機能は重要となります。センサ機能は、電気工学の制御技術によって実現しています。

5. 通話

携帯電話に限らず、固定電話・電信(電報)・インターネット・パソコン通信・アマチュア無線など、全ての通信は「電気通信」と呼ばれ、電気工学から派生して誕生しました。

現役エンジニアに聞く。「携帯電話における、電気工学の重要性」

携帯電話のさらなる進化へ、電気工学の役割はもっと大きくなる。

田中 賢司氏

京セラ株式会社
携帯電話の開発・設計担当 田中 賢司氏

携帯電話にとって、電気工学は不可欠の存在であることは間違いありません。端末を動かすには、電気回路を理解しなければなりません。また、電話やインターネットを行うには、電気通信の知識が必要となります。これらは携帯電話の基盤となる知識です。
また、今後も携帯電話がマルチメディア機能を持てば持つほど、電気工学の活躍の場は広がっていくと思います。センサ機能はもちろんですが、ディスプレイでも有機ELやLEDなど、電気工学の知識が不可欠な機能が増えていくと考えられます。
それからもうひとつ忘れてはいけないのが、ノイズ対策です。電気回路へ侵入する静電気などのノイズ問題は、これから高度情報化社会が進むにつれ、さらに大きくなります。これにより、携帯電話の正常な動作や通信が侵される恐れがあります。当然、電気工学の知識がなければ対処することは困難です。

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