ジェームズ・プレスコット・ジュール(1818-1889)イギリスの物理学者。導線に流れる電流による発熱量を計測してジュールの法則を発見(1840年)。さらに熱の仕事当量も精密に測定し(1847年)、エネルギー保存則の確立にも貢献した。

電気こたつ、アイロン、電気炊飯器などは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して利用する家電製品です。この電熱をジュール熱といいます。導線に流れる電流と発熱量の関係を研究した物理学者ジュールの名にちなみます。ジュールはまた、電力と熱量、力学的な仕事との数量的関係も解明しました。

若きジュールが熱心に取り組んでいたのは、モーターを工業的に利用するための改良でした。発明まもないモーターはまだ非効率で、発熱も大きかったからです。そこで、ジュールはモーターの電磁石の磁力と電流の関係を調べることにしました。水の入った容器に針金のコイルを浸し、コイルに電流を流して水温の上昇を測定したのです。ここから発見されたのが、右のジュールの法則です。

電磁回転装置(ファラデーのモーター)

力学的な仕事と熱との関係を解明

火力発電所では燃料を燃やして得られる熱エネルギーが、タービンを回す仕事に使われ、タービンに連結した発電機が、電気エネルギーに変換します。このようにエネルギーは姿を変えるだけで、増えも減りもしません。これをエネルギー保存則といいます。ジュールはこの法則の確立に貢献した科学者の1人。電流の熱作用の研究にとどまらず、あるエネルギーの変化を起こすのに必要な仕事の量と熱量の関係を、下図のような装置で測定しました。これを熱の仕事当量といい、その単位はジュールの名にちなんでJ(ジュール)で表されます。こうして、電力、熱、力学的な仕事は、 Jという単位ではじめて統一的に数量化できるようになり、エネルギーという概念が広く普及するようになりました

電磁誘導の実験

電気はなぜ高圧にして送電されるのか?

発電所で発生した電気は、数10万~50万Vの高い電圧で送電されます。これは、電圧を高くすると送電できる電気の量が増加するので、経済的な送電設備の形成が可能となるからです。また、送電線に電気が流れると、ジュールの法則に基づき、電気の一部が熱となり、エネルギー損失(送電ロス)が生じます。同じ量の電気を送電する場合、送電電圧を高くすれば電流を小さくすることができ、結果、送電ロスを少なくすることができます。送電ロスを減らすことは社会全体で多大な省エネ効果を生み出します。

電磁回転装置(ファラデーのモーター)

基本的な物理法則が支える、電気工学

「オームの法則」や「ファラデーの法則」などの基本的な物理法則が、「電気自動車」や「超電導」といった電気工学の最先端技術を支えます。電気工学の最先端技術をもっと知りたい方は、下記をご覧下さい。

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