
2016年12月掲載
北極、南極などでよく見られる、美しいオーロラ。夜空に赤色や緑色、黄色などの光がカーテンのようにゆらめいて、幻想的な美しさを私たちに見せてくれる自然の発光現象です。これは一体、何の光かご存知ですか。
太陽からやってきたプラズマのしわざ
オーロラは、太陽からやってくる「プラズマ(※1)」というプラスやマイナスの電気を持った粒子が、地球の大気にぶつかって発生する現象です。もう少し詳しく言うと、太陽は、熱や光(可視光線や赤外線、紫外線など)と共に、太陽風と呼ばれる荷電粒子・プラズマも放出しています。この太陽風が、北極や南極上空の地球の大気(酸素原子や窒素原子)と衝突して、幻想的な美しい光を発生します。この光がオーロラです。オーロラは、プラズマという電気を持った粒子によってもたらされたのです。
ちなみに、オーロラという名前は、イタリアのガリレオ・ガリレイ(1564-1642)が名づけたと言われています(諸説あり)。ガリレオは、高精度な望遠鏡を開発して太陽の黒点を発見した人でもあります。
(※1)プラズマの詳細は、プラズマって何?をご覧ください。
プラズマは巨大磁石・地球の地磁気で引き寄せられる

S極(北極)・N極(南極)の磁極が、もっとも地磁気が強いです。これは理科の授業で習った棒磁石の実験と同じ原理です。
では、オーロラはなぜ北極や南極大陸付近しか見られないのでしょうか。それは、地球自体が巨大な磁石だからです。地球の磁気を地磁気と呼びますが、磁極であるS極・北極とN極・南極がもっとも地磁気が強くなります。そのため、荷電粒子であるプラズマが、北極と南極の地磁気に引き寄せられ、集まりやすくなっているというわけです。
ところでオーロラは運が良ければ、日本でも見ることができます。それは太陽の発動が活発化して、大規模な磁気嵐が地球上に発生した場合ですが、昨年(2015年)は、北海道で11年ぶりに観測できたそうです。また、日本最古の書物と言われる『日本書記』には、推古天皇の代(554-628)に「天に赤気あり、その形は雉(きじ)の尾に似たり」という記述が残っていますが、これはオーロラのことを記録したものと言われています。とても興味深いですね。さて次に日本でオーロラを観測できるのはいつになるでしょうか?
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