2014年8月掲載
テレビの音を出しているのは、スピーカーです。この疑問に答えるためには、スピーカーの原理について理解する必要があります。実はスピーカーは、理科の授業のときに習った「フレミングの左手の法則」を応用して生まれた製品なのです。
覚えていますか?フレミングの左手の法則
一般的にスピーカーは、「フレミングの左手の法則」を利用してつくられています。フレミングの左手の法則とは、電流の流れる向きと磁界の向きから、力の向きを求める法則です(電磁誘導の法則を覚えやすくするため、フレミングが考案したもの)。図1のように、磁力線の向きが人差し指の方向であるとき、中指の方向に電流を流すと親指の方向に力が働きます。
各々の指が何を示すかは、中指から「でん」「じ」「りょく」(電磁力)と覚える方法があります。
スピーカーはフレミングの法則によって電気を音に変える
スピーカーとは、簡単にいえば、電気を音に変換する装置です。一般的には、コーン紙と呼ばれる振動板、コイル、磁石によって成り立っています。図2のように、コイルに電流(音声信号による電流)を流して、フレミングの左手の法則によって発生する力をコーン紙に当てます。このコーン紙の振動が空気圧の変化となり、音声へ変換されるというわけです。ちなみにスピーカーのルーツは、電話機と言われています。1876年にグラハム・ベルが発明した世界初の実用電話機の受話器(当時は送受兼用)は、現在のスピーカーと基本的な原理はほとんど同じです。
では改めて「テレビの音を小さくすると、節電になるのか?」という疑問を考えてみましょう。これまで説明してきたように、テレビのスピーカーから音を出すためには、スピーカー内部のコイルに電流を流さなければなりません。当然、音を大きくするには多くの電流を流す必要があります。逆に音を小さくすると、コイルに流す電流が少なくて済みます。というわけで答えは「節電になる」です。もちろんテレビだけでなく、ラジオやオーディオ(※)、パソコンなどスピーカーを通して音を出す電気機器も同様です。スピーカーで音を聞く場合は、周りの迷惑だけでなく節電も考えて、適切な音量でお楽しみください。
※一部の高級オーディオは除く。
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