第19回 未来は、コードやケーブルがなくなる?

2014年12月掲載

いわゆる“たこ足配線”に象徴されるように、電源のコードやケーブルはわずらわしく、事故の原因にもなりかねません。現在でも携帯電話のワイヤレス充電をはじめ、様々な電気機器のコードレス化が進んでいますが、未来の私たちの生活ではもっと色々なものが「非接触で給電」できると言われています。

電磁誘導の法則で生まれた、実は身近にある「非接触給電」

非接触給電(※1)とは、端子やコネクタなどの金属接点を介さずに、空間を通してコードレスで電力を伝送する技術です。身近な例としては、携帯電話や電動歯ブラシ、電気シェーバーなどに応用されており、充電器の上に機器を置いたり、近づけておくだけで電力が供給され充電ができる製品があります。また、非接触で料金の支払いができるSuicaなどのICカードも、非接触給電技術が用いられています。
これらはすべて、ファラデーの電磁誘導の法則を原理として生まれた製品です。2つのコイルの一方に電流を流すと、もう一方のコイルにも電流が流れ、離れていても電気を流すことができるというわけです。

非接触給電の仕組み 「電磁誘導式」の非接触給電。最近では、携帯電話の充電用パットで、デジカメやPCも充電するといったことも可能になっています。

(※1)ワイヤレス給電や電力無線伝送とも呼ばれる。

非接触給電でコンセントがない社会がやってくる!

従来の電磁誘導の法則に基づいた非接触給電は、電力伝送の効率が悪く、近距離(数mm~数cm)での送電しかできなかったため、主に低消費電力で充電できる小型電気機器に使用されていました。
ところが、2007年にアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)が発表した磁気共鳴方式(※2)により、非接触給電は大きな進化を遂げることになります。数m規模の中距離に対して給電の可能性を実証したのです。現在、非接触給電は大きな注目を浴びており、未来へ向けて様々な分野で研究がなされています。

非接触給電の未来の可能性

非接触給電の未来の可能性

(※2)磁気共鳴方式とは、送電側のコイルと受電側のコンデンサの共振器を磁界共鳴させて、電力を伝送する方式である。この他に、宇宙太陽光発電に使用される、電力を電磁波に変換して送受信する「電波方式」がある。

非接触の未来社会へ向けて、電気工学の研究が重要になる

現在の非接触給電に関する大きなトピックスは、電気自動車(EV)へ給電を行う給電ステーションの応用です。EVを停めておくだけで給電が可能で、給電ステーションのさらなる発展を促し、EVの普及に大きく寄与します。また、スマートグリッドをはじめとする新たなエネルギー社会の実現にも貢献します。さらに、走行中や停車中でも給電できる非接触給電システムの研究・開発も行われています。EVだけでなくひょっとしたら、未来はすべての電気機器がコードやケーブルを使わずに、電力が供給されるのではないでしょうか。この非接触給電の研究は電気工学の研究者が中心となって、未来の電気社会の実現へ向けて取り組みが進められています。そこで将来、大きな役割を果たしそうな研究を、パワーアカデミーのインタビューコーナーから一部、ご紹介しましょう。

ワイヤレス電力伝送の電力変換回路の研究

ワイヤレスにすることによって、電気自動車を駐車場に停めておくだけで充電できるようにするのが最終目標です。

学生インタビューvol.24 長岡技術科学大学 日下佳祐さん 

「ワイヤレス電力伝送は、高周波で電力を送る必要があることから、受電側(EV側)ではバッテリーを充電するために高周波の交流から直流へ電力を変換する回路が必要です。私の研究は、この高周波の交流から直流への変換を高効率に行う回路を開発することです。」

※一部を抜粋。 全文はこちら。

走行中電気自動車への非接触給電方式の研究

走行中電気自動車への非接触給電方式

図1.走行中電気自動車への非接触給電方式

研究助成2010年度採択者インタビュー
富山大学 伊藤弘昭准教授

「本研究では、走行中の電気自動車への非接触給電法として、電磁誘導を利用して短時間にエネルギーを転送するパルス給電法を提案し、その実現に向けて実証実験を行っています。」

※一部を抜粋。 全文はこちら。

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