悲願の初優勝!今大会最速ロボットには、電気工学技術が満載です。

ロボコン史上屈指の大接戦を勝ち抜いて、優勝!

制御装置「リミットスイッチ」で、ちょうど鍵穴のところで鍵が止まる。

負けたら終わりのトーナメント戦。今大会は、僅差での勝負が続出して、どのチームが優勝してもおかしくない、白熱した戦いが繰り広げられました。そんな中、優勝を果たしたのが、鹿児島高専。地区大会・九州沖縄大会の優勝チームで、2回戦からシード校として登場しました。2回戦は38秒、準々決勝は22秒(本大会ベストタイム!)、準決勝は41秒、そして決勝戦では、28秒という終始安定した走りでゴール。全国大会8回目の出場にして、見事、初優勝を果たしました。

悲願の初優勝を果たした、鹿児島高専の皆さんにその要因を伺いました。

「一番大きいのは、チームワークだと考えています。2足歩行、連結、鍵穴などは、それぞれ別の人間が担当しているのですが、今回はみんなの考えが一致していました。最初に決めたコンセプトからぶれることなく、最後までロボットを動かすことができました。また、競技中は失敗もありましたが、チームみんなでフォローできたと思います」。 実際に決勝戦では、二足歩行ゾーンでコースから外れるトラブルが発生したものの、見事にチーム全員でリカバリーしてゴール。両国国技館の大観衆へ、興奮と感動をもたらしてくれました。

(左)今大会最速の自動2足歩行。90Wモーターを最大4基、足の駆動に使える設計に!
(右)連結はバーをジョイントによってはさむ確実な機構。チームワーク抜群で連結も速い!

38秒でゴールインした2回戦の様子をお届けします。

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電気回路と制御装置の工夫で、高速歩行と高精度な鍵差し込みを実現

悲願の初優勝のゴールの瞬間。
ピットメンバーも出てきて祝福しました!

今大会の頂点に輝いたロボット『Rose Road(ローズロード)』は、鹿児島県鹿屋市のばら園「かのやばら園」のマスコットキャラクター"ばららちゃん"がモデルです。この可愛らしいロボットが、本物の人力車を忠実に再現した、シックなロボ力車と連結。スピードだけでなく、見た目の面白さも楽しめるロボットです。そんな『Rose Road』の製作の苦労を鹿児島高専の皆さんに伺いました。

「今回はスピード勝負なので、どうすれば速く歩行が可能になるのかが一番苦労しました。特に難しかったのは、2足歩行と鍵穴です。2足歩行はスピードを出すためにモーターを多く使用したため、従来の回路では、電流に耐え切れない恐れがありました。また、鍵は形状やサイズ、材質などを変えて、膨大な量の試作品をつくりました」。

これらの課題解決に大きく貢献したのが電気工学技術だったそうです。
「足に関しては、電気回路をHブリッジ(単一の電源で、モーターに加える電圧の向きを変えられる回路)から、NチャネルMOSFET(大電力用のパワー半導体)のみで構成する方式に変更して、2足歩行のスピード化を実現しました。また、足の駆動抵抗を減らすために、敷居すべりやシリコンスプレーなども使用しました」。

「鍵に関しては、リミットスイッチという制御装置をつけました。リミットスイッチとは機械の動きを検出するスイッチのことで、ちょうど鍵穴のところで鍵が止まるようにしました。これにより、できるだけ操縦者の操作負担を減らすことを狙いました」。

最後に「ロボットにとって電気は基礎です。電気の知識や技術なしにロボットは成り立たないと思います」と応えてくれました。

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