省電力で跳ぶ白ウサギには、電気技術が不可欠です。

豪快なジャンプで、いきなりプレゼントをゲット!

松江高専のロボット『跳兎』は、出雲神話の因幡の白兎(いなばの白ウサギ)が主人公です。手動ロボットの白兎が、フィールドで待つ自動ロボットの大国様へ、プレゼントを渡すのですが・・・。なんといきなり、白兎が高さ約1メートルのプレゼントポールをめがけて大ジャンプ!そして、ポール上にあるプレゼント(島根名産のトビウオが原料のちくわ)を落とし、見事大黒様がキャッチ。今大会唯一のパフォーマンスに、会場は騒然となりました。

続いて、ダンスゾーンでは、2台のロボットがシンクロスピン。最後のスターステージでは、某プロレスラーのように「1、2、3、ジャンプ!」。垂直2mの大ジャンプで、スターポール上にプレゼントを置く!はずでしたが・・・。惜しくも失敗。ファーストステージは突破できませんでした。しかし、『跳兎』の名前通り、徹底的に跳ぶパフォーマンスにこだわった松江高専のロボットは大きな歓声を会場から浴びていました。

また、決勝戦前に行われたエキシビジョンマッチでも、ジャンプを存分に披露。会場からは驚きの声が上がっていました。「皆さんの“アッ”と驚く顔が見てみたい」と会場内で配られたパンフレットへ寄せた抱負通り、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

圧倒的な省電力ロボットには、電気工学の工夫がある

松江高専の『跳兎』は、今大会参加したロボットの中でも傑出した省電力性が評価され、特別賞を受賞しました。ほとんどのロボットの電力量が、手動ロボット、自動ロボット共に50Wh前後(最大60Wh以内)だったのに対し、「跳兎」は手動ロボットが16.4Wh、自動ロボットが40.2Whだったのです。その理由を尋ねると、「僕たちのロボットの動力源は、モータをほとんど使用せずに、エアシリンダ(圧縮された空気を筒の中に入れて棒が飛び出る装置)で動かしたので消費電力が少なくてすみました。ボディには、ペットボトルを28本使用しています」(松江高専の皆さん)。

そして、このようなモータを使用しないロボットを実現するために、多くの工夫を行ったそうです。

「空気をシリンダーに送るときに、ロスが少なくなるような機器配置。確実に信号を送れるような通信プログラム。それから、跳ぶマシーンなので、重心位置がコロコロ変わります。その重心位置の制御に電気工学の技術を使用しています。具体的に言えば、垂直な状態を保つためのセンサです」。

会場を多いに沸かせたジャンプと、環境にやさしい省電力性には、電気工学の技術が用いられていたのです。

取材後記

今年の全国高専ロボコン大会のレポートいかがだったでしょうか。今年はパフォーマンス重視の競技ということもあり、細かい動作の制御などに、電気工学の技術がさらに重要になっているように感じました。ご感想・ご質問などございましたら、お気軽にメールでお送り下さい。最後になりましたが、お忙しい中、アンケート及び取材・撮影にご協力頂いた各出場チームの皆様、多大なるご尽力を頂いたNHKエンタープライズ様に心より感謝申し上げます。

(パワーアカデミー事務局)

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