低コストで省エネルギーなロボットを実現した、オリジナルモータ!

三葉虫の中からペンギンが出現(?)

釧路高専のロボットは、多足ゾーンでは、ムカデ足24本による三葉虫ロボット。そして2足歩行ゾーンでは、その三葉虫からペンギンが現れるという、まさに“生命大進化”にふさわしいロボットです。

「僕達のロボットは、“安い!軽い!“を売りに徹底的な省エネルギー化を目指しました。そのため試行錯誤の連続で、2足歩行ロボットのペンギンは、1~10号機までつくりましたよ。1号機は金属でしたが、低コスト・軽量化をはかって、ようやく6号機位から金属を使用しないで済むものになりました。材料は、パネルやプラスティックがメイン。ほとんどが拾ってきたものです(笑)」(釧路高専の皆さん)。

そんな苦労を重ねた2足歩行ロボットですが、残念ながら途中でペンギンの空気が抜けてしまい、惜しくも完走はなりませんでした。しかし、多足歩行ゾーンをクリアし、可愛いペンギンが出現した瞬間の会場の沸き方は、今年の全国大会の中でも屈指のものでした。

低コスト・省電力・軽量化に電気工学が貢献してくれた

省エネルギー化を目指した、今回の2足歩行ロボット。そこには電気工学に関わるモータ制御の技術が使用されていました。

「“空気”は生命が進化する上で欠かせないもの。また、モータを一切使用せずに空気を制御することで、面白い動きになるのです」(宮城高専の皆さん)。

「モータ制御は、重要視しました。モータを動かすための回路を省電力化するために、3つのメーカーから購入したモータを組み合わせて、オリジナルのモータをつくったのです。メーカー毎で互換性がないため大変苦労しましたが、モータに穴を開け、ギアをガスバーナーで炙り、溶接し組み合わせました」(釧路高専の皆さん)。

購入したモータは、各メーカーでもっとも安いものを選んだそうです。また、モータの耐久性を上げるため、「樹脂のギアを金属製のギアに無理やり変えて、高速回転・高トルクでとても頑丈なモータに仕上げました」とも語ってくれました。

こうしたモータの低コスト・省電力化をはかった結果、ほとんどがノコギリとカッターだけでつくれる、安価なロボットに仕上げたそうです。

ある意味、一番実用的なプロセスで製作を行ったと思われる釧路高専の皆さん。そんな皆さんの一人に、将来の目標をうかがいました。「将来は、医療ロボットの分野でロボット関係の仕事に就きたいと考えています。特に、整形外科的な障害を持つ人たちのサポートロボットの開発を行いたいと思っています。ですから、自分の人生にとって電気工学は一生切れない関係になるはずです」。

取材後記

今回のロボコンレポートいかがだったでしょうか。ロボットというとすぐに機械工学が思い浮かびますが、電気工学もベーシックな技術として貢献をしていることが、ご理解頂けたら幸いです。ご感想・ご質問などございましたら、お気軽にメールでお送り下さい。最後になりますが、お忙しい中、アンケート及び取材・撮影にご協力頂いた各出場チームの皆様、多大なるご尽力を頂いたNHKエンタープライズ様に心より感謝申し上げます。

(パワーアカデミー事務局)


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