日本最古の電気機器「エレキテル」は、医療機器でした。

2010年9月掲載

江戸時代に平賀源内が製作した、有名な『エレキテル』。静電気を発生させる装置で、実はこれ、医療機器として用いられていたことをご存知ですか。
平賀源内はエレキテルについて「病人の痛所より火をとる器なり」と述べています。感電すると患部から痛みがとれるといわれていたそうです。
実際の効果は、現在の医学と照らし合わせると疑問ですが、エレキテルは、日本において最初の医療用電気機器でした。

太陽電池の仕組み

エレキテルは、元々、オランダで発明され、宮廷での見世物(現在の静電気実験)や医療器具(電気ショック治療)として用いられていた。日本へは18世紀頃に輸入され、1751年ごろ、オランダ人が江戸幕府に献上したという記録が残っている。平賀源内は、偶然、文献でエレキテルを発見して、見よう見まねで復元したと言われている。

医療と電気の結びつきは、日本だけでなく世界的にみても古来よりありました。特にヨーロッパにおいては、電気という不思議な現象が、人体に有効であるという考えを持っていたようです。例えば、電気うなぎを頭痛の治療に用いたとする記載もあります。(※電気と生体の関わりについてはこちらをご覧ください

医療機器において電気が使用され始めたのは、18世紀以降になります。その電気を医療機器に利用していく中で、『心電計』の発明が一つの大きな成果といえます。心電計は、1903年オランダの生理学者アイントホーフェンが製作した微小電流測定装置を進化させたもので、現代医学に不可欠な医療用電気機器となりました。

そのほかにも、電気的刺激を心臓に与え、心臓の鼓動を維持する機器『心臓ペースメーカー』など、医療機器の発展の歴史には常に電気が存在していました。
近年における、医療用電気機器としては、
・高齢者・身体障害者の自立生活の支援を目的に開発された『介護用ロボット』
・人体に磁気を当て画像を撮影する『磁気共鳴診断装置(MRI)』
などが挙げられます。

介護用ロボットと磁気共鳴診断装置(MRI)

現在、医療機器を扱う技術者には、電気工学の基礎知識が必要とされています。今後も、電気応用技術が先端医療を支えていくことになるでしょう。

知って得するトリビアコーナー/日本の電気学の創始者!橋本宗吉

平賀源内が製作したエレキテルは見世物として評判を得ましたが、そのうちに人気がなくなり、人々の電気への関心は薄れていきました。このエレキテルを電気実験器具として見直したのが、江戸後期の橋本宗吉(1763~1836)です。橋本宗吉は、ガラス管を紙でこすっただけでエレキテルと同様に静電気が発生することや、ガラス以外の多くの物質も静電気を帯びることなどを、実験を通して明らかにしています。また、静電気を蓄えた自作のライデンびんを用いて、手をつないで輪になった大勢の人をいっぺんに感電させて驚かす(百人おどし)などの実験をしました。橋本宗吉は、日本における電気学の開祖といわれています。

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