震災と電気工学/特別レポート-その1「東北大学の現在」

総合研究棟

総合研究棟は、青葉山キャンパス内で、唯一、震災の被害がほとんどなかった建物です。そのため、東北大学の震災本部はここに置かれました。斎藤研究室もこの総合研究棟の中にあります。「200人ぐらいの学生が震災から約1週間、この建物に泊まっていました。大学側で緊急に関東圏から布団を200組借りました」(斎藤先生)。

制振ダンパー

「総合研究棟が震災に耐えられた理由として、制振構造になっていたからだと思います。宮城県沖地震対策の一環でした」(斎藤先生)。制振構造とは建物に振動エネルギーを吸収する減衰機構を取り付け、地震や強風による揺れを小さく抑える構造です。写真は、総合研究棟内の減衰機構のひとつであるオイルダンパー。地震対策の紹介用に露出されており、通常は壁の内部にあります。今回の地震で大きな役割を果たしたと思われます。

青葉山キャンパス内で、唯一、震災の被害がほとんどなかった総合研究棟と総合研究棟内の減衰機構のひとつであるオイルダンパー

斎藤研究室

総合研究棟の9階にある斎藤研究室

総合研究棟の9階にある斎藤研究室。景観がよく、広々としたワンフロアです。ヘルメットが至るところに置いているのが目に入ります。「今回の震災を受けて用意したのではなく、宮城県沖地震対策の一環として、3月11日以前より準備していました」(斎藤先生)。

斉藤研究室の奥には、現在、別の工学系の研究室が入っています

斉藤研究室の奥には、現在、別の工学系の研究室が入っています。訪問させていただいた時は、ちょうど留守でした。「震災によって研究室が使えなくなったため、仮にうちのフロアを使って頂いています。東北大学全体で、この危機を乗り越えていこうと頑張っています」(斎藤先生)。

斎藤研究室は、先輩・後輩の垣根なく議論が活発な研究室です。

斎藤研究室は、先輩・後輩の垣根なく議論が活発な研究室です。「研究ってひとりでやるものだと勝手にイメージしていましたが、全然違いました。なんでも言い合えるのがうちの研究室の魅力です」(細谷さん)。「分からないところは、先輩のところへ行って色々聞きますよ。そういうやり取りができないと研究そのものができないので、必然的に先輩後輩の仲が良くなると思います。一緒に遊びに行ったりもしますよ」(佐久さん)。

皆さんの将来の夢や目標を教えてください。

斎藤研究室の楽しい集合写真です。

最後は、斎藤研究室の楽しい集合写真です。「震災後、たまにだれか来ないと連絡を取るようになりましたね」(佐久さん)。「夜遅くなって帰るときは、残った人を1人にせずに一緒に帰るようになりました」(細谷さん)。ふたりとも、震災を経ていい意味で研究室内の絆が深まったと口を揃えていました。東北の電気工学、震災に負けず元気です!

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