優勝した大きな要因は、電気のチカラです。

全参加124チーム中、唯一の100点満点!

今大会は、ロボコン史上まれに見る難易度であったと、多くの関係者から声が上がっていました。プレゼント、ペアダンス、シンクロスピン、スターステージ、スターカップル、リフトといった多くの課題を、3分(準決勝・決勝は4分)という制限時間内にクリアしなければならないからです。

実際に、地区大会及び全国大会のファーストステージ、準々決勝、準決勝でも100点満点のロボットはゼロ。しかし、なんと、なんと、最後の決勝戦で100点満点が出たのです!この感動的なドラマを演出したのは、香川高専(詫間キャンパス)の『SKY』でした。

ファーストステージでは60点、準々決勝では50点、準決勝では60点、そして決勝戦で満点を叩きだした『SKY』は、浦島太郎がテーマのロボットです。手動ロボットが浦島太郎で、自動ロボットが亀。プレゼントは、もちろん玉手箱です。決勝戦では、まず2足歩行の浦島太郎が、あっという間にプレゼントポール上の玉手箱をゲット。続いて、亀とともにペアダンス、くるくるとシンクロスピンを行い、そのままリフトでスターゾーンへ駆け上がります。そして、一足先に対戦相手がスターポール上にプレゼントを置いたにも関わらず、わずかなスペースに玉手箱を設置する、絶妙の操作技術を見せてくれました。最後は、残り5秒で、回転する亀の甲羅にのって浦島太郎がローリングジャンプ!見事成功し、100点満点を獲得。ドラマチックな幕切れで全国大会を締めてくれました。

100点満点を獲得した決勝戦の映像

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電気と無線で動かすシンプルなロボットです

今大会の頂点に輝いた、香川高専(詫間キャンパス)の皆さんに優勝の要因を伺いました。「ピットのクルーも含めて、チームワークの勝利だと思います。ちなみに、ロボット名のSKYは操縦者3人の頭文字をとって名付けました」。そう語る皆さんに、電気工学に関わる部分で工夫したポイントを伺いました。

「僕たちのロボットは、シーケンス回路(複数のアクチュエーターを順次作動させるために利用する回路)で設計しました。シーケンス回路は、自動的に動作させることができるメリットがありますが、消費する電力量が多いなどのデメリットもあります。そのため、消費電力量やパワー、重量バランスなどを考えてロボットを製作しました。シーケンス回路は、僕たちのロボットの重要なポイントですから非常に気を遣いました」。

「特に苦労したのは、無線操縦の周波数についてです。自動ロボットと手動ロボットの通信に使用する周波数帯域に、通常のラジコン周波数(27MHz、40MHz)を利用することができなかったからです。この問題を解決することが難しかったです。また、ロボットの動作にはエアシリンダ(圧縮された空気を筒の中に入れて棒が飛び出る装置)を使いました」と語ってくれました。

つまり、100点満点を獲得したロボット『SKY』は、シンプルな構造設計、無線操作の問題解決と並んで、シーケンス回路のチカラが大きなウェイトを占めていたわけです。「結局、ロボットを動かすためには、電気工学の知識が基本になると思います」と3人のSKYは話してくれました。

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