第27回 環境発電(エネルギーハーベスト)とは
身近な電気工学 第27回 環境発電(エネルギーハーベスト)とは
小さなエネルギー、収穫しませんか?
環境中に存在する微弱なエネルギーを、電力に変える
電力やガス、乾電池・・・、私たちが使う主な身近なエネルギー源です。実はこれら以外にも、私たちの身の周りには、光、熱、振動、電波など使わずに捨てられている微弱なエネルギーがあるのです。こうした、エネルギーを収穫(ハーベスト)して、電気エネルギーにすることを「エネルギーハーベストまたは環境発電」と呼んでいます。近年、エネルギーの有効利用の観点や低消費電力のICが開発されて、こうした環境中に存在する未利用エネルギーが注目を集めています。
ちなみに、環境発電はどれぐらい微弱なエネルギーかというと、現在のところ、マイクロワットからミリワット程度です。白熱電灯の消費電力量は約60ワット。携帯電話は約15ワットと言われていますので、いかに低い発電量かお分かりになるでしょう。
小さなエネルギーには、夢のある可能性がたくさんある
小さなエネルギーですが、環境発電を効果的に活用できれば、私たちの生活がより豊かになると言われています。身近な例だと、スマートウォッチや電子体温計など。これらはボタン電池によって低電力で稼働しますが、環境発電が実現すれば電池が不要となります。当然、エコで安全面も向上し、その恩恵は計り知れません。
さらにもっと大きく社会を変える可能性も秘めており、最近話題のIoT(Internet of Things)におけるキーテクノロジーになると考えられています。あらゆるものがインターネットにつながるIoTは、モノに付属されたセンサーによってデータを取得します。そのセンシングする際の電源としての活用が期待されているのです。
現在のところまだまだ研究段階ですが、環境発電(エネルギーハーベスト)は、小さなエネルギーでも、夢のある大きな可能性を秘めています。これからの技術向上へ向けて不可欠なテクノロジーは、もちろん電気工学です。
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