第34回 虫めがね実験と太陽熱発電

太陽の「光」ではなく、「熱」で発電する方法があった!

身近な電気工学 第34回 虫めがね実験と太陽熱発電

太陽の「光」ではなく、「熱」で発電する方法があった!

私たちの身近で活躍する太陽熱利用

太陽の熱を利用する取り組みは、寒さから人類を守るため、古来より行われていました。例えば、より多くの熱を取りいれるため、地域によって家の構造が違うのもそのひとつです。

現在、私たちの身近な太陽熱の利用としては、給湯や暖房、冷房などが挙げられます。一般的に給湯では、家の屋根などに設置した太陽熱の集熱器で、水を温めてお湯(50~60℃)をつくります。さらに、そのお湯を循環させることによって、床暖房などにも利用します。一方で冷房では、太陽熱集熱器からの温水(~90℃)を、冷凍機の熱駆動に利用して冷房を行います。

太陽熱発電の集光方法は、虫めがね実験と同じ原理

さらに、太陽熱は発電にも利用されています。それが太陽熱発電です。基本的な仕組みは、太陽の光をレンズや反射鏡(ヘリオスタット)を用いた太陽炉で集めて、その熱により水や油、溶融塩などを温めて蒸気を発生させ、その蒸気によって火力発電のようにタービンを回して発電するというものです。太陽の光をレンズや反射鏡を用いて熱を集める原理は、虫めがね実験と同じです。

太陽熱発電は再生可能エネルギーの一つで環境にやさしく、太陽光発電に比べて一般的にコストが低く、蓄熱により夜間の発電が可能などといったメリットがあります。一方でデメリットは、発電所建設のためには、日射の豊富な地域の選択と大規模な土地が必要とされることです。外国の一部では導入が進んでいますが、日本では商用の太陽熱発電は稼働しておらず、電気工学をはじめとする今後の技術開発が期待されます。

太陽熱発電の仕組み

バックナンバー

サイト更新情報をお届け

「インタビュー」「身近な電気工学」など、サイトの更新情報や電気工学にかかわる情報をお届けします。

メールマガジン登録