第38回 産業分野(工場)の電化

身近な電気工学 第38回 産業分野(工場)の電化
カーボンニュートラルの切り札 電気加熱(エレクトロヒート)
今、注目の産業分野の電化とは?
食品も含めた、身の回りの製品は大半のものが製造過程において、熱を加えてつくられています。照明や動力(電車やEVなど)に比べて目立ちませんが、実は電気は熱としても多く利用されているのです。一般家庭だと近年、注目されているオール電化住宅のキッチンや給湯、暖房機器などが電気の熱利用として挙げられます。これらの機器は、従来はガスや灯油などで熱を生み出していたものです。
一方、産業分野(工場)で使われているエネルギーの多くは熱で、この熱は化石エネルギーでつくられています。しかしこれから、日本社会がカーボンニュートラルを進める上では、CO2を排出しない非化石エネルギーへの転換が必要です。そこで現在、注目をされているのが産業分野の電化。再生可能エネルギー発電や、安全を最優先とした原子力発電によりつくられた電気の利用などにより、産業分野でCO2を排出しない電化を目指す動きが高まっているのです。
電気は火よりも高い温度をつくりだせる
熱というと火をイメージすることが多いかと思いますが、下の図1にあるとおり電気は最高で10,000℃超に達し、火よりも高い温度をつくり出すことができるのです。(一般的にガスバーナーの温度は1,700℃~1,900℃程度であり、燃焼による加熱で達成できる温度は、3,000℃程度)
図1 電気加熱の適用領域
出典:日本エレクトロヒートセンター
身近で利用している電気加熱システムが産業界でも大活躍!!
電気で熱をつくる方法は、「第36回 ヒートポンプの応用」においてはヒートポンプを紹介しましたが、これ以外にも様々な方法があります。ここでは、ヒートポンプを含めた代表的な電気加熱システムの種類と特長(図2)、さらに身近な利用や産業界の利用について紹介します。
図2 電気加熱システムの種類と特長
使用されている産業分野は、主に機械工場、鉄鋼・非鉄工場、電子デバイス工場、窯業工場、ゴム・プラスチック工場、化学工場、食品工場、紙パルプ・印刷工場、繊維・木材工場です。加えて、「マイクロ波加熱・高周波誘導加熱」は医療分野、「誘導加熱」「赤外線加熱」は建築・建設分野に、「アーク・プラズマ加熱」は清掃工場にも利用されます。
このように、産業分野でも様々な電気の利用方法があり、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して利用する「エレクトロヒート」は、カーボンニュートラル実現に向けて、大きく期待されています。エレクトロヒートのキーテクノロジーは、もちろん電気工学です。
ご案内 第18回エレクトロヒートシンポジウムが今年も11月に開催されます(参加無料)
今回は学生の皆さんにも、産業電化「エレクトロヒート」を判りやすく解説するコーナーを作りました。
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出展企業のリクルートサイトへ直接アクセスできるページもあります。
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シンポジウムの入口はこちら→ URL:https://jehc-sympo.com/
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