電気の施設訪問レポート vol.2

三居沢電気百年館を訪問しました

三居沢電気百年館を訪問しました

2009年11月、パワーアカデミー事務局は、仙台市にある「三居沢電気百年館」を訪れました。三居沢電気百年館は、東北の電気誕生から百年目を記念して、1988年に建てられたものです。主に東北地方における電力事業の歴史、発電の仕組み、電気と暮らしの関わりについて映像や展示物で紹介しています。また、現在も発電を続けている、日本最古の水力発電所「三居沢発電所」に隣接しています。今回は、特別に三居沢発電所の中も案内していただきました。三居沢電気百年館の様子と共にご紹介します。

三居沢電気百年館

東北ではじめて電気をつくった発電機(同型)

1F「三居沢電気百年ギャラリー」の中央に位置するのが、東北ではじめてアーク灯を点したものと同型の直流発電機(出力5KW)です。この発電機は、現在の東京大学工学部の前身のひとつである工部大学校の藤岡市助博士の設計により、1886年、三吉電機工場で製造されました。当時の様子を知ることができる、貴重な展示物です。

電気の歴史

明治から平成にかけて、私たちの身近な電気器具を時代の変遷とともに紹介しています。初期の扇風機や暖房ストーブ、アイロン、ラジオ、テレビなど、その移り変わりを理解することができます。

東北の電気をつくった人々

ここでは、東北における電気事業の3人の偉人を紹介しています。東北の電気事業の発展に貢献した菅 克復(かん こくふく)氏は、「三居沢紡績所」に発電機(前出)を取り付け、東北にはじめて灯りを点しました。また、現在の三居沢発電所を建設した伊藤 清次郎氏と、日本で最初のカーバイト製造に成功した藤山 常一氏も紹介しています。

水と森のたから箱

2Fは、「水と森のアトリエ」。三居沢発電所を支えてきた広瀬川の水と、その水の源である青葉山の森。美しい仙台の自然環境を楽しく学べる展示コーナーです。三居沢周辺の自然環境や生態系をカラクリ仕掛けのジオラマなどで楽しく学べます。また、パソコンや本で水と森に関する情報を集めることができる「水と森のライブラリー」も併設されています。

三居沢発電所

発電機と水車

三居沢発電所は、1888年にわが国で最初に水力発電によって電灯(アーク灯)の明かりを点した発電所です。現在、発電所出力は最大で1000kW、常時290kWで運転しており、一般家庭のおよそ100件分の電気を仙台市内に届けています。写真は運転中の発電機(前方)と水車(後方)です。これらの電気機器類は、2008年、日本機械学会の「機械遺産」として登録されました。

水槽

三居沢発電所は、仙台市を流れる広瀬川の水を使って水車をまわし、発電しています。広瀬川の水は、上流の仙台市青葉区郷六の取水口から取り入れられ、そこから山の中を約2000mの水路を通って、青葉山の東端にある三居沢発電所の裏山の水槽(写真)へ送られます。

水圧鉄管

水槽から、広瀬川の水は、長さ45mの鉄管(写真)を一気に流れ落ち、その勢いで水車をまわし発電します。水槽から水車まで水の流れ落ちる高さ(水の落差)は、約27m。1秒間におよそ2.27m³(常時)の水が流れています。

編集後記

三居沢発電所の建屋は平成11年に国の指定有形文化財に指定されています。まさしく電気の歴史的建造物です。ぜひ仙台にお出かけの際には、日本最古の水力発電所を楽しめる、三居沢電気百年館へお立ち寄り下さい

(パワーアカデミー事務局)

三居沢発電所

三居沢発電所
百年以上前、東北で初めての電気が三居沢発電所で灯りました。以来、現在も現役の水力発電所として発電を続けています。その後、百周年を記念して、三居沢電気百年館ができました。1階には発電所ができた当時の歴史に関する展示、2階には発電所を支えてきた広瀬川や青葉山の森の自然をいろいろな形で紹介しています。

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