第31回 生体の電気現象と医療機器

人のカラダの中には、弱い電気が流れている。

身近な電気工学 第31回 生体の電気現象と医療機器

人のカラダの中には、弱い電気が流れている。

生体の電気信号を測定する診断装置は、命を支える重要な医療機器

生体が電気信号を発するという現象は、18世紀より、イタリアの生物学者ガルバーニや物理学者ボルタによって、古くから研究がおこなわれてきました。

現代医療では、この現象を利用したさまざまな医療機器が活躍しています。
中でも、生体の電気信号を測定する診断装置は、人間が生きて活動している状態かどうかを調べる、命に関わる重要な医療機器です。
具体的には、微弱な脳の電気の活動を調べて脳機能を検査する「脳波計」や、身体の筋肉が活動する際に発生する電気の活動を調べて神経や脳の活動状態を診断する「筋電計」、そして心臓の筋肉で生まれる微弱な電気信号を捉えて心臓の状態を観察する「心電計」などが挙げられます。

これらの医療機器は、人体の負担が少なく、高精度に人の状態を検査できることが特長です。
2019年末より発生した新型コロナウイルス感染症では、心電計に加えて、血圧や呼吸、体温などもモニタリングできる「生体情報モニタ」が医療現場で大活躍しており、テレビのニュース等で映し出されていました。
生体情報モニタは、緊急外来のような重症患者や手術中の患者など、容態が急変する可能性のある患者に対して用いられており、心電計の応用機器と言えるでしょう。
命を左右する重要な人体の電気現象。この研究の中核を担うのは、もちろん電気工学です。

生体情報モニタ

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