第9回 LED照明のメリット/デメリット
身近な電気工学 第9回 LED照明のメリット/デメリット
いま流行(はやり)のLED照明とは、何もの?
LED照明のメリット
1. 長寿命で低消費電力
いま流行のLED照明(電球)は、白熱電球に比べ消費電力は約8分の1、寿命は蛍光灯の約4倍(約4万時間)です。エコで電気代もお得!
2.赤外線放射、紫外線放射が少ない
従来の蛍光ランプは微量ながら紫外線を放出しており、美術品等の損傷が懸念されていますが、LEDは赤外線・紫外線の放射がほとんど無いため、一部の美術館などで導入が始まっています。
3.衝撃に強い
LEDは、フィラメント(電球内の金属線で光を発する部分)やガラスなどが使用されていないため、振動や衝撃にとても強いです。輸送車両内など、振動の激しい場所に最適です。
4.低温でも発光効率が低下しない
蛍光ランプは極端な低温になると発光効率が悪く、なかなか点灯しないことがありますが、LED照明は、低温でも効率が変わらないのですぐに明るくなります。
5.即応性に優れる
LEDの点滅応答速度は、白熱電球の約1000倍と言われます。電源のON/OFFは他のランプでは寿命を縮める可能性もありますが、LEDは高速のスイッチングが得意。ON/OFFが多いトイレや洗面所などの照明に適しており、また、光の情報伝送にも応用されています。
6.水銀を使用しないから環境にいい
蛍光灯には水銀が使用されていますが、LEDは一切使用していません。水銀による環境汚染は、大きな社会問題。この点でもLED照明は、環境にやさしいと言えます。
LED照明のデメリット
1.価格が高い
LED電球は他の電球に比べて高価です。電球型蛍光ランプと比較して価格は約4倍。もう少し安くなれば良いのですが。
2.電球が重い
LED電球は、電源回路が入っているため、同じサイズの白熱電球や蛍光ランプと比較してかなり重量があります。多数の白熱電球をLED電球に変更する場合、器具の強度に注意が必要です。
3.光に指向性がある
他の電球の光はすべての方向に等しく放射されますが、LED電球の光は指向性(光に方向)があります。このため、部分的に暗く感じることもあります。ただ、最近は反射板を内蔵するなど工夫した電球もあるようです。
知って得するトリビアコーナー 電球の種類、何が違うのか知っていますか?
そもそも、LED照明と白熱電球や蛍光ランプは、何が違うのか知っていますか?
本コーナーでは3つのランプの構造をご説明します。
白熱電球
白熱電球は、フィラメントに電流を流すことで発光します。また、フィラメントが熱により蒸発を防ぐため「不活性ガス」が入っています。
蛍光ランプ
蛍光ランプは、内側に蛍光体が塗られたガラス管と、タングステンで作られた電極で出来ています。電極は、電子放出物質(エミッタ)が塗られ、ランプ内には水銀ガスが入っています。発光までは以下の流れです。
- 電極から熱電子が出て、蛍光管の中にある水銀原子とぶつかり紫外線を放出する。
- 紫外線が蛍光体にあたり、可視光(人が見ることのできる光)に変わる。
LED照明
LEDチップは、P型半導体(正孔が多い半導体)とN型半導体(電子が多い半導体)が接合されたもの。LEDチップに順方向に電圧をかけて電流を流すと、p-n接合部で+(ホール)と-(電子)が結合し、電気エネルギーが直接、光エネルギーに変換され、発光します。これを照明に応用したのがLED照明(電球)です。
LED照明のまとめ
LED照明は、電気工学の技術により生まれた照明だと言えます。消費電力が少なく長寿命で、とてもエコ。価格が高いのが玉にキズですが、多くのメリットがあるので、これからどんどんLED照明に変わっていくことでしょう。
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