第41回 波力発電のメリット・デメリット

身近な電気工学 第41回 波力発電のメリット・デメリット
波の力で発電しよう!
波の上下運動を利用して電気をつくる
波力発電(波浪発電とも呼ばれます)は、波の上下運動を利用して空気の流れを生み出し、タービンを回して電気をつくる発電方法です。海では、波が数センチ程度の高さでも絶え間なく上下し続けています。そのため、1回ごとの発電量は少なくても、長期間にわたって発電を続ければ大きなエネルギーになると期待され、研究や開発が進められています。現在、日本では、航路標識用ブイの電源など小規模な用途で実用化されており、近年は各地で実証実験も行われています。
装置内で波が上下することで、空気が装置の中を出入りし、風が発生します。この風の力で発電機のタービンを回し、電気を生み出します。
波力発電は研究・開発段階、実用化には電気工学の発展が鍵
波力発電のメリットは、地球にやさしい再生可能エネルギーであること。しかも前述したように波は絶えず発生するため、風力や太陽光発電よりも天候に左右されず安定した発電が期待できます。また、水の運動エネルギーを利用するため、発電効率も風力や太陽光発電より高いとされています。一方で、海上という厳しい環境下での発電所の建設や維持には高コストがかかり、塩害や大波への対策や安全性、漁業への配慮なども課題です。
世界的に見ても現在、波力発電は実証実験や小規模導入が中心です。しかし、波力発電は事実上、枯渇しない再生可能エネルギーとして、社会的にも環境的にも実用化が求められています。また、日本は四方を海に囲まれており、波力発電に適した立地条件に恵まれていると言えるでしょう。今後の実用化に向けて、電気工学をはじめとする関連分野のさらなる発展が不可欠です。
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