vol.13 株式会社 明電舎

社会人インタビュー vol.13
世界中の社会インフラを支えていきたい。
株式会社 明電舎
新村哲也(しんむら てつや)さん
株式会社 明電舎は、電力機器、エネルギーシステムなどを手掛ける大手重電メーカーです。今回、取材させて頂いたのは、受配電設備 キュービクルを手掛ける現役エンジニア・新村さん。取材は、静岡県沼津市の沼津事業所に伺って行いました。沼津事業所は「世界品質を沼津から」というスローガンを掲げる、昭和36年に開業した明電舎の主要生産拠点です。
プロフィール
- 2007年3月
- 東京電機大学 工学部 電気工学科卒業(加藤研究室)
- 2009年3月
- 東京電機大学大学院 工学研究科 電気工学専攻修了(加藤研究室)
- 2009年4月
- 株式会社 明電舎入社
- 2009年6月
- 株式会社 明電舎 沼津事業所 システム装置工場 品質保証部配属
- 現在
- 株式会社 明電舎 沼津事業所 システム装置工場 変電・制御品質保証部変電試験課に勤務(受配電盤、制御盤の品質保証業務)
※2011年8月現在。文章中の敬称は略させて頂きました。
エネルギー環境システム研究室の一期生でした
まずは、東京電機大学の工学部に入られた理由をお教えください。
新村:工学部へ進んだのは、父親が機械系の仕事をしていたのがきっかけだと思います。具体的に言いますと、下水道を浄化させるための装置に携わっていました。そんな父親の背中を見ていたのが、大きいですね。父親の勤務する工場へ連れて行 ってもらったこともあります。もちろん、勉強では理系が好きだったこともありますが。
お父様のように、新村さんも機械いじりが好きでしたか。
新村:いえ。私は、まったくダメでした(笑)。
では、電気工学科へ進まれたのはなぜですか。
新村:色々な選択肢がいっぱいあったことですね。特に「これ」といったものはなかったので、他の学科に比べて、職業の選択肢が多い電気工学を選びました。
学科から院(加藤研究室)へ進まれた理由は何ですか。
新村:加藤研究室は、2006年に開設された新設の研究室だったことが大きいですね。私はちょうど一期生でした。学部4年のときに加藤先生が東京電機大学へいらしてからはじまった研究だったので、非常にやりがいがありました。
加藤研究室は、エネルギー環境システム研究室という異名を持ちますが、エコや地球環境問題などに興味があったのですか。
新村:いや逆で、正直に言えば、「エコ」や「地球にやさしく」などといった言葉は好きではありませんでした。なぜなら、現代社会は、エネルギーとしての電気は使わなければ結局、生活は成り立ちません。この現実を直視した上で、どのようにCO2排出を防ぐのか考えないといけないのに、流行のように言葉だけが先行している感じを受けていました。加藤研究室は、現実を見据えた上で地球環境問題に取り組む研究だったので、魅力を感じました。
コージェネレーションシステム研究に明け暮れた学生時代
加藤研究室ではどのような研究をしていましたか。
新村:パワーアカデミーHPに掲載されている「東京電機大学 学生インタビュー」の児島君と同じ研究です。彼は私の研究を引き継いでくれました。オフィスや学校、病院、ホテルなどの施設は冷房、暖房、お湯などで膨大な電気やガスを使用します。こういう施設に対して、コージェネレーションシステムなどを利用して、エネルギーを有効活用する研究です。私は、コージェネレーションシステムのなかでも、熱電可変型コージェネレーションシステムと呼ばれるものを、"マトラボ(MATLAB)"という解析ソフトと、"非線形計画法"という公式を使って研究していました。
熱電可変型コージェネレーションシステムとは何ですか。
新村:まずコージェネレーションシステムとは、簡単に言いますと、1種類のエネルギー源から複数のエネルギーを取り出して利用するシステムのことです。一般的にはガスなどを用いて、発電(電気)と排熱(熱)利用を行うシステムです。熱電可変型コージェネレーションシステムとは、この電気と熱の発生比率を変えることができるシステムです。
電気と熱の発生比率を変えることによって何が良いのでしょうか。
新村:例えば、季節や時間帯によって需要家の熱エネルギー需要に合わせて、電気と熱の供給比率を変えます。特にホテルのように熱需要が多い需要家にとっては、有効的な方法です。余った熱をガスタービンに戻して発電することができます。
最先端のエネルギー研究ですが、思い出に残っているエピソードはありますか。
新村:自分たちがスタートだったので、面白い反面、他の研究室のような成果になかなかたどりつけなくて悔しい思いをしたことですね。他の研究室だと先輩が教えてくれますが、私たちはゼロからのスタートで大変でした。
なるほど。ゼロからやるということは大変なことですね。
新村:はい。また、シミュレーションが膨大だったので、よく研究室に泊まったりしていました。それで気晴らしに、大学がある神田から、大手町の皇居まで歩きましたね。それが学生時代の一番の思い出です(苦笑)。
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