エリーカ「地球環境保全と経済回復のために、アメリカのオバマ大統領も普及を目指すと明言した電気自動車。パワーアカデミーでは、電気工学の技術が用いられている電気自動車について、2回に分けて特集します。第1回目は、2004年に開発され、大きな話題となった慶應義塾大学電気自動車研究室のエリーカ(Eliica)を紹介します。」

エリーカは、ここが凄い!

時速370kmというF1並みの高速性能を誇るエリーカは、これまでのガソリン自動車にはない驚きを私たちにも与えてくれます。

スポーツカーを超える、加速性能

エリーカの加速性能は、テスト走行において、世界を代表するスポーツカー(エンジン自動車)を凌ぎました。ガソリン自動車はいくらパワーがあっても、ギアシフトをする必要があり、加速が落ちます。一方、電気自動車はギア変換がないので、加速を持続することができます。

広い室内空間で、乗り心地が抜群。

広い室内空間で、乗り心地が抜群

電気自動車の大きな特徴として、ギアがなく、ペダルとハンドルのみで運転できることが挙げられます。そのため、運転が大変楽でより多くの人々に自動車が利用されると予想されています。また、エリーカは、床下にバッテリーや電池を敷きつめたフラットな構造で、車内の利用可能なスペースが多く、快適なカーライフが楽しめます。

「100円で100kmの旅を」燃費の良さ。

エリーカは走行だけでなく、燃費の良さも見逃せない魅力のひとつです。「100円で100kmの旅」が実現でき、単純計算して、現在普及しているガソリン自動車の数%ほどで済む計算になります。財布にも環境にもやさしい電気自動車の理想形と言えるでしょう。

広い室内空間で、乗り心地が抜群

エリーカにおける電気工学技術

エンジンなどを使用せず、「モータ」、「バッテリー」、また電力制御のための「インバータ」等の電気工学の技術が用いられています。

インバータ(IGBT)
インバータとは、直流電力を交流電力へ変換させる装置のことを言います。パワーエレクトロニクス技術による変換方式のひとつです。電気自動車のモータ駆動システムは、インバータによって制御されています。

インホイールモータ(永久磁石モータ)
車輪の中にモータを組み込み、高速化を可能にした四輪駆動システムを、インホイールモータ方式と言います。エリーカは、このインホイールモータを採用し、さらに四輪駆動を八輪駆動にすることで、時速370kmという超高速化を実現しています。

リチウムイオン電池
放電と充電を繰り返し行える電池を二次電池と言います。その二次電池の中でも、現在もっとも普及しているのは、リチウムイオン電池です。リチウムイオン電池は、エリーカのような電気自動車から、PC、ゲーム機器、携帯電話などに幅広く使用されています。

この記事に関連する電気工学のキーワード

  • 電力機器
  • 電気自動車
  • 蓄電池

開発者インタビュー「エリーカの生みの親である、慶応義塾大学電気自動車研究室の清水浩教授に、電気自動車と電気工学の関係性について話を伺いました。」