女子大初の工学部 学生インタビュー

電気工学で活躍する女性

人を驚かせるようなものづくりに挑戦したい。

女子大初の工学部 学生インタビュー奈良女子大学 工学部 2年

田中 友望たなか ともみさん ・小田 玲実おだ たまみさん

2023年8月31日掲載

※本記事は、2023年6月に取材しました。

奈良女子大学初の工学部の1期生で、現在は学部2年生の小田さん、田中さんにお話しを伺いました。女子大初の工学部を志望した理由や日々の授業、学生生活や将来の夢などを語っていただいています。また、取材を通して電気工学の印象についても伺いました。

幅広く学べる
女子大初の工学部へ

2022年、日本の女子大学史上初めて、奈良女子大学に工学部が誕生しました。小田玲実さんと田中友望さんは、ともにその1期生。少人数の学部ということもあって、毎日顔を合わせながら過ごしているそうです。
小田さんは幼い頃からエンジニアのお父様の影響もあり、ものづくりが好きだったことがきっかけで、理系の道に進みました。
「小物を収集するのが好きで、そういうものをつくる人になりたいと思っていました。また、好奇心旺盛でいろんなことをやってみたいタイプだったので、選択肢の豊富な工学部に進みました」
一方の田中さんは、“リケジョ”への憧れが出発点だったそうです。
「数学や物理の勉強が好きでした。白衣を着て実験していたり、プログラミングしていたり、そういう女性ってすごく輝いていると感じ、憧れていました。高校も理系コースでした」
そんな田中さんの家の近くに誕生したのが奈良女子大学の工学部。田中さんは「運命的なものを感じ、ここしかないと思って入学しました」と語っています。
また、小田さんは1期生という点に魅力を感じたそうです。
「前例がない中、自由な学びができると思いました。何もないところに道を開く感じがし、それが後輩に受け継がれていくと思うとすごくやる気が出ました」
選択肢の広さについては田中さんも次のように語っています。
「入試の出願時に学科やコースを決めなければならない大学がほとんどでした。私はいろんな分野に興味があったし、途中でやりたいことが変わっていくこともあると思ったので、幅広く学びながら専攻を絞っていくことができるカリキュラム構成に惹かれました」

日常の疑問を
解きほぐしていく

現在は学部2年生の2人。同じ工学部工学科に学びながら、関心ある領域はそれぞれです。
「力学、電磁気学に興味があり、特に材料力学と流体力学を学んでいます。後期には機械力学と熱力学も学ぼうと考えています」(小田さん)
「ビジネスにおける情報の活用、人間の五感とその評価方法、材料力学、線形代数、電磁気学、建築の歴史、製図と、幅広く学んでいます」(田中さん)
2人のように幅広く学びながら専門領域を絞っていくタイプの人もいれば、最初から“狭く、深く”専門性を極めていこうとするタイプの人もいるそうで、こうした自由度の高さが奈良女子大学工学部の魅力の一つであることは間違いありません。
「一言で“工学”と言っても、とても幅広いことが驚きでした」(田中さん)
小田さんにとって印象的だった授業は「先端設計生産工学概論」の講義だったそうです。ここでは既存製品を分析し、そこにどんな機能を付け加えたらいいかという発表を行いました。
「私はクォーツ式の腕時計を取り上げて、提案しました。取り上げる製品は人によって様々で、ロボット掃除機やエレベータ、車いすを取り上げた人もいました。私はものづくりが好きですから、みんなのユニークな発想やそれを実現するためのアイデアを聞くことは、大変刺激になりました」
同じ授業で田中さんは、折り畳み傘を選んだとのこと。
「骨組みの分析をしたくて選びました。これはどういう仕組になっているんだろうと疑問に感じたことや、疑問にすら思っていなかった現象の原理を知り、知識が増えていくのが楽しいです。特に力学系は日常の現象を式に表して計算していくところが面白いです」と田中さん。
このエピソードに代表されるように、実際に手と頭を動かして、自分で考えていく授業が多いのは奈良女子大学工学部の特徴のようです。
「手を動かし始めると止まらなくなって、時間が足りません」と笑いながら語る田中さんに、小田さんも大きくうなずいています。

落ち着いて
集中できる環境

奈良女子大学工学部で学ぶのは1学年48人。もちろん全員が女子です。
「私は中学・高校が女子校だったこともあって、女子大のほうが落ち着いて勉強できると思いました」(田中さん)
小規模であるため、静かで講義に集中できるのは大きな魅力です。
「落ち着いた雰囲気です。リラックスして勉強できています」(小田さん)
「工学部全体で1つのクラスみたいな感じですね」(田中さん)
空き時間があったら一緒に勉強したり、近所の奈良公園まで散策に出かけたりと、気の置けない友人関係ができています。
実習が多いことも特徴の一つ。3Dプリンターやレーザーカッターなどの設備も充実しています。
「女子だけなのでグループワークはとてもやりやすいです。設備を使いたいときも、男子がいるとつい遠慮してしまうと思うのですが、そんな気後れをすることもありません」と田中さん。
実習で製作した作品にはそれぞれの個性が反映されているそうですが、そんな楽しみ方ができるのも、少人数でお互いのことをよく理解できているからでしょう。

校舎内には奈良公園の鹿が遊びに来ます。

奈良女子大学は、明治41年(1908年)に「奈良女子高等師範学校」として設置されました。本館は「奈良女子大学記念館」として保存され、国の重要文化財に指定されています。

新製品開発に携わりたい

意外なことに小田さんは理数系の勉強は好きだったものの、あまり得意ではなかったとのこと。自分自身では文系的な感覚も持っていると感じているそうです。
「そのため奈良女子大学工学部で学んだことで、物事を論理的に順序立てて考えられる力が身についてきました」(小田さん)
将来については、機械や電化製品の設計に関する知識を身につけて、ものづくりに携わりたいと考えているそうです。
「大学での学びを通じて、電磁気学やアナログ回路、デジタル回路といったことにも興味がわいてきました。以前は文房具や家具をつくりたいと思っていたのですが、将来は車や家電製品などの開発にも挑戦したいと考えています」(小田さん)
そんな小田さんに刺激されたように、田中さんも次のように語っています。
「新しい技術によって新しい製品がどんどん開発されているという話を聞いて、自分も何か新しいものをつくりたいと思うようになりました。新しい技術を知ると、ワクワクしてきます。小田さんと同じく、人をびっくりさせるようなものをつくりたいですね」(田中さん)
奈良女子大学工学部での幅広い学びを通じて、2人とも、ものづくりへの憧れをいっそう強くしたようです。

わたしの学生生活

小田さん:部活は弓道部に所属しています。いろんなことを経験したいと考えており、最近ではネーミングライツの空間やサイネージのデザインなどに挑戦しました。ある会社が学内の部屋を利用されるのに際して、ちょっと雰囲気を変えようとジオラマを製作してみました。

レーザー加工機です。ここで奈良女の工学部のフライヤーの表紙にも使用された作品をつくりました。

田中さん:私は部活でダンスをしているほか、バレエも習っています。アルバイトは小学生・中学生向けの塾の講師。算数と数学を教えています。大学の友達とは休みの日に一緒に遊びに行ったり、空き時間に一緒に課題に取り組んだりしています。

授業で、チームで身体にいい香りの出るデフューザー「明日香」をつくりました。

電気工学について

小田さん:環境保護の関連から、省エネや新エネルギー開発のことはよく耳にするようになりました。授業でデジタル回路・アナログ回路について学んだとき、先生がシンセサイザーの音を聴かせてくれたんです。とても興味深くて、音や光などを通じて、身近なところで電気が役立っていることが実感できました。

田中さん:電気工学は、私たちの生活を豊かにするものを生み出す上で必要不可欠な学問だと思います。電気が実際にどんなところで活用されて、どんなふうに社会に役立っているかが実感できれば、もっと多くの女子が関心を持つようになると思います。

小田さんのある一日

10:30登校、2限から授業。兵庫の伊丹から通っているので遠いです。
12:10昼食。奈良女子大学の学食です。
13:00空きコマは、今日は奈良公園へ散歩しました。
14:40授業。4限の授業です。
16:30部活(弓道部)。鹿も遊びに来る弓道場でやっています。
19:00部活終了。
21:00帰宅。1時間30分ぐらいかけて。

田中さんのある一日

8:45家を出る。大学すぐそばに住んでいます。
9:00登校。1限の授業です。
12:10昼食。奈良女子大学の学食です。
13:00空きコマは、自習しました。
14:404限の授業です。
16:205限の授業です。
18:00夕食。一旦、家に帰って食べます。
19:00部活(ダンス部)。今日は第2体育室でした。
21:00帰宅。

取材を終えて

お二人とも授業を通して様々なモノづくりに取り組んでいられることを、イキイキと話をされていたことが、とても印象に残りました。また、自分らしい学生生活を送られていることも、とても伝わってきたインタビューでした。様々な学生が個性を発揮し、一人一人が自由に学びたい分野をデザインできる奈良女子大学。これからのますますの発展が楽しみです!

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