電力系統

英語名
electric power system

電力の発生から消費に至るまでの一貫したシステムで、水力・火力および原子力発電所、送電線、変電所、配電線、負荷等から構成されている。発電所を始めとする個々の設備自体が、かなり複雑な大規模システムで、これらの集合体である電力系統は、極めて複雑・巨大なシステムとして、次のような特質を有する。
①有機的・一体的システム 電力系統は、電力の発生・流通・消費を通じて、有機的・一体的に結ばれたシステムである。すなわち、発電力や需要の変動、発電機や送電線等の事故、系統からの脱調といった個々の状態変化が、程度の差はあるが、直接・間接に、全体のシステムに影響する。
②生産と消費の同時性 電力は大量の貯蔵が困難であることから、生産と消費が同時であるという大きな特徴をもっている。したがって、電力系統は、最大時点の電力消費量に対応した生産・輸送設備の容量を保持しなければならない。また、電力需要は、季節、曜日、時間帯、天候等さまざまな要因により時々刻々変動するので、これに合わせて瞬時瞬時に電力需給をバランスさせる必要がある。もし、負荷の急変動や電力設備の事故等によりこのバランスが大きく崩れると、発電機や負荷の脱調を生じ、これが更に連鎖的に波及することもあり得る。このため、電力系統は、種々のレベルの外乱要因に対して、速やかに機能を回復保持するための設備余力と制御システムを具備している。このバランスをみる指標となるのが周波数である。つまり、電力需要よりも発電力が少ないと周波数が下がり、多いと周波数が上がる。電力系統は、周波数を常に一定の範囲内に維持するよう、需給バランスをとりながら運用されている。
③変化・発展するシステム 電力需要は経済・社会の発展とともに増加してきており、これに対応して発電所を始めとする電力設備が増強され、電力系統の規模は年々拡大してきている。また、量的に拡大すると同時に、発電所や送変電設備等の大容量化や高電圧化、他系統との連系拡大等質的にも変化してきている。このため、長期的な視点で、電力需要の伸びや新技術の開発等、将来の変化・発展を考えたうえで電力設備の建設を進めていく必要がある。

出典)「電気事業事典」電気事業講座2008 別巻 ((株)エネルギーフォーラム 発行)

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