vol.33 埼玉大学

高電圧・大電流を学んで 社会に大きな貢献をしたい。

学生インタビュー vol.33

高電圧・大電流を学んで 社会に大きな貢献をしたい。

埼玉大学 山納研究室
佐藤一樹さん、細野泰寛さん、草野祐馬さん

今回は埼玉大学の山納研究室におじゃましてお話を伺いました。非常に充実した設備をお持ちの研究室で、研究時間も自由という伸び伸びとした雰囲気が特徴です。山納康准教授のご指導のもと、自由な研究環境の中、社会貢献度の高いテーマに挑まれています。メンバーのチームワークの良さも印象的でした。

※2015年3月現在。文章中の敬称は略させていただきました。

社会を支える仕事に就きたいという思いで

皆さんがなぜ電気工学を志望されたのか、その動機から教えください。草野さん、いかがでしょう。

草野:私は昔から理科が好きで、中学生の頃、停電をきっかけに発電、送電、停電について調べたことで電気に興味を持つようになりました。10分程度の停電でしたが、夜だったのでとても不安だったことを覚えています。それまで当たり前のように使っていた電気について、使えなくなって初めてその重要性に気づかされて調べてみたいなという思いが浮かんできました。

中学生時代の体験がルーツだったわけですね。その延長で山納研究室を選ばれたわけですか。

草野:ええ。電気の中でも高電圧、大電流は派手なイメージがあったので、その研究に取り組みたいと考えて選びました。

草野さんが中学時代の体験がきっかけだったのに対して、細野さんは高校時代にきっかけがあったとか。

細野:はい。高校物理の中で、問題が解けて一番嬉しかったのが電気でした。そして、自分の得意な分野の知識を活かして社会に貢献したいと考えて、電気工学の道に進む決意をしました。電気というのは私たちの生活を支える重要な存在ですから、この分野で活躍できたらと思ったんです。

山納先生の研究室を選ばれたのはどうしてですか。

細野:学部の時に放電の実験をやって面白いと思ったからです。あとは山納先生が優しそうだったので、ここなら自分もやっていけるかなと(笑)。

では、続けて佐藤さん、電気工学を志望された理由を教えてください。

佐藤:細野さんと同じで、私も物理と数学が得意だったということが理由の一つです。あとは、電力会社に勤めている親戚から「電力会社に入りなよ」とずっと言われ続けていたので、自分も将来は電力会社で働きたいと思うようになったことも動機としてありました。

電力会社でどんなことをしたいと思ったのでしょう。

佐藤:漠然と入りたいと思っただけですから、特に具体的なイメージはなかったですね。電気はどんな業界でも必要とされるから、産業を支える重要な仕事に就きたい、といった感じでした。

山納研究室を選ばれた理由は。

佐藤:学部時代に電気工学を学んで、絶縁破壊現象(※1)というのが、電気が目に見えるということで興味を持ちまして、この研究室を選びました。

(※1)絶縁体に加わる電圧を増してゆくと、ある限度以上で突然、絶縁性を失って大電流が流れる現象のこと。

電気のブレーカー・真空遮断器の性能向上のために

現在の研究内容について教えてください。最初に細野さん、いかがでしょう。

細野:私は真空の電気絶縁に関する研究を行っています。真空遮断器などの真空を用いた機器の性能・信頼性向上において問題となるのが、真空中放電です。真空では放電しないはずなのに、真空にわずかながら何かの物質があると放電すると考えられます。その原因の一つが、陰極から放出された電子が陽極に照射されることで放出される気体の脱離です。そこで私は、電子照射により電極から放出する気体の成分・量と真空中放電の関係を調べています。

真空遮断器というのはブレーカーのようなもので、重要な電力機器ですね。真空だと放電しないはずなのになぜか放電してしまうので、その原因について調べていると。

これが実験を行っている四重極質量分析計。電子を照射し、誘電体から脱離するガスを検出します。

細野:ええ、電子銃を用いた電子照射を行うと電極から気体が放出されるのですが、それを「四重極質量分析計」という機器で測定しています。

研究室にはすごい実験器具が並んでいますね。メンテナンスも大変そうですが。

細野:真空装置ですので、空気の漏れがあっては正しく機能しませんから、真空を維持するためのメンテナンスを行っています。真空容器を一度大気にさらしてメンテナンスし、その後、ベーキングといって加熱をします。けっこう大変な作業ですよ。

やはり最初はそういったメンテナンスや装置の扱いから覚えていくものですか。

細野:そうですね。研究室に配属されたばかりの学部4年生の時は、何もわからずに先輩に言われるままにメンテナンス作業を行いました。その先輩が丁寧に指導してくれたおかげで、メンテナンスを通じて実験装置の構造や原理を詳しく知ることができたんです。試行錯誤の連続でしたが、ようやく実験装置が正しく機能したときは嬉しかったです。

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