ひとがより良く暮らす未来を、電気工学でつくりたい 渡邊 裕美子さん

『リング』や『マトリックス』で未来社会への形成に興味を持ちました

『リング』や『マトリックス』で未来社会への形成に興味を持ちましたと話す渡邊さん渡邊 裕美子さんは、三菱総合研究所の現役研究員でありながら、研究員としてさらなるスキルアップを図るため、2012年に東京大学の博士課程に入り、エネルギー関連の研究もされている、とても研究熱心な女性です。「三菱総合研究所では、社会人大学院生を学費面で支援する制度があって多くの社員が私と同じようにこの制度を利用しています」とのこと。
まさに現役バリバリの女性研究者の渡邊さん。理系へ進んだきっかけを尋ねると「数学や理科はなんとなく好きでした。中学時代にWINDOWS 95が発売され、話題になっていたので流行を追った感じです」という意外な答えが返ってきました。
技術者・研究者としてのビジョンを持ちはじめたのは、高校に入ってからだそうです。
「工学部に進もうと思ったのは、進学を意識した高校2年の頃です。当時、SF映画『マトリックス』や、ホラー小説『リング』、SFアニメ『エヴァンゲリオン』などが流行していて、自分も未来の人工知能や人工生命体といった話に興味があって、工学部へ進みました」。

水力発電所に感銘。電力・エネルギーを学びたい!

水力発電所に感銘。電力・エネルギーを学びたい!と話す渡邊さん未来社会に思いをはせた渡邊さんは、東京大学工学部に入学されました。学部3年生からの専攻を考える際に、渡邊さんは、電子情報工学で人工知能を研究・開発したいと考えていました。ところが、専攻を選択する直前に、学校の設備見学ツアーで訪れた電源開発(株)の奥只見発電所を見てとても衝撃を受けて、電気工学の道へ進まれたそうです。
「水力発電所のダムの大きさに圧倒されたのが率直な感想でした。それ以上に、自然を電気エネルギーに変換する水力発電所の機器を見て、大きな感銘を受け、電気など現代社会を支えるエネルギーを学びたい!と閃いたのです」という渡邊さん。これをキッカケに電気工学科を選択。学部4年生では、山地研究室に入り、エネルギーシステムについて研究されました。「エネルギーシステムの研究とは、簡単に言えば、電気だけでなく石油などの化石燃料も含めたエネルギーをいろいろ組み合わせて、社会にとって最適になるように考えることです」。

電気工学科は女性が少ないけど、メリットもたくさんあります。

電気工学科は女性が少ないけど、メリットもたくさんあります。と話す渡邊さんさて、電気工学科を選択された渡邊さんですが、女性の少なさに驚かれたそうです。
「電気系3学科(電気工学科、電子情報工学科、電子工学科)を専攻した女性は100人中6~7人。留学生の方がそのうち4~5人でした。山地研究室では女性1人でした。高校までずっと男女共学だったこともあり、本当にびっくりしました。」。
その女性の少なさがメリットとなる面もあります。「クラスでも研究室でもOBの方でも、とにかく覚えてもらえますし、注目もされます。これは結構、得だと思います。」。また、「毎年の研究室旅行や山地先生のお宅でのバーベキューパーティーというイベントなどもあり、みんなと仲良くなるきっかけは、沢山ありました。また、大学には授業やサークルなど女性との接点も、色々とあります。女性でも安心して電気工学科へ来ていただけますよ」とお話されていました。
そしてもうひとつ驚いたこととして、「授業の一環で、秋葉原へ行って電子部品を買って電気工作をしたことです。今となっては、かなり貴重な経験でした。」とのご体験も披露してくれました。

エネルギー問題を研究する、社会人研究員として

エネルギー問題を研究する、社会人研究員としてと話す渡邊さんそして、現在のお仕事である三菱総合研究所でのお仕事について、教えていただきました。「2008年より再生可能エネルギー(太陽光、風力発電、バイオマス等)の導入拡大を中心に調査・研究しています。海外の再生可能エネルギー関係の政策調査や導入のシミュレーションなどを行い、提言を行っています」。
「再生可能エネルギー関連の調査は、学生時代の研究にもつながり、三菱総合研究所が2009年に発表した『エネルギー環境ビジョン』というプロジェクトに参加できたのも、私が学生時代に研究していたモデルを使ってシミュレーションするプロジェクトだったからです」。この『エネルギー環境ビジョン』は、2050年のエネルギー需給のシミュレーションを民間のシンクタンクが行うという画期的なものでした。
学生時代と異なることは、「学生の時は色々と問題点を指摘されるだけで、褒められることはほとんどありませんでしたが、仕事では、お客様から直接褒められることがあり、とてもうれしいですね」。
環境・エネルギー問題から、再生可能エネルギーが注目されていますが、この再生可能エネルギー導入を進めるためには、我々の覚悟や負担も必要だとお話されていました。今後の渡邊さんの研究に、目が離せません。

“電気工学が分かる”ことは自信につながる

“電気工学が分かる”ことは自信につながると話す渡邊さん渡邊さんは、現在、東京大学の博士課程に入られ、岩船由美子准教授の研究室を選ばれました。「東大の博士課程へ入ったのは、海外では学位(博士課程修了)を習得していることが研究員のスタンダードと言われていることも目的のひとつでした」とのこと。岩船研究室を選ばれたのは、岩船先生も山地研究室の出身者で、エネルギー関連の研究をされているからだそうです。
「岩船研究室は、女性の先生の研究室らしく、清潔感があります。また、私が学生だったときは考えられない位、女性が多く所属しています」。
最後に電気工学へ進む女性へアドバイスをいただきました。「電気は他の工学分野と比べると、長い歴史を持つ学問です。そういう伝統のある分野で頑張っていると、“電気工学が分かるんだ”という自信につながると思いますよ」。そして「目に見えるもの、動くものを作るのも楽しいですが、電気工学は、その先にある“ひとがより良く暮らす未来を思い描く”こともできます。ですから男性だけでなく、もっと多くの女性の皆さんに活躍してほしいと思います」と力強く話してくれました。渡邊さんの今後の活躍が一層期待されます。

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