去る8月4日(日)、鈴鹿サーキットにて「2019 Ene-1 Challenge」が開催されました。
パワーアカデミーでは、本大会の趣旨に賛同し協賛するとともに、パワーアカデミー賞を設置し猛暑の中奮闘する学生を応援しております。
今回も、炎天下の中繰り広げられた熱戦の模様をお伝えします。

Ene-1 Challenge (旧Ene-1 GP)とは?

充電式単三電池40本のみを動力源とした次世代エネルギーカーイベントで、車両部門(KV-40)と二輪車部門(KV-BIKE)があります。2011年(BIKEは2014年)から始まり、年々参加チームが増加しており、今大会ではKV-40で107チーム、KV-BIKEで38チームが参加し、益々の盛り上がりを見せています。

大会概要

開催日 2019年8月4日(日)
競技会場 鈴鹿サーキット国際レーシングコース
主催 株式会社モビリティランド
後援 三重県、鈴鹿市、鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会、一般社団法人鈴鹿市観光協会、鈴鹿商工会議所、三重県教育委員会、公益社団法人全国工業高等学校長協会、一般社団法人日本EVクラブ
オフィシャルパートナー パナソニック株式会社、株式会社ミツバ、アルテアエンジニアリング株式会社、山王テック株式会社、トリナ・ソーラー・ジャパン株式会社、パワーアカデミー
協賛 住友電装株式会社、有限会社三鈴印刷
公式サイト http://www.suzukacircuit.jp/ene1gp_s/

競技内容

車両部門(KV-40)は、F1でお馴染みの鈴鹿サーキット国際レーシングコース(一周約5.8km)のタイムアタックを3回行い、その合計タイムを競うものです。
本コースはアップダウンが激しく(高低差約40m)、車体に負担のかかるカーブが連続するため、非常にタフなコースとなっています。
また、競技開始以降、電池の追加充電はできないため、速いタイムを記録しつつ、3回のタイムアタックを完走できるようなエネルギーマネジメントが必要となります。1周目を如何に早く走行しても、2周目、3周目にエネルギーが残っていないとリタイアしてしまいます。パワーアカデミーでは、このエネルギーマネジメントを重要とする競技内容に賛同し、パワーアカデミー賞を設定しました。

社会人チームの連覇か? 高校生・大学生チームが意地を見せるか?

連日記録的な猛暑が続き、朝から太陽がさんさんと照りつける中、午前9時半にレースが開始されました。1st Attackでは、大会連覇を目指すゼッケン№1社会人チームの木本工作所が、コースレコード(5分36秒292、平均時速:約62km)という圧巻の走りでファーストラップを獲得。2位の高校生チーム、飯田OIDE長姫高校原動機部B(5分53秒371)に17秒の差をつけました。さらに社会人チームのTeam EVFが2位と1秒265差の3位に入りました。昨年の総合優勝チームが、今年の1st Attackでもレコードタイムで他に圧倒的な力の差を見せつけたレースとなりました。
今年も木本工作所で決まるのか、他のチームが一矢報いるのか、速さだけではなく、電池の残量を計算しつつ、3周の完走を目指したエネルギーマネジメントが必要となるのが本競技の醍醐味です。
2nd Attackでも木本工作所が力の差を見せつけ、2位の404ecorunに11秒以上の差をつけトップを独走。Final Attackでも圧倒的な速さでトップを守り、見事優勝を飾りました。(3周のトータルタイム:17分13秒497は、昨年の優勝タイムよりも17秒以上早い!)

今年も様々な車体が大会を盛り上げました。

ダンロップコーナーで繰り広げられるドラマ

本コースの最難関ポイントの一つが、コース序盤にあるダンロップコーナーと呼ばれる勾配7.8%の上り坂です。優勝を目指すチームは難なく攻略していきますが、完走を目指すチームにとっては、正にレースの正念場となる箇所で、ここでリタイアしてしまうチームも多くあります。
今年も、上り坂とは思えないほど加速し、他チームを追い抜いていくチームもあれば、何度も止まってしまいながらも都度修理し攻略するチームなど、数々のドラマが展開されました。
このダンロップコーナーは、「激感エリア」と称して、コース真横というレース好きには堪らない近さで観戦・応援が出来るエリアとなっています。まずは観戦してみたいという方は、ここで多くのドラマを体感して欲しい。きっとファンになると思います。

パワーアカデミー賞の行方は?

パワーアカデミー賞では、学生チームを対象に、速さを追及するのではなく、事前に申告した目標タイム(3つのターゲットタイム(24分、36分、48分)のいずれか)と実走行の3周合計タイムの時間差が最も小さいチーム(各ターゲットタイムに1チーム)をエネルギーマネジメントに優れているということで表彰しています。
今大会では、参加した全学生チーム79チーム中38チーム(約48%)にエントリー頂き、多くの学生に関心を持って頂けたことに事務局としても感謝しております。
ターゲット1(24分)では、長野県飯田OIDE長姫高校原動機部Bが第1位となり、ターゲット2(36分)では、大阪市立東淀工業高等学校技術研究部が、ターゲット3(48分)では、鳥取県立鳥取工業高等学校技術研究部がそれぞれ第1位となりました。
中でもターゲット3(48分)の鳥取工業高校技術研究部チームは、16分、15分、15分台と3周とも見事なラップを刻み、ターゲットタイムと僅か40秒差という秀逸なマネジメントを見せてくれました。今回、受賞されたチームの皆さま、本当におめでとうございました。今回は、2nd Attackまでパワーアカデミー賞有力だったチームのFinal Attackでのリタイアが相次ぎ、あらためてエネルギーマネジメントの難しさを実感いたしました。
表彰式では、早川直樹パワーアカデミー大学検討委員会委員(名古屋大学教授)から、受賞者へ記念の楯と副賞(図書カード)が授与されました。

右から早川委員、ターゲット3第1位の鳥取県立鳥取工業高等学校技術研究部
ターゲット2第1位の大阪市立東淀工業高等学校技術研究部
ターゲット1第1位の長野県飯田OIDE長姫高校原動機部B

ターゲット1
長野県飯田OIDE長姫高校
原動機部B

ターゲット2
大阪市立東淀工業高等学校
技術研究部

ターゲット3
鳥取県立鳥取工業高等学校
技術研究部

参加チーム全体での集合写真