去る2010年5月19日(水)、20日(木)の2日間に渡り、広島大学を主な会場に、第5回パワーアカデミー・リージョナルミーティング(以下:PARM )を開催しました。

■主な内容

第5回PARMでは、主に中国地区における電気工学分野を活性化させるための取り組みなどについて、意見交換〔開催日:5月19日(水) 会場:広島大学〕を行いました。

(1)パワーアカデミーの活動紹介

手島康博局長によるパワーアカデミーの活動紹介

電気工学をめぐる現状、パワーアカデミーの活動概要、今後の活動に関する検討状況などについて、パワーアカデミー・手島康博局長より説明を行いました。

(2)中国地区の各大学における活動と課題

中国地区における活動と課題について、各大学より説明が行われました。(以下、主なご発言を抜粋。)

【主な発言】

○ 近年は、「電気自動車」「太陽光発電」「スマートグリッド」が学生をひきつけるキーワード。
○ 電気工学がどのように世の中に役に立っているのか、一般の方々には分かりにくいので、テレビ番組等を活用して、電力運用等の仕事の内容を広く紹介して欲しい。
○ 電気工学は、目で見たり手で触れたりする形で直感的に理解しにくい分野。学生に教えるにあたって、電気工学を実感できるような教材を作って頂けるとありがたい。

中国地区の各大学における活動と課題

(3)中国地区の各高専における活動と課題

中国地区における活動と課題について、各高専より説明が行われました。(以下、主なご発言を抜粋。)

【主な発言】

○ 工学系全般を取り巻く最近の状況を見ると、電気系の教員もいろいろな分野の教員と協調してプロジェクトを進めていくべきである。
○ 電気系の教科書は図解等が少なく難しいと言われている。イラスト等を使ってもっと分かりやすくすべきである。
○ 高専を志望する年代である中学生に向けて、「電気工学を学べば将来このような道が拓ける(就職に強い等)」ということを分かりやすくPRして欲しい。また、電気工学に関する広報活動について、予備軍である小中学生やその保護者もターゲットに力を入れてほしい。
○ 教育現場では電気系教員の不足が顕著なことから、教育者の育成をお願いしたい。

中国地区の各高専における活動と課題

(4)フリー討論

フリー討論では、中国地域の活動や電気工学分野の活性化、パワーアカデミーとの提携などについて意見を交換しました。(以下、主な質疑の内容を抜粋。)

【主な質疑】

「JABEE(日本技術者教育認定機構)導入による効果はどうか?」

○ JABEE認定校の卒業生は世界的に認められるものだが、思うほど効果を実感しない。就職での優位性など、もっとフィードバックがあってもよい。

○ JABEEを導入することで、従来の先生中心から学生主体の教育に替わり、学校改革の中で効果があったと感じている。

「最近の若手教員のコミュニケーション能力をどう思うか?」

○ 学生とのコミュニケーションは若手教員の方が得意。

○ 異分野の教員とプロジェクトを組むのが、良いトレーニングになる。

「若手教員の海外留学の状況はどうか?」

○ 海外へ留学する場合、不在期間中に他の教員の負担が増えることなどが問題として挙げられ、積極的な行動につながらない要因のひとつである。

○ 金銭面での負担も大きく、パワーアカデミーから支援していただけるとありがたい。

「電気工学分野における人材育成の見通しはどうか?」

○ 環境問題への対応等のために分野として広がりつつあるが、技術的テーマが将来に向けてどのように広がり充実していくのか、若い人に見せるための工夫が必要である。

○ グローバルに日本が広がっていく為に、電気工学分野の人材育成についてロードマップを今後作っていくことになるだろう。

「電気工学分野における技術教育(特に、基本の学問としての小中学校での教育や将来の世界戦略を見据えた教育)をどう考えているか。」

○ 電気工学の技術的な状況について、これまで社会に広く知らしめていなかったことが、今の状況を生んでいる。

○ 書籍「世界一の電気はこうして作られる!」の出版など、社会へのPR活動も進めており、学生数の回復などを見ると、多少なりとも電気工学に社会の目が向いてきたのではと感じる。

○ 大学、高専の教員の自己満足であったものを、PAの活動の中で社会に広く知らせていくことで、保護者の意識を電気工学へ向けていくことが出来るのではないか。

「メーカーの立場から見て、電気工学系の人材に対してどのようなニーズがあるのか。」

○ メーカーとしては、近年はトータルシステムとして海外展開を推進することも多く、電気系の人材は更に必要となってきている。電気系の学生は相当引く手あまたであり、良い教員、良い学生を育てて欲しいと考えている。

フリー討論

(5)施設見学

意見交換終了後、広島大学 放射光科学研究センターの施設見学を行いました。また、5月20日(木)、中国電力株式会社エネルギア総合研究所ほか視察を実施しました。

施設見学

■開催概要

会場 広島大学(リージョナルミーティング)
広島大学 放射光科学研究センター、エネルギア総合研究所、
酒類総合研究所(施設見学)
日時 2010年5月19日(水) 13:00 ~ 5月20日(木) 12:00
参加者 ・広島大学、鳥取大学、島根大学、岡山大学、山口大学、岡山理科大学、
 広島工業大学、福山大学、広島国際学院大学関係者
・米子工業高等専門学校、松江工業高等専門学校、津山工業高等専門学校、
 呉工業高等専門学校、徳山工業高等専門学校、宇部工業高等専門学校、
 広島商船高等専門学校、大島商船高等専門学校関係者
・中国電力、北海道電力、北陸電力、関西電力、四国電力関係者
・日立製作所、東芝、三菱電機関係者
・パワーアカデミー運営委員、事務局