進相運転
英語名leading power factor operation
発電機は有効電力を発生すると同時に無効電力も発生し、また状況によっては系統から無効電力を吸収することができることから、最も有効な電圧調整機器の一つになっている。一般に無効電力を発生する運転方法を遅相運転と呼び、発生電力は遅れ力率である。この場合は最大出力であっても85%程度の力率まで運転することができ、さらに出力を下げると力率は更に遅れる(一般に力率が悪くなる)が励磁機電流容量に制限を受けて60%程度以下には下がらない。また、発電機自体の界磁電流を減少し、系統から無効電力を吸収する運転方法を進相運転と呼び界磁電流は進み力率である。これは、低励磁運転であるため発電機の内部誘起起電力が低下し、系統に短絡等の擾乱が発生すると系統電圧が低下し、それと同時に発電機も安定に同期運転を継続することができなくなる恐れがある。
進相運転では発電機端子電圧が低下するため、補機類の出力が低下して、結果的には発電出力の減少を招いたり、発電機固定子端部が漏れ磁束により過熱する等の問題があるため、進み力率の90~95%が限度とされ、それほど大幅な進相運転は一般には不可能とされている。こうした有効・無効電力の発生限界能力を表す曲線が個々の発電機ごとに設けられており、これを可能出力曲線と呼んでいる。
出典)「電気事業事典」電気事業講座2008 別巻 ((株)エネルギーフォーラム 発行)