英語名General Supply Provisions

一般電気事業者が電気の供給を行うに当たって、電気料金その他の供給条件を定めたもので、1995年の電気事業法改定により、従来の「供給規程」から「供給約款」へ名称変更されたもの。供給約款は経済産業大臣の認可を受けるべき義務が課されている(電気事業法第19条第1項)。
なお、1999年の電気事業法改正により、料金を引き下げる場合等、電気の使用者の利益を阻害するおそれがないと見込まれる場合には届出による供給約款の変更が可能となっている。供給約款での規定範囲は、自由化範囲の拡大に応じてその都度縮小され、2007年現在、供給約款の規定対象は低圧需要(沖縄電力は、低圧需要および高圧需要)のみとなっている。一般電気事業者は、電気の供給を行うに当たって、まず電気料金その他の供給条件について需要家と契約を締結することが必要であるが、一般電気事業者の電気の供給は、必然的に多数の需要家を対象とし、取引の都度、個々の需要家と供給条件を協議することは実務上困難であるためあらかじめ定型化された取引内容を約款として定め、これにしたがって、一律的に契約がなされることが取引の簡易化、合理化の見地から要請される。
また、一般電気事業は地域独占的公益事業であり、需要家は、供給を受ける一般電気事業者を自由に選択できないため、一般電気事業者がその独占的地位を利用して供給約款の内容を恣意的に定めたり、あるいは、需要家間の取り扱いにおいて不公平があったりすることは許されるべきではない。このような趣旨から、電気事業法において、一般電気事業者に供給約款を定めて経済産業大臣の認可を受けるべき義務が課されている。
内容としては、・適用区域または適用範囲、・供給の種別、・供給電圧および周波数、・料金、・電気計器その他の用品および配線工事その他の工事に関する費用の負担の方法(電気の使用者の負担となるものについては、その金額または金額決定の方法)、・供給電力および供給電力量の計測方法および料金計算方法、・送電上の責任の分界、・電気の使用方法等の制限、電気の供給条件、供給者および使用者の責任等に関する事項、・有効期間および実施期日、が定められている。
また供給約款の設定・変更の認可基準としては次の事項等があげられる。・料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること、・料金が供給の種類により定率または定額をもって明確に定められていること、・一般電気事業者および電気の使用者の責任に関する事項ならびに電気計器その他の用品および配線工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められていること、・特定の者に対して不当な差別的取り扱いをするものでないこと。なお、一般電気事業者は供給約款設定の認可を受けたとき、または変更届出を行ったときは、その実施日の10日前から営業所および事務所においてその供給約款を公表する義務がある。

出典)「電気事業事典」電気事業講座2008 別巻 ((株)エネルギーフォーラム 発行)

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