トリーイング

英語名treeing

トリーとはCVケーブル等のプラスチックケーブルの絶縁物(固体絶縁物)中に発生する樹枝状の絶縁破壊痕跡のことをいい、電気トリー、水トリー、化学トリーに分類することができる。架橋ポリエチレン絶縁体に電界が加わり、不平等電界部分が生じその部分の電界が絶縁強度限界電圧を超えると、その部分だけが破壊する局部破壊が生ずる。この局部破壊が樹枝状に進展していくのを電気トリーといっている。
これは、電極と絶縁体との間のエア・ギャップや、異物、絶縁体中の異物・突起物・ボイド等、高電界の発生する部分や気中放電の生ずる恐れのある部分が存在する場合に発生する。架橋ポリエチレン絶縁体が長期間にわたり水に浸潰され、何らかの要因で絶縁体中に水分が侵入した場合、その水分により絶縁体が樹枝状に破壊されているのを水トリーと呼んでいる。水トリーには2種類あり、絶縁体中に水分が侵入し、かつ内部の半導電層に電極不整がある場合に生ずる界面水トリー、および絶縁体中に水分が侵入し、かつ絶縁体中にボイドや異物が存在する場合に生ずるボウタイ水トリー(bow tie tree；単にボウタイトリーという)がある。
化学トリー(サルファイドトリー)とは、ケーブル心線に銅導体を使用しているCVケーブルを硫化水素等の硫化物を含んだ場所に布設した場合に、硫化物がケーブルシース、接続部等から侵入し、絶縁体を透過し銅導体にまで達し、銅と硫化物が化学反応を生じて硫化銅を生成し、その結晶が絶縁体中に樹枝状に折出成長したものをいう。

出典）「電気事業事典」電気事業講座2008 別巻　((株)エネルギーフォーラム 発行)

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