去る7月28日(日)、鈴鹿サーキットにて「2024 Ene-1 SUZUKA Challenge」が開催されました。
パワーアカデミーでは、本大会の趣旨に賛同しオフィシャルパートナーとして参画するとともに、パワーアカデミー賞を設置し猛暑の中奮闘する学生を応援しております。
今回も、炎天下の中繰り広げられた熱戦の模様をお伝えします。

Ene-1 Challengeとは?

充電式単三電池40本のみを動力源とした次世代エネルギーカーイベントで、車両部門(KV-40)と二輪車部門(KV-Moto)があります。2011年(KV-Motoの前身であるKV-BIKEは2014年)から始まり、参加チームは順調に増加しており、今大会ではKV-40で108チーム(昨年102チーム)、KV-Motoで46チーム(昨年40チーム)が参加し、益々の盛り上がりを見せています。

大会概要

開催日 2024年7月28日(日)
競技会場 鈴鹿サーキット国際レーシングコース
主催 ホンダモビリティランド株式会社
後援 三重県、鈴鹿市、三重県教育委員会、
鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会、
一般社団法人 鈴鹿市観光協会、鈴鹿商工会議所、
公益社団法人全国工業高等学校長協会
オフィシャルパートナー パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社、株式会社ミツバ、
パワーアカデミー、山王テック株式会社
協賛 有限会社三鈴印刷
公式サイト https://www.suzukacircuit.jp/ene1-challenge/

競技内容

車両部門(KV-40)は、F1でお馴染みの鈴鹿サーキット国際レーシングコース(一周約5.8km)での1周のタイムアタックを3回行い、その合計タイムを競うものです。
本コースはアップダウンが激しく(高低差約40m)、車体に負担のかかるカーブが連続するため、非常にタフなコースとなっています。
また、競技開始以降、電池の追加充電はできないため、速いタイムを記録しつつ、3回のタイムアタックを完走できるようなエネルギーマネジメントが必要となります。1周目を如何に早く走行しても、2周目、3周目にエネルギーが残っていないとリタイアしてしまいます。パワーアカデミーでは、このエネルギーマネジメントを必要とする競技内容に賛同し、学生チームを対象にパワーアカデミー賞を設定しています。

社会人チームの連覇か? 学生チームの逆転劇はあるか?

天候に恵まれ、参加者の高揚も相まって大会特有の熱気が感じられる中、午前10時台から午後4時台にわたってレースが開催されました。1st Attackでは昨年1位の社会人チーム『木本工作所』がトップを獲得、2022年大会2位の強豪社会人チーム『404ecorun』、学生クラスで例年最速を誇る『長野県飯田OIDE長姫高校 原動機部A』が続きます。しかし、今年は1st Attack時点で5分・6分台が17チーム(昨年は7チーム)とレベルが高く、そのうち半数以上は学生チーム。誰が総合優勝に絡んでもおかしくない状況で、応援にも熱が入ります。2nd Attackも変わらず熱戦が展開されましたが、『木本工作所』が今回大会記録(5分49秒918、平均時速:約60km)を叩き出し、大会連覇者の貫禄を見せました。終盤まで好記録を打ち立てるチームが多数あり、混戦模様となる中...3rd Attackにおいても『木本工作所』が全チーム中トップの記録を収め、見事大会6連覇を果たしました(合計タイム17分43秒973)。続いて、社会人チーム『404ecorun』が堂々の2位を獲得(合計タイム18分04秒588)。さらに高校生チーム『長野県飯田OIDE長姫高校 原動機部A』が続き、今回大会においても見事3位を飾りました(合計タイム19分07秒928)。
今回大会の完走率は約45%(エントリー108チーム中、49チーム)となり、猛暑の中でのレースの過酷さが改めて感じられる結果となりました。惜しくも完走を果たせなかったチームも多くいる中、1stや2ndでは完走できずとも諦めず3rd Attackを走りきるチームもいるなど、出場チーム全員が思いを込めて大会を盛り上げてくれました。

大会を彩る車体の数々

フルカウル型やドライバー剥き出し型など、今年も様々な車体が活躍しました。

NIPPOコーナーで繰り広げられるドラマ

本コースの最難関ポイントの一つが、コース序盤にあるNIPPOコーナー(旧ダンロップコーナー)と呼ばれる勾配7.8%の上り坂です。優勝を目指すチームは難なく攻略していきますが、完走を目指すチームにとっては、正にレースの正念場となる箇所で、ここでリタイアしてしまうチームも多くあります。
今年も、上り坂とは思えないほど加速し、他チームを追い抜いていくチームもあれば、何度も止まってしまいながらも都度修理し攻略するチームなど、数々のドラマが展開されました。
このNIPPOコーナーは、「激感エリア」と称して、コース真横というレース好きには堪らない近さで観戦・応援が出来るエリアとなっています。自チームの応援など、近くで観戦してみたいという方は、ここで多くのドラマを体感して欲しいと思います。

パワーアカデミー賞の行方は?

パワーアカデミーでは、学生チームを対象に、速さのみを追及するのではなく、事前に申告されたターゲットタイム(24分、36分、48分、60分)と実走行の3周合計タイムの時間差が最も小さいチーム(各ターゲットタイム毎に1チーム)を、エネルギーマネジメントに優れているということで表彰しています。また、前回リタイアしたチームの中で、今回完走することができ最もタイムの速かった1チームに対し、前回課題を克服されたということで表彰(リベンジ賞)しています。
今大会では、参加した全学生チーム85チーム中74チーム(約87%)にエントリーいただきました。昨年に続き多くの学生に関心を持っていただけたことに、事務局としても感謝しております。
パワーアカデミー賞の受賞チームですが、24分賞は『長野県工科短大A』、36分賞は『大阪府立布施工科高等学校』、48分賞は『AITEP1(愛知工業大学)』、リベンジ賞は『滋賀職業能力開発短期大学校』がそれぞれ受賞となりました。(60分賞では同カテゴリーにエントリーされた6チームに完走者がいなかったことから、残念ながら受賞者無しとなりました。)各チームとも順調なペースでラップを刻み、秀逸なエネルギーマネジメントを見せてくれました。今回、受賞されたチームの皆さま、本当におめでとうございます。
表彰式では、パワーアカデミー大学検討委員会委員長 早川直樹 教授(名古屋大学大学院)から、受賞者へ表彰状、記念の楯と副賞(図書カード)が授与されました。

左から24分賞『長野県工科短大A』、36分賞『大阪府立布施工科高等学校』、
48分賞『AITEP1(愛知工業大学)』、リベンジ賞『滋賀職業能力開発短期大学校』、早川委員長

24分賞
長野県工科短大A

36分賞
R大阪府立布施工科高等学校

48分賞
AITEP1(愛知工業大学)

60分賞
(受賞者無し)

リベンジ賞
滋賀職業能力開発短期大学校

【参考】過去のパワーアカデミー賞受賞チーム(2018年度以降)

年度 ターゲットタイム リベンジ賞
24分賞36分賞48分賞60分賞
2018 紀北工業高等学校ものづくり研究部 名古屋工学院
専門学校A
三谷水産高校
機関部
2019 長野県飯田
OIDE長姫高校
原動機部B
大阪市立東淀
工業高等学校
技術研究部
鳥取県立鳥取
工業高等学校
技術研究部
2021 長野県飯田
OIDE長姫高校
原動機部C
鳥取県立鳥取
工業高等学校
技術研究部
大阪府立堺工科高等学校
自動車部
大阪教育大学
技術教育部門
福岡市立博多
工業高等学校
Bチーム
2022 三重県立津工業高等学校 名城大学
エコノパワークラブ
長野県飯田
OIDE長姫高校
原動機部C
(受賞者なし) 愛知県立豊橋
工科高等学校
定時制
2023 広島県立
技術短大
EV-Project B
Ryukoku Racing
(龍谷大学)
大阪府立
堺工科高等学校
自動車ソーラーカー部
松本市立
清水中学校
KVT-46
長野県飯田
OIDE長姫高校
原動機部B

大会を終えて

興奮・ドラマ・感動ありの2024 Ene-1 SUZUKA Challenge。選手の皆様は充実した表情で会場を後にしていました。
パワーアカデミーでは、今後とも様々な形でPR活動を展開し、電気工学分野の魅力を伝え、より一層の発展に貢献してまいります。