『2024 Ene-1 SUZUKA Challenge』イベントレポート
2024年8月30日
去る7月28日(日)、鈴鹿サーキットにて「2024 Ene-1 SUZUKA Challenge」が開催されました。
パワーアカデミーでは、本大会の趣旨に賛同しオフィシャルパートナーとして参画するとともに、パワーアカデミー賞を設置し猛暑の中奮闘する学生を応援しております。
今回も、炎天下の中繰り広げられた熱戦の模様をお伝えします。
Ene-1 Challengeとは?
充電式単三電池40本のみを動力源とした次世代エネルギーカーイベントで、車両部門(KV-40)と二輪車部門(KV-Moto)があります。2011年(KV-Motoの前身であるKV-BIKEは2014年)から始まり、参加チームは順調に増加しており、今大会ではKV-40で108チーム(昨年102チーム)、KV-Motoで46チーム(昨年40チーム)が参加し、益々の盛り上がりを見せています。
大会概要
開催日 | 2024年7月28日(日) |
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競技会場 | 鈴鹿サーキット国際レーシングコース |
主催 | ホンダモビリティランド株式会社 |
後援 | 三重県、鈴鹿市、三重県教育委員会、 鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会、 一般社団法人 鈴鹿市観光協会、鈴鹿商工会議所、 公益社団法人全国工業高等学校長協会 |
オフィシャルパートナー | パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社、株式会社ミツバ、 パワーアカデミー、山王テック株式会社 |
協賛 | 有限会社三鈴印刷 |
公式サイト | https://www.suzukacircuit.jp/ene1-challenge/ |
競技内容
車両部門(KV-40)は、F1でお馴染みの鈴鹿サーキット国際レーシングコース(一周約5.8km)での1周のタイムアタックを3回行い、その合計タイムを競うものです。
本コースはアップダウンが激しく(高低差約40m)、車体に負担のかかるカーブが連続するため、非常にタフなコースとなっています。
また、競技開始以降、電池の追加充電はできないため、速いタイムを記録しつつ、3回のタイムアタックを完走できるようなエネルギーマネジメントが必要となります。1周目を如何に早く走行しても、2周目、3周目にエネルギーが残っていないとリタイアしてしまいます。パワーアカデミーでは、このエネルギーマネジメントを必要とする競技内容に賛同し、学生チームを対象にパワーアカデミー賞を設定しています。
社会人チームの連覇か? 学生チームの逆転劇はあるか?
天候に恵まれ、参加者の高揚も相まって大会特有の熱気が感じられる中、午前10時台から午後4時台にわたってレースが開催されました。1st Attackでは昨年1位の社会人チーム『木本工作所』がトップを獲得、2022年大会2位の強豪社会人チーム『404ecorun』、学生クラスで例年最速を誇る『長野県飯田OIDE長姫高校 原動機部A』が続きます。しかし、今年は1st Attack時点で5分・6分台が17チーム(昨年は7チーム)とレベルが高く、そのうち半数以上は学生チーム。誰が総合優勝に絡んでもおかしくない状況で、応援にも熱が入ります。2nd Attackも変わらず熱戦が展開されましたが、『木本工作所』が今回大会記録(5分49秒918、平均時速:約60km)を叩き出し、大会連覇者の貫禄を見せました。終盤まで好記録を打ち立てるチームが多数あり、混戦模様となる中...3rd Attackにおいても『木本工作所』が全チーム中トップの記録を収め、見事大会6連覇を果たしました(合計タイム17分43秒973)。続いて、社会人チーム『404ecorun』が堂々の2位を獲得(合計タイム18分04秒588)。さらに高校生チーム『長野県飯田OIDE長姫高校 原動機部A』が続き、今回大会においても見事3位を飾りました(合計タイム19分07秒928)。
今回大会の完走率は約45%(エントリー108チーム中、49チーム)となり、猛暑の中でのレースの過酷さが改めて感じられる結果となりました。惜しくも完走を果たせなかったチームも多くいる中、1stや2ndでは完走できずとも諦めず3rd Attackを走りきるチームもいるなど、出場チーム全員が思いを込めて大会を盛り上げてくれました。
大会を彩る車体の数々
フルカウル型やドライバー剥き出し型など、今年も様々な車体が活躍しました。
NIPPOコーナーで繰り広げられるドラマ
本コースの最難関ポイントの一つが、コース序盤にあるNIPPOコーナー(旧ダンロップコーナー)と呼ばれる勾配7.8%の上り坂です。優勝を目指すチームは難なく攻略していきますが、完走を目指すチームにとっては、正にレースの正念場となる箇所で、ここでリタイアしてしまうチームも多くあります。
今年も、上り坂とは思えないほど加速し、他チームを追い抜いていくチームもあれば、何度も止まってしまいながらも都度修理し攻略するチームなど、数々のドラマが展開されました。
このNIPPOコーナーは、「激感エリア」と称して、コース真横というレース好きには堪らない近さで観戦・応援が出来るエリアとなっています。自チームの応援など、近くで観戦してみたいという方は、ここで多くのドラマを体感して欲しいと思います。
パワーアカデミー賞の行方は?
パワーアカデミーでは、学生チームを対象に、速さのみを追及するのではなく、事前に申告されたターゲットタイム(24分、36分、48分、60分)と実走行の3周合計タイムの時間差が最も小さいチーム(各ターゲットタイム毎に1チーム)を、エネルギーマネジメントに優れているということで表彰しています。また、前回リタイアしたチームの中で、今回完走することができ最もタイムの速かった1チームに対し、前回課題を克服されたということで表彰(リベンジ賞)しています。
今大会では、参加した全学生チーム85チーム中74チーム(約87%)にエントリーいただきました。昨年に続き多くの学生に関心を持っていただけたことに、事務局としても感謝しております。
パワーアカデミー賞の受賞チームですが、24分賞は『長野県工科短大A』、36分賞は『大阪府立布施工科高等学校』、48分賞は『AITEP1(愛知工業大学)』、リベンジ賞は『滋賀職業能力開発短期大学校』がそれぞれ受賞となりました。(60分賞では同カテゴリーにエントリーされた6チームに完走者がいなかったことから、残念ながら受賞者無しとなりました。)各チームとも順調なペースでラップを刻み、秀逸なエネルギーマネジメントを見せてくれました。今回、受賞されたチームの皆さま、本当におめでとうございます。
表彰式では、パワーアカデミー大学検討委員会委員長 早川直樹 教授(名古屋大学大学院)から、受賞者へ表彰状、記念の楯と副賞(図書カード)が授与されました。
左から24分賞『長野県工科短大A』、36分賞『大阪府立布施工科高等学校』、
48分賞『AITEP1(愛知工業大学)』、リベンジ賞『滋賀職業能力開発短期大学校』、早川委員長
24分賞
長野県工科短大A
36分賞
R大阪府立布施工科高等学校
48分賞
AITEP1(愛知工業大学)
60分賞
(受賞者無し)
リベンジ賞
滋賀職業能力開発短期大学校
【参考】過去のパワーアカデミー賞受賞チーム(2018年度以降)
年度 | ターゲットタイム | リベンジ賞 | |||
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24分賞 | 36分賞 | 48分賞 | 60分賞 | ||
2018 | 紀北工業高等学校ものづくり研究部 | 名古屋工学院 専門学校A |
三谷水産高校 機関部 |
― | ― |
2019 | 長野県飯田 OIDE長姫高校 原動機部B |
大阪市立東淀 工業高等学校 技術研究部 |
鳥取県立鳥取 工業高等学校 技術研究部 |
― | ― |
2021 | 長野県飯田 OIDE長姫高校 原動機部C |
鳥取県立鳥取 工業高等学校 技術研究部 |
大阪府立堺工科高等学校 自動車部 |
大阪教育大学 技術教育部門 |
福岡市立博多 工業高等学校 Bチーム |
2022 | 三重県立津工業高等学校 | 名城大学 エコノパワークラブ |
長野県飯田 OIDE長姫高校 原動機部C |
(受賞者なし) | 愛知県立豊橋 工科高等学校 定時制 |
2023 | 広島県立 技術短大 EV-Project B |
Ryukoku Racing (龍谷大学) |
大阪府立 堺工科高等学校 自動車ソーラーカー部 |
松本市立 清水中学校 KVT-46 |
長野県飯田 OIDE長姫高校 原動機部B |
大会を終えて
興奮・ドラマ・感動ありの2024 Ene-1 SUZUKA Challenge。選手の皆様は充実した表情で会場を後にしていました。
パワーアカデミーでは、今後とも様々な形でPR活動を展開し、電気工学分野の魅力を伝え、より一層の発展に貢献してまいります。