『2023 Ene-1 SUZUKA Challenge』イベントレポート
2023年8月31日
去る7月30日(日)、鈴鹿サーキットにて「2023 Ene-1 SUZUKA Challenge」が開催されました。
パワーアカデミーでは、本大会の趣旨に賛同しオフィシャルパートナーとして参画するとともに、パワーアカデミー賞を設置し猛暑の中奮闘する学生を応援しております。
今回も、炎天下の中繰り広げられた熱戦の模様をお伝えします。
Ene-1 Challengeとは?
充電式単三電池40本のみを動力源とした次世代エネルギーカーイベントで、車両部門(KV-40)と二輪車部門(KV-Moto)があります。2011年(KV-Motoの前身であるKV-BIKEは2014年)から始まり、参加チームは順調に増加しており、今大会ではKV-40で102チーム、KV-Motoで40チームが参加し、益々の盛り上がりを見せています。
大会概要
開催日 | 2023年7月30日(日) |
---|---|
競技会場 | 鈴鹿サーキット国際レーシングコース |
主催 | ホンダモビリティランド株式会社 |
後援 | 三重県、鈴鹿市、三重県教育委員会、 鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会、 一般社団法人 鈴鹿市観光協会、鈴鹿商工会議所、 公益社団法人全国工業高等学校長協会 |
オフィシャルパートナー | パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社、株式会社ミツバ、 パワーアカデミー、山王テック株式会社 |
協賛 | 有限会社三鈴印刷 |
公式サイト | https://www.suzukacircuit.jp/ene1-challenge/ |
競技内容
車両部門(KV-40)は、F1でお馴染みの鈴鹿サーキット国際レーシングコース(一周約5.8km)での1周のタイムアタックを3回行い、その合計タイムを競うものです。
本コースはアップダウンが激しく(高低差約40m)、車体に負担のかかるカーブが連続するため、非常にタフなコースとなっています。
また、競技開始以降、電池の追加充電はできないため、速いタイムを記録しつつ、3回のタイムアタックを完走できるようなエネルギーマネジメントが必要となります。1周目を如何に早く走行しても、2周目、3周目にエネルギーが残っていないとリタイアしてしまいます。パワーアカデミーでは、このエネルギーマネジメントを必要とする競技内容に賛同し、学生チームを対象にパワーアカデミー賞を設定しています。
社会人チームの連覇か?高校生・大学生チームが意地を見せるか?
太陽が燦燦と照りつけ、大会特有の熱気が感じられる中、午前9時台から午後4時台にわたってレースが開催されました。1st Attackでは昨年1位の社会人チーム『木本工作所』が、今回大会記録(5分42秒637、平均時速:約61km)となる圧巻の走りを見せました。その後、2nd Attack・3rd Attackにおいても全チーム中トップの記録を収め、見事大会5連覇を果たしました(合計タイム17分21秒385)。続いて、昨年4位の社会人チーム『東郷アヒルエコパレーシング』が昨年より20秒近くも合計タイムを縮め、堂々の2位を獲得(合計タイム18分32秒401)。さらに昨年3位の高校生チーム『長野県飯田OIDE長姫高校 原動機部A』も好記録を打ち立て、今回大会においても見事3位を飾りました(合計タイム18分48秒171)。
今回大会の完走率は50%(エントリー102チーム中、51チーム)となり、惜しくも完走を果たせなかったチームも多くいる中、1stや2ndでは完走できずとも諦めず3rd Attackを走りきるチームもいるなど、出場チーム全員が思いを込めて大会を盛り上げてくれました。
大会を彩る車体の数々
フルカウル型やドライバー剥き出し型など、今年も様々な車体が活躍しました。
NIPPOコーナーで繰り広げられるドラマ
本コースの最難関ポイントの一つが、コース序盤にあるNIPPOコーナー(旧ダンロップコーナー)と呼ばれる勾配7.8%の上り坂です。優勝を目指すチームは難なく攻略していきますが、完走を目指すチームにとっては、正にレースの正念場となる箇所で、ここでリタイアしてしまうチームも多くあります。
今年も、上り坂とは思えないほど加速し、他チームを追い抜いていくチームもあれば、何度も止まってしまいながらも都度修理し攻略するチームなど、数々のドラマが展開されました。
このNIPPOコーナーは、「激感エリア」と称して、コース真横というレース好きには堪らない近さで観戦・応援が出来るエリアとなっています。自チームの応援など、近くで観戦してみたいという方は、ここで多くのドラマを体感して欲しいと思います。
パワーアカデミー賞の行方は?
パワーアカデミー賞では、学生チームを対象に、速さを追及するのではなく、事前に申告した目標のターゲットタイム(24分、36分、48分、60分)と実走行の3周合計タイムのタイム差が最も小さいチーム(各ターゲットタイム毎に1チーム)と、前回リタイアしたチームの中で今回完走した一番タイムの速かった1チーム(リベンジ賞)をエネルギーマネジメントに優れているということで表彰しています。
今大会では、参加した全学生チーム81チーム中71チーム(約88%)にエントリーいただき、昨年のエントリー率61%より大きく向上しております。大変多くの学生に関心を持っていただけたことに事務局としても感謝しております。
パワーアカデミー賞の受賞チームですが、24分賞は『広島県立技術短大EV-Project B』、36分賞は『Ryukoku Racing(龍谷大学)』、48分賞は『大阪府立堺工科高等学校自動車ソーラーカー部』、60分賞は『松本市立清水中学校 KVT-46』、リベンジ賞は『長野県飯田OIDE長姫高校 原動機部B』がそれぞれ受賞となりました。中でも36分賞を受賞した『Ryukoku Racing(龍谷大学)』は、3周ともほぼ11分台と見事なラップを刻み、ターゲットタイムと11秒差という秀逸なマネジメントを見せてくれました。今回、受賞されたチームの皆さま、本当におめでとうございます。
表彰式では、パワーアカデミー大学検討委員会委員長 早川直樹 教授(名古屋大学大学院)から、受賞者へ表彰状、記念の楯と副賞(図書カード)が授与されました。
【参考】過去のパワーアカデミー賞受賞チーム(2017年度以降)
年度 | ターゲットタイム | リベンジ賞 | |||
---|---|---|---|---|---|
24分賞 | 36分賞 | 48分賞 | 60分賞 | ||
2017 | Team宮工(宮崎工業高校) 宮工E-09 |
大阪市立泉尾工業高等学校 自動車部 T×6 |
豊田工業大学 とよこうワークス |
― | ― |
2018 | 紀北工業高等学校ものづくり研究部 | 名古屋工学院 専門学校A |
三谷水産高校 機関部 |
― | ― |
2019 | 長野県飯田 OIDE長姫高校 原動機部B |
大阪市立東淀 工業高等学校 技術研究部 |
鳥取県立鳥取 工業高等学校 技術研究部 |
― | ― |
2021 | 長野県飯田 OIDE長姫高校 原動機部C |
鳥取県立鳥取 工業高等学校 技術研究部 |
大阪府立堺工科高等学校 自動車部 |
大阪教育大学 技術教育部門 |
福岡市立博多 工業高等学校 Bチーム |
2022 | 三重県立津工業高等学校 | 名城大学 エコノパワークラブ |
長野県飯田 OIDE長姫高校 原動機部C |
(受賞者なし) | 愛知県立豊橋 工科高等学校 定時制 |
大会を終えて
興奮・笑い・感動ありの2023 Ene-1 SUZUKA Challenge。選手の皆様は充実した表情で会場を後にしていました。
パワーアカデミーでは、今後とも様々な形でPR活動を展開し、電気工学分野の魅力を伝え、より一層の発展に貢献してまいります。