去る3月2日(月)、3日(火)、2日間に渡り、名古屋大学において、第2回パワーアカデミー・リージョナルミーティング(以下:PARM )を開催しました。

■主な内容

第2回PARMは、パワーアカデミーの活動内容の紹介と、中部地区における大学・高専の電気工学分野を活性させるための取組みやパワーアカデミー構想などについて、意見交換を行いました。

(1)パワーアカデミーの活動紹介

田中事務局長によるパワーアカデミーの活動紹介

パワーアカデミー・田中事務局長より、パワーアカデミーの目的、内容、活動状況、および課題について説明を行いました。以下、主な発言の抜粋となります。

・国際的な人材育成支援の一環として、国際会議での学生発表支援等を検討したい。
・これまでの活動状況として、昨年4月に創設以降、Webサイトを開設、研究マップ構築、その充実のための調査研究の実施、CIGREやIEREの国際会議での紹介等を行ってきた。
・PDCA(Plan―Do―Check―Action)を最適化するためのPI(業務指標)や社会に対するアピールなどが今後の課題として挙げられる。

(2)中部地区各大学並びに高専における活動と課題

中部地区の大学・高専15校の電気工学分野活性化への取組みについて、各大学・高専より発表がありました。以下は、総括(全体状況)となります。

・博士後期課程の充足率は低い。その理由として就職先がない、経済的支援の不足等があげられる。
・電気主任技術者の認定講座について約半数の学生が受講しているが、学校間によるばらつきもある。

【主な質疑】
・大手予備校の学生に対して、電気学会東海支部主催の講演会を開催したが、学生は電気の存在を認知していなかった。身近な電気の重要性や、小中学生からの教育、父兄との対話が急務である。
・機械系は一時人気が低迷したが、ロボットで盛り返した例もあるように、広報活動(見える化)が重要である。
・現在パワーアカデミーのホームページを開設しているが、今後、高校生が閲覧しやすいよう工夫することも考えている。若年層にもアピールできるよう、内容を充実させたい。
・学-学間のコミュニケーション、ネットワークを強め、情報の共有化にも努めていく。

中部地区各大学並びに高専における活動と課題の説明の様子

(3)中部パワーアカデミーの構想

中部パワーアカデミー(CPA)の構想について、大学・企業より以下の説明がありました。

1.中部電力寄附研究部門の活動(名古屋大学)
学生を対象にした「特別講演会」、一般女性・学生を対象とした「市民公開講座」等を実施し、研究のみならず、電気工学の啓蒙活動を行っている。

2.電力技術研究会の活動(中部電力)
産学連携活動の一環として、電力技術の発展を目的とした電力技術研究会についての紹介。

3.中部電力基礎技術研究所の活動(中部電力)
電気系分野における研究助成、国際交流援助を実施している機関として(財)中部電力基礎技術研究所の紹介。

4.今後の活動の方向性(名古屋大学)
・現在の寄附研究部門を核として、中部地区全体の活動として広げていく。
・より体系的に共同研究が実施できる環境を整える。
・将来的には、学生交流、単位交換、設備の相互利用等も考えている。
・学会、国際機関(CIGRE等)とも協調をとり、有機的な連携を進展させたい。

【主な質疑】
・九州地区でも同様の活動を検討しており、社会はもとより、大学内他学部・工学部他学科への「見える化」を重要視している。

中部パワーアカデミーの構想説明の様子

(4)フリー討論

パワーアカデミー・関根委員長より、中部地区の留学生の状況について質問があり、以下の回答がありました。

・出身国は、中国、インドネシア、ベトナム、インド、韓国が多い。
・文部科学省の留学生30万人計画(2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指すもの)もあり、名古屋大学では留学生の受け入れを今後増やして行く予定である。
・政府のバックアップよりも個人ベースの留学生が多い。
・修了後は、日本国内への就職を希望する学生が多いが、近年、企業側はやや敬遠気味である。母国の日系企業への就職もある。
・授業料については、協定を結んでいる場合は免除されるケースもあるが、それ以外は各大学による。

【その他の質疑】

フリー討論の様子

・ 学生も重要であるが電気系教員の減少も深刻な課題であるため、パワーアカデミーを通じて教育者育成にも力を入れていただきたい。
・高専では半数の学生が就職、半数が専攻科へ進学、または大学に編入している。今年度は景気の影響もあってか、電気系の人気は高い。

(5)研究室見学

会議終了後、名古屋大学の3研究室(鈴置研究室、松村研究室、大久保/遠藤/早川研究室)の見学を実施しました。各研究室では、先生方による研究紹介が行われました。

研究室見学の様子

(6)中部電力(株)電力技術研究所および名城変電所見学

3日に、中部電力(株)電力技術研究所および名城変電所見学会を実施しました。

■開催概要

会場 名古屋大学 付属図書館 大会議室(リージョナルミーティング)
中部電力(株) 電力技術研究所、名城変電所(施設見学)
日時 2009年3月2日(月) 13:30~18:00(リージョナルミーティング)
3日(火)  9:00~12:00(施設見学)
参加者 ・名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、
 静岡大学、三重大学、愛知工業大学、
 名城大学、中部大学、鈴鹿工業高等専門学校関係者
・中部電力関係者
・パワーアカデミー運営委員、事務局、関係者