風力発電

英語名
wind power generation

風力エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。風力エネルギーは風車の受風面積に比例し、風速の3乗に比例する。このため、風速が2倍になれば風力エネルギーは8倍となるため、少しでも風況のよい地点を選定することが重要となってくる。風車の形式は定格出力の大きさ、回転軸の方向、作動原理等により幾つかの種類に区分される。発電用風車として主流となっているのはプロペラ式風車のうち、ロータの回転面がタワーの風上側に位置する「アップウィンド方式」であるため、本項では「アップウィンド方式」を基に説明を行っていく。風車は支持構造物である「タワー」、受風面で揚力を生み出す「翼(ブレード)」、ブレードが生み出す揚力を回転力として伝達する「ロータ」、発電機等を収納する「ナセル」等で構成される。
風力発電システムに採用されている発電機タイプとしては、誘導発電機と同期発電機の2種類がある。誘導発電機は出力変動による電圧変動の問題があるものの、構造が簡単で低コストである点が特徴といえる。一方同期発電機は電圧制御が可能であるため誘導発電機に比べて系統への影響が少ないが、コスト増になる傾向がある。風力発電システムは一定風速以上になると発電を開始(カットイン)し、発電機定格出力に達する風速以上では、ピッチ制御もしくはストール制御により出力制御を行い、更にある風速以上では危険防止のため発電を停止(カットアウト)する制御を行う。
ピッチ制御とは風速・発電機出力を検知し、翼の取付角(ピッチ角)を制御することにより出力を制御する方式で、ストール制御はピッチ角を固定とし、ブレード形状の空力特性により発生する失速現象を用いて出力を低下させる方式である。つまり高度な出力制御を行うことができるピッチ制御に対し、簡易な構造で低コスト化、低消費電力化を図ることができるのがストール制御と言える。
なおアップウィンド方式では、これらの制御に加え、強制的にロータの方向を風向に追従させる必要があるため別途ヨー制御システムが必要となる。このように採用する制御方式、発電機方式の違いにより風力発電システムの特性は大きく異なってくるため、風車選定時には留意が必要となる。

出典)「電気事業事典」電気事業講座2008 別巻 ((株)エネルギーフォーラム 発行)

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