電気技術のこだわりが、高速ロボットを生み出す。

期待に違わぬ活躍!全国屈指の強豪チーム「呉高専」

通過するだけで鍵穴に差し込まれるように腕を工夫。

呉高専は、昨年度の準優勝校。本年度も、地区大会・中国地区大会で、大会最速の31秒をマークして、下馬評が大変高いチームでした。

実際に、全国大会でもその評価にたがわぬ力を存分に発揮してくれました。1回戦は完璧な走りで27秒。このタイムは、全国大会参加25チーム中4位という好成績でした。2回戦は、惜しくも2足ゾーンでトラブルが発生して敗退しましたが、38秒で完走。その姿はまさに会場中を大暴れする馬そのものでした。

全国屈指のスピードを誇る呉高専のロボット『A-rrivee(アーリーヴェ)』。その要因を皆さんに伺いました。

「1秒でも速くすることが目標でした。ですから、構造は出来る限りシンプルにしています。ロボットは、たった2個のモーターで動いています。また、ロボットと連結する乗り物も、主に木材を使用して、軽量化をはかっています。鍵もダンボールと発泡スチロールで大変軽いものです」。

軽量化と一言で言いますが、今回のロボットは、操縦者を運ぶパワーも必要とされます。スピードとパワーの両立という課題を、高いレベルで成立させたのが、呉高専の『A-rrivee(アーリーヴェ)』なのです。

電気工学は、ロボコン大会優勝を狙うには必須の知識

パワーMOSFETを使用した電気回路。
ロボットすべての源です。

『A-rrivee(アーリーヴェ)』にはどのように電気工学が貢献しているのでしょうか。呉高専の皆さんに伺いました。

「一番こだわったのは、電気回路を頑丈にしたことです。万が一、大きな負荷が回路にかかっても、ヒューズが安全に切れるようにしました。ヒューズは安全装置ですが、たとえ壊れても被害が大きくならないようなつくりにしました。回路がダメになれば、どんなに凄い機械機構をつくっても動きませんから」。

この頑丈な電気回路は、大電力を取り扱うように設計されたパワーMOSFETという半導体を使用しました。これが、たった2個のモーターで、ハイパワーが出せる原動力となっています。

また、モーターについても、「大会OFFの時期に、興味のあるモーターや他の高専で利用されているモーターを使って、その特徴を実験で検証しました」というこだわりを持って製作されました。

シンプルだからこそ、一つひとつの技術にこだわりを持って製作された、呉高専の『A-rrivee(アーリーヴェ)』。最後にロボットにおける電気工学の重要性について伺うと、「電気工学は、ロボットを無線制御するためには、必須の知識です。また、年々進歩していますので、いつも情報収集する必要があります」と全国屈指の強豪チームらしく、語ってくれました。

1回戦のゴールタイム(27秒)は、全国大会参加25チーム中4位!

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