それでも、しばらくすると徐々に耳が慣れてくるもので、少しずつ意思疎通ができるようになってきました。そうやって過ごしてきた1年間で、心にとどめておこうと思ったフレーズがあります。

ある日、教授から私と同僚に対して、ある本の原稿を書くように指令が下りました。お互いにどこの部分を担当するかを話し合っていた際、私は"I'm going to write this part."と提案してみました。すると彼は「ん? それは教授が指示したの? もう決められたことなの?」と聞いてきました。そうではないと否定すると、「じゃ、I willを使うべきだよ」と。それ以来、同僚たちの会話を注意して聞いてみると、みんなの積極性、協調性がI willに現れているように感じました。研究プロジェクトの分担を決めるとき、大学で開催される研究会の準備をする際や研究室でパーティーを企画するときなどもそうでした。自分の得意なこと、今までの経験を生かせることに対してはもちろん、まだやったことがなくても興味があれば積極的に"I will do that."なのです。その結果、見事なチームが結成されていました。
渡米した当初、同僚たちはみんな競争心が強く、自分のことだけを考えているのかと勝手に思っていましたが、決してそうではありませんでした。確かに、自分を磨くことは自分のためでもあるのですが、そうすることで結果的にチームの一員としての役割も強化され、チーム全体のためにもなるのだと気付かされました。
ちょうどその頃、いくら勉強しても足りないように感じられる広大な電力システム分野を前にして、慣れない海外生活での心労も重なり、これからの研究活動の進め方について悩んでいた時期でした。そんなとき、このように何ごとにも積極的に取り組み、自分を生かそうと努力している研究室の仲間たちの姿勢を見ているうちに、自分もI willといえる分野をもつこと、そしてチームの一員として貢献できるようになることを目標に頑張ろうと思うようになりました。そして、実際に貢献することができたとき、それは大変すばらしい経験となりました。

先に述べたように、電力システムは確かに「大海原」かも知れません。いろいろなことを勉強する必要もあります。それでも、いずれ自分の得意な分野、自分も貢献できる領域が必ず生まれてくるでしょう。自分にしかできない部分が見つかるかも知れませんし、ひょっとすると新しい技術を生み出すことができるかも知れません。そうすれば、「チーム」のどこかで活躍できる日がきっとくると思います。これは、電力システムに限らずいろいろな分野でもいえることですが、自分も貢献したうえでチームワークが発揮されたときの達成感は、何物にも代え難いすばらしい体験だと思います。
これを読んでくださっている学生の皆さん、一緒にチームに入ってI willといえる分野を見つけてみませんか?




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