東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻
熊田亜紀子准教授
1994年3月 東京大学工学部電気工学科卒業
1999年3月 同大学院博士課程修了。博士(工学)。
1999年4月 同大学助手
2001年5月 東京電力株式会社技術開発研究所研究員
2003年4月 東京大学大学院工学系研究科講師
2004年7月 東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻 准教授。主に高電圧工学、放電工学に関する研究に従事

結婚して、またさらに子供達が生まれて以来、料理は私の日課である。現在、高電圧・放電現象を対象として、計測手法、及び解析手法の開発、物理現象の解明などの研究テーマに取り組み、教授の先生と一緒に研究室を運営している。しかし、実験がどんなに重要な局面にあろうが、ディスカッションが白熱しようが、原則、18時15分には研究室を出る毎日である。帰宅し、夕食を作らねばならない。最寄りの駅から買い物しつつ帰宅すると19時、子供達が空腹に耐えられるリミットが19時半、ということで夕食作りにかけられる時間は30分である。
研究室を出た瞬間に、漠然と献立を考え始める。何もないところにいきなり多くのことを築き上げるのは研究でも何でも大変だが、献立作りも同じである。あれもこれもと考えが散り、なかなかまとまらない。そこで通常は、ご飯とお味噌汁と主菜と副菜2つと品数の境界条件を決めている。ルーチンに落とし込めば、わかりきったことは最適な時期に準備をしておくことができる。出勤前に、炊飯器のタイマーをセットし、お味噌汁のダシ用に鍋に水を張って煮干しを放り込んできた。(洋食でおみそ汁を作らないときは、ダシ汁だけ冷蔵庫に保存して次の日に先送り。)準備万端だ。

具体的な献立を考える上でさらに重要なのは、「あ、冷蔵庫の中のアレ、賞味期限が今日までだった!使わなくては!」という、献立上十分条件となる在庫の材料である。一昨日残った小松菜、半把がシナシナになりかけている、小松菜は副菜で使おう。小松菜と、頭に刻みつけてから、漠然と主菜を考え始める。ここだけは、作る人である自分の好みで決める。特権である。小松菜君は、手間いらずの煮浸しにしよう。煮浸しに合うということで和食にしよう。昨日がお肉だったから今日はお魚、昨日スーパーで秋刀魚が安かったから、もう秋刀魚のおいしい季節か...学生たちの研究大丈夫かね、おっと脱線、秋刀魚の塩焼にしよう、と、献立が決まっていく。電車に乗っている間も、頭にあるのは、残る一品とお味噌汁の具を何にしようかということばかりである。焼き物と煮物だから、あと一品は酢の物にしようか、さんまに大根おろしを添えるのに大根を買うから、残った大根でナマスにしよう、お味噌汁の具はスーパーで目に入った野菜を適当に買って入れればいいやと、少なくとも目先の締切であるスーパーにたどりつくまでに、献立を8割方決め、スーパーでやらねば(買わねば)ならないものをリストアップしておくことにする。



