英語名fast breeder reactor

減速材を使用せず冷却材として液体金属(ナトリウム等)を用い、高速中性子を利用して核分裂性物質を分裂させる原子炉である。この型の原子炉では、核分裂性物質が消費する以上の割合で生成される(増殖比が1以上になる)。つまり、炉内の核分裂によって生ずるエネルギーを利用して動力を発生しながら、燃料親物質であるU-238から核分裂性物質であるPu-239を生産することができる。したがって、この炉は、天然に存在する潜在的エネルギーであるU-238を有効に利用できるので、将来の理想的な型式であると考えられている。この炉型には、①増殖比が高く、核燃料資源の有効利用度がかなり高い、②冷却材(ナトリウム)は熱伝導率が大きく、沸騰点も高いので加圧することなく高温の蒸気が得られるためプラント熱効率が高い、③軽水炉と組み合わせて燃料サイクルを形成できる、等の特徴がある。日本では動力炉・核燃料開発事業団(当時)が中心となって実用化を目指した研究開発が進められ、高速増殖炉「もんじゅ」が1994年4月に初臨界を達成したが、1995年12月に2次系ナトリウム漏洩事故を起こし、運転を休止した。2006年8月に取りまとめられた「原子力立国計画」においては、FBRサイクルについて、2025年頃に実証炉を実現、商業炉を2050年前に開発することとされており、早期の「もんじゅ」運転再開と、発電プラントとしての信頼性の実証と運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立を目指すこととしている。

出典)「電気事業事典」電気事業講座2008 別巻 ((株)エネルギーフォーラム 発行)

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