東京大学日高・熊田研究室の「高電圧実験」

2.沿面放電実験

【概要】
プラスチックなどの絶縁物の上に置いた電極に電圧をかけると、絶縁物の表面に沿って放電が進展する「沿面放電」に関する紹介です。

(1)放電前の状態

(1)放電前の状態

(2)沿面放電が起きた状態

(2)沿面放電が起きた状態

沿面放電実験の模様を映像でご覧頂けます。

沿面放電実験の模様を映像でご覧頂けます。

熊田先生インタビュー

Q. 沿面放電とは何ですか?

沿面放電とは、絶縁物上に置いた電極に高電圧を印加すると、絶縁物の表面に沿って放電が起きる現象のことをいいます。高電圧で使用される機器の支持物は絶縁物です。沿面放電によって絶縁物の劣化が進み、絶縁破壊等につながる可能性があります。沿面放電は高電圧の世界では大変困った現象なのです。

Q.沿面放電を防ぐ手だてはないのですか?

沿面放電は未だに現象がはっきりと解明されていないので、根本的な解決策というのが存在していません。例えば、放電がどのように枝分かれしていくのか、伸びていくのか、答えが見つかっていません。私は、この沿面放電の計測と解析を学生時代から研究課題にしていました。

Q.沿面放電を何かに利用することは可能ですか?

空気清浄機やプラズマディスプレイの他、NOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)などを分解処理する技術にも応用されています。沿面放電を社会の中で有効に利用することができるので、ぜひいつの日か全容を解明したいですね。

沿面放電の応用例(空気清浄機)

沿面放電を利用して空気中の水分などをイオン化、
イオン分子の集合体が菌・ウィルスや臭気を包み込むことで除菌・脱臭を行います。

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